逆サウナ「ヴィム・ホフ・メソッド」でまさかの幽体離脱…呼吸を止めて見えた「驚きの光景」
逆サウナ「ヴィム・ホフ・メソッド」
合法でぶっ飛びたい―これは私の人生の裏テーマだ。外見だけでなく中身まで進化し、後光が強すぎて「まぶしくて見えない」と言われる人間になってみたい。都市伝説だが、キムタクの絶頂期は、彼が1階でエレベーターに乗った瞬間、数階先の乗り場のドアまで光っていたらしい。ちょ待てよ、輝きすぎである。
そんな私のアンテナに引っかかったのが、「ととのい」の向こう側へ行ける逆サウナこと「ヴィム・ホフ・メソッド」。考案者であるオランダ人のヴィム・ホフ氏は、常人なら数分で死ぬ氷点下近い湖を泳ぎ、雪山を半裸でフルマラソンする、人類のバグみたいな男である。
彼のメソッドは「呼吸法」と「氷水浴」。たったそれだけ。コントロールできないとされてきた自律神経に働きかけられるワークとして、世界中に実践者がいるという。
理屈はシンプルだ。特殊な呼吸法で交感神経を刺激することで、体内でバンジージャンプ級の大量のアドレナリンが分泌される。その状態で氷水に入り、寒さやストレスに体を適応させ、自律神経の働きを鍛えていく。結果、血流や代謝が促され、気分や集中力が向上。冷水浴後には血管が拡張するため、肌のハリやツヤもアップ。美容と健康を内側から底上げするのである。
呼吸を止める「ブレスワーク」
さて、私は、横浜の山奥に佇む古民家で行われた、「ヴィム・ホフ・メソッド」認定インストラクターのレンス・ヴェルステゲン氏による体験イベントに参加した。参加者は12名。30〜40代の経営者が多かった。
まずは坐禅を組み、ブレスワークから始める。レンス氏が「鼻から大きく吸って〜、ゆっくり吐いて〜」と促す。だが、これが意外ときつい。横着な私は普段の浅い呼吸に戻りたくなるが、レンス氏が「大丈夫デスカ〜?」と見回りに来るのでサボれない。
続いて、息を吐き切ったあとに15〜30秒ほど呼吸を止めるワークへ。何度か繰り返すうち、息を止めている最中に頭の中がふわりと軽くなり、心地よい多幸感に包まれてくる。エンドルフィンなどの快楽系脳内物質が分泌されているのだろう。
次は横になり、さらに激しいブレスワーク。「この呼吸法で「ビジョン」を見る人がたくさんいます。泣き出したり、体が勝手に動いたりする人もいる」とレンス氏。一気にオカルトみが増してくる。
テンポよく30〜40セット、深く吸って止める、吐いて止める。すると、10分ほどで眉間あたりに光が見え始めたと思ったら、いきなり幽体離脱をしてしまった。気づいたら天井に幽体が張り付いていて、そこから一気に真っ暗な宇宙空間のような場所に飛んでいった。暗闇を漂っていると美しい巨大なウミガメが泳いできたので、一緒に漂う。不思議な感覚だった。その日は、会場の3分の1くらいの人が同じようにビジョンを見たり神秘体験をしたりしていた。
氷風呂で自分の限界を超える
そして、いよいよ本番。水温2度の氷風呂に3分間挑む。
「大丈夫ダヨ。呼吸、呼吸!」というレンス氏の声を背中に受けながら足を入れる。その瞬間、世界が変わった。冷たいというより、全身を巨大な圧力で押しつぶされるような感覚。心拍数は跳ね上がり、「もう無理だ、耐えられない」と本能が叫ぶ。肩まで浸かると痛みはさらに増し、意識が遠のく。私は顔をしわくちゃにして「もう無理、もう無理」と半べそをかいていた。
すると突然、子どもの頃、ひとり道に迷って泣いた記憶が蘇った。あのとき感じた孤独や恐怖が、一気に押し寄せてくる。けれど、あの不安を乗り越え、私はちゃんとここまで生きてきた。その事実を思い出した瞬間、呼吸が少しずつ整い始めた。
2分ほど経つと、それまで自分の内側だけに向いていた意識が、ようやく外へ戻ってくる。周囲の景色が見え、耳に入る音が増え、張り詰めていた心がふっとほどけた。
3分が経ち、ようやく氷風呂から上がると、自然と涙がこぼれ出た。過酷な3分間を耐え抜いた自分に、胸を打たれたのかもしれない。その後は、体を温めるために四股を踏むような体操をした。満足感が全身を満たし、笑みが止まらない。終始笑いながら体を動かしているハイテンションぶりは、自分でも少し不気味だった。
ワーク後、鏡を見ると、今までの自分よりも少したくましく、自立した大人の女が立っていた。肌のハリやツヤが増していることも嬉しかった。だが、それ以上に、自分の限界を越えたという確かな自信を手に入れられたことが、何よりの収穫だった。
※危険ですので、「ヴィム・ホフ・メソッド」は必ずインストラクターの指導のもとで行ってください
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角由紀子(すみ・ゆきこ)/'82年生まれのオカルト系編集者。上智大中退。不思議系ウェブサイト『TOCANA』元編集長。YouTubeチャンネル『角由紀子のヤバイ帝国』は登録者数約45万人。著書『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』(扶桑社)が大ヒット中
「週刊現代」2026年8月17日号より

