JR四国高徳線・オレンジタウン駅−造田駅間の「峠踏切」(時事通信・写真は事件とは無関係)

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「なにこんなに集まっとんのや!!」──軽自動車に乗った男性が激しい怒声をあげる。直後、猛スピードでバックした軽乗用車がガードレールへ激突した。8月14日、SNS上で広く拡散されたある動画だ。

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 動画が撮影されたのは徳島県鳴門市大麻市場の居屋敷踏切付近。8月14日午後4時45分頃、線路脇に集まっていた"撮り鉄"の男性(19)を車でひき殺そうとしたなどとして、地元に住む建設作業員・吉田政男容疑者(55)が殺人未遂と暴行の疑いで逮捕された。当時、現場で何が起こっていたのか──。

「JR高徳線ではこの日、阿波踊り開催に合わせて車両が増結されていました。普段は見られない長い編成の車両を撮影しようと県内外から多くの撮り鉄が集結。居屋敷踏切は以前から撮り鉄界隈において撮影スポットとして認知されており、阿波踊りの期間以外でも人が集まっていることがあります。

 警察の調べに対し、男は『胸ぐらをつかんだ』と暴行容疑を認める一方、『車をバックさせたのはびびらせようと思っただけ』と殺意については否認しているといいます。徳島県警は車の通行を巡る何らかのトラブルが発生していたとみて捜査している」(地元紙記者)

 SNSで拡散された動画を見ると、まず男は車内から被害者に声を荒らげた後、男性の胸ぐらを掴んでいる。「とりあえず向こうに!」と促され、踏切内まで車を移動するが、別の撮り鉄が「いい歳した大人がうるさいて!」と言うと、降車して撮り鉄の集団に「煽ってんのか?」などと激昂した。

 車に戻り走り去ったかと思うと、踏切の近くにいた男性をめがけて急バック。男性はガードレールの外側に逃げ、難を逃れた。そしておよそ20秒後、今度は踏切の手前にいる集団に猛スピードで車を後退させ、ガードレールに激突した。

「事件の影響でJR高徳線は約1時間30分、運転を見合わせた。幸いけが人などは確認されませんでしたが、およそ1600人に影響が出ました」(同前)

 地元のガソリンスタンドで働く男性が、この踏切や当日の状況について詳しく話してくれた。

「道が半分ほど埋まっていた」

「あそこの踏切の道幅はかなり狭いんですよ。軽自動車がすれ違うのがギリギリな感じ。乗用車とか、トラックが来たら避けられないくらいの狭い道なんです。

 当時、現場に居合わせた人に聞いたら、40〜50人は撮影する人がいたみたいです。中には道路の真ん中に三脚を立てて、堂々と撮影していた人もいたみたいですよ。道路も半分くらい埋まる時間帯もあったらしいです。容疑者を擁護するつもりはないんですが、『ゆっくりじゃないと危なくて通れなかった』と怒っていた知人もいましたね……」

 容疑者も冷静にマナーを注意すれば問題にならなかったはずだ。ではなぜ、車を彼らにぶつけようとするほど白熱してしまったのか。男性が続ける。

「現場を見ていた人曰く、撮り鉄達も、容疑者に何か煽るようなことを言っていたらしいんですよ。皆で『やばいやばい』って感じで大笑いしていたみたいですし。はっきり何て言っていたかまではわからなかったらしいですが、"撮り鉄対容疑者"みたいな構造になっていたことは間違いない。容疑者もかなり頭にきたのでしょうね」

 地元で喫茶店を営む女性も困惑した様子で取材に応えた。

「『徳島新聞』には100人くらい(撮り鉄が)おったのを見た人がいると書いていました。撮影の人が通行の妨げになっていたから、警察に5件くらい苦情が来ていたらしいですわ……。

 うちのお客さんも、ちょうど徳島駅行きの列車に乗っていたんですけど、列車が止まってしまって大変だったらしいです。車内にクーラーはついていたから、倒れた人とかはおらんかったみたいですけどね。

 うちにも『(電車を)撮影してきた』っていうて、コーヒー飲みに来る人いるけど、それほど変な人はいないよ」

 女性が言うようにこの日、県警には撮り鉄マナーに関する110番通報が5件あった。徳島県警鳴門警察署に取材したところ、「撮り鉄の道路交通法違反に関しては現在捜査中。現場に何人集まっていたかも含めて調べているところ」とのことだった。

 別件ではあるが、今月19日までに千葉県と埼玉県の少年7人が、「列車を何分遅らせるか」競ったとして、威力業務妨害などで書類送検された。鉄道ファンに関する事件が続き、SNS上でも議論が噴出しているようだ。

 ともあれ、吉田容疑者の犯行は多くのけが人や死者を出しかねないものだった。擁護する余地はない。

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