渋谷駅に乗り入れる京王バス(Zvesta / PIXTA)※写真は当該トラブルに遭った車両とは無関係

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今月3日、東京・渋谷の井の頭通りで、路上に駐車された白いプリウスが原因となり、京王バスが長時間にわたって通行できなくなるトラブルが発生した。

この様子を撮影した動画が動画配信サイトやSNSなどで広く拡散され、「バス会社はプリウス側に損害賠償を請求すべきでは」といった声が相次いだ。

路上駐車によって路線バスの運行を長時間妨げた場合、車の運転手や所有者はどのような刑事・民事の法的責任を問われる可能性があるのか。

違法駐車でバスが約23分間ストップ

SNS上ではバスが足止めされた時間について「40分以上」「1時間」などと情報が錯綜していた。

弁護士JPニュース編集部が京王バスに問い合わせたところ、実際に運行ができなくなった時間は約23分間だったことがわかった。

同社が明かした当日の経緯は以下の通りだ。

まず18時22分頃、井の頭通りで一般車の路上駐車により、路線バスが通行できなくなった。18時23分頃、当該バスの乗務員から営業所に「通行不能」との連絡が入り、営業所が警察へ通報。5分後の18時28分頃には警察が現場に到着し、運転手への呼びかけなど行った。そして18時45分頃、駐車車両の運転手が現場に戻り、バスは運行を再開した。

京王バスは乗客への影響について「ご乗車いただいたお客様に対しては乗務員より状況をご説明させていただき、ご理解をいただいております」と説明。8月17日時点で、乗客からの問い合わせは特にないとしている。

この道を通るバスは1時間に4本ほど運行していた(写真:弁護士JPニュース編集部)
少し先からは道幅が広がる(写真:弁護士JPニュース編集部)
損害賠償請求は可能だが…

本件のようなケースで、バス会社がドライバーに対し民事責任を問うことは可能なのか。

交通事故の対応を多く手掛ける海嶋文章(かいしま・ふみあき)弁護士は、「理論上は、バス会社は運転手や自動車の所有者に損害賠償できる可能性があります」との見解を示す。

「今回のケースでは影響は限定的だったようですが、たとえば路上駐車した車によって路線バスが長時間にわたり通行できなくなった場合、バス会社は代替手段を用意することになり、さらに、バスを利用する予定であった顧客を失うこともあるでしょう。このような場合には、バス会社に金銭的な損害が発生しているといえます」

そのうえで、「駐車していた場所が、路線バスが運行されている経路であることや、道幅の関係で、自動車を駐車すれば路線バスが通れなくなってしまうことは、一般的にみて十分予測することができます」と指摘。

これらの理由から、運転手や所有者には民法709条の「不法行為」が成立し、バス会社からの損害賠償請求が認められる可能性があるという。

ただし京王バスは、弁護士JPニュース編集部の取材に対し「損害賠償請求等は検討しておりません」と回答している。

刑事責任の追及は?

一方、刑事責任の追及についてはどうか。

京王バスは、路上駐車によってバスが通行できなくなった場合、「警察へ通報させていただいております」とし、警察に対応を一任していることを示している。

本件では、ドライバーに何らかの犯罪が成立し得るのか。

海嶋弁護士は「路上駐車した場所が道路交通法で駐停車禁止とされている場合、15万円以下の罰金が科されます(同法44条、45条、119条の2の4第1項)」と説明。

「さらに、バスの運行を妨害する可能性があることを認識しながら路上駐車した場合には、バス会社に対する偽計業務妨害罪(刑法233条、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

加えて、バスに限らずその場の交通を妨害する可能性があることを認識していたと判断される場合には、往来妨害罪(刑法124条、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金)に問われる可能性があります」と続ける。

「加害者」にならないために

海嶋弁護士はバスのような公共交通機関が持つ公共的な性格に触れ、「個人の自動車と比較して、時間帯によるバス優先道路など優先的な保護が与えられています」と話す。

「日常的に自動車を運転する場合でも、路線バスが運行されている経路であるかを意識して、路線バスの運行を優先して道を譲ることなどを心掛けておくと、未然にトラブルを防止することができます」(海嶋弁護士)

京王バスも一般ドライバーに対し、次のように協力を呼びかけた。

「路線バスは道路状況により、運行に遅延が生じることがございます。ご乗車のお客様やバス停でお待ちのお客様にご迷惑をおかけすることにつながりますため、交通法規は遵守いただけますよう、お願い申し上げます。路線バスの定時運行にご協力を賜りますよう、何卒お願いいたします」