「残業月45時間以内」の一律抑制見直しへ…高市首相が規制緩和に意欲・相談窓口も開設
厚生労働省は9月から、労働基準監督署による時間外労働についての企業への指導を見直す方針を固めた。
労基署は、労使の合意で月100時間未満まで時間外労働が可能な企業にも月45時間以内に抑えるよう指導しているが、そうした一律の指導をやめる。労使双方が残業の必要性を認識している企業には、時間外労働のための労使協定「36協定」などの締結を促し、違法な時間外労働をなくすことを目指す。
政府関係者への取材でわかった。見直しは自民党が4月に政府に提言した内容に沿ったもので、労働時間を増やしたい企業や労働者の要望に応える狙いがある。労働時間規制の緩和に意欲を示す高市首相が議長を務めた政府の日本成長戦略会議も7月、労基署の指導見直しなどを速やかに実施する必要性を示していた。
労使が36協定を締結すれば、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)以外に月45時間、年360時間を上限に時間外労働が可能になる。さらに労使が「特別条項」を結べば、月100時間未満、年720時間以内で認められる。36協定を未締結の企業は従業員に時間外労働をさせられないが、厚労省によると、協定締結済みの企業は5割で、そのうち3割は特別条項を締結していない。
労基署は現在、特別条項を締結した企業も含め、時間外労働は月45時間以内に抑えるよう指導している。政府関係者によると、9月からはそうした一律の指導を変更。未締結の企業には36協定や特別条項の締結を促した上、違法な時間外労働をしないよう求める。
指導の見直しについては、労働団体から「長時間労働につながる」などの懸念が上がっていた。こうした声に配慮し、労働者の健康が害されないよう、労基署は各企業の従業員の健康確保措置の実施状況を重点的にチェックし、違法な長時間労働が確認された企業には是正勧告などを行う。
指導の見直しに合わせ、厚労省は36協定や特別条項を締結する企業向けの相談窓口を全国の「働き方改革推進支援センター」に開設する。さらに、労働基準監督官が社会保険労務士らとともに企業を訪問し、締結をサポートする取り組みも始める。厚労省はこうした見直しなどを進めるよう、全国の労働局に指示した。
