藤川監督(C)共同通信社

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「監督が死球を巡ってあれこれ言うのは、マイナスでしかない」

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 コーチ経験のある阪神OBがこう言うのは、藤川球児監督(46)のことだ。

 最たるは7月25日の巨人戦だった。佐藤輝が今季初死球を受けた試合後、藤川監督は「セで一番死球が多いのが巨人ですから。あのあたりは当然わかっている。明日いい勝負をしましょう」と、相手ベンチを挑発するような発言をして大きな波紋を呼んだ。巨人からセ球団では最多となる計12個の死球を受ける一方、阪神はその日、大城に2死球を与えており、報復死球と受け取る向きもあった。

 阪神は97試合を消化した6日現在、被死球は12球団最多の51。昨6日のDeNA戦でも死球を食らった森下は12球団最多の13死球で、大山も8死球。佐藤輝は1死球と少ないが、ライバル球団の首脳陣のひとりは、「森下は踏み込んで打つスタイルだけに、どうしても死球が増えやすい。一方の佐藤輝は打席で構えた際の重心がかかと寄りでよけ方もうまいから、死球が少ない」と言う。

 そんな中、藤川監督は広島にも“敵愾心”をあらわにしている。

 7月17日の同戦で大山が1死球、前川が2死球を受け、前川は右肩甲骨骨折で離脱。藤川監督は「タイガースにとっての死球は多い。ある程度はガマンしていますけど、やっぱりタイガースの投手もそうだけど、他球団の投手もインコースに投げるのは技術が必要。技術の引き上げをしてもらいたいというのが公に言えることなのかなと。勝負する以上は、投げないといけないけれど、勝負となったらお互いに熱くなることも出てくるでしょうね」などと怒りをにじませた。

 その2日後の、19日の同戦では再び大山に死球をぶつけられ、両軍がベンチを飛び出し、警告試合になった。

「昨季4月にも死球を巡って一触即発の事態になった。新人投手の岡本が坂本に頭部死球を与えたことで、藤川監督は激高。阪神ベンチを飛び出し、広島ベンチに向かって声を荒らげた。もちろん、ぶつけたことは良くないにせよ、新人の岡本がわざとぶつけるはずがない。藤川監督の挑発的な態度がかえって新井監督を刺激した。その際の顛末はすぐさまライバル球団に拡散。『就任1年目で年齢も最も若いにもかかわらず、先輩監督に対するリスペクトに欠ける』と、藤川監督に対して批判的な声が上がった。セのライバル球団の間では、阪神にだけは勝たせたくない、というムードがあるのは確かです」(前出OB)

 在京球団のスコアラーもこう言う。

「そもそも、佐藤輝、森下ら強打者を封じるためには、厳しい攻めは避けられません。まして夏場は投手の疲労が蓄積しており、本塁打を打たれるくらいなら死球の方がマシという考え方もある。藤川監督は『内角に投げる技術の引き上げをしてもらいたい』などと言っていましたけど、阪神の投手も死球を与えていますからね。内角にきちんと制球できる投手もいれば、そうでない投手もいる。死球が増えているのはそのためです。阪神は昨季、圧倒的な戦力で2リーグ制以降では史上最速の優勝を決めたものの、今季はセットアッパーの石井が開幕前に故障で離脱するなど、リリーフ陣が手薄。その分、攻撃陣に頼らざるを得ず、森下、佐藤輝、大山の中軸トリオへの依存度が高くなっている。この3人に本塁打さえ打たれなければ、それなりに勝負になると踏んでいるのは確かです」

 死球が増えれば故障リスクも高まる。実際、近本と前川は死球が原因で一時離脱した。

 藤川監督が神経をとがらせるのは分からなくもないが、前出のOBはこう続ける。

「藤川監督が死球に対してことあるごとに過剰に反応するのは、今季の“打高投低”のチーム事情もあるからでしょう。死球で主力野手を欠けば、目標に掲げるリーグ連覇は遠のきかねない。昨季のような投手を中心とした守り勝つ野球ができないことへの焦りもあるはずです。とはいえ、監督の発言は影響力が大きい。過剰に反応すればするほど、選手も浮足立ちかねない。他球団にとっては思うツボです」

 この日のDeNA戦は初回に大量7得点を挙げて楽勝ムードかと思いきや、森下、ガルシアが死球を受けたうえ、2番手の木下、3番手の及川がそれぞれ1回1失点と、中継ぎ陣がこの日も安定感を欠いた。

 残り50試合を切り、巨人との優勝争いが佳境を迎える中、阪神は死球禍との戦いにも明け暮れそうな気配だ。