何のため? 誰のため? 何をすればいいの? 「終活きほんのき」【NHK明日から使える あかるい終活】
終活とは、
「遺される人のために自分の情報を整理して伝える」
「自分のために、これまでの人生を振り返って、これからの人生に備える」こと。
テキスト『NHK明日から使える あかるい終活』では、“終活弁護士”として活躍する伊勢田篤史さんが、終活をする際の押さえておきたいポイントを、身近な事例をもとに具体的に取り上げています。
ここでは、終活の「きほんのき」についてご紹介します。記事後半には、終活チェックシートを収載。あなたの「終活」状況も確認してみましょう。
※この記事は、デジタルマガジン用に編集しています。
『NHK明日から使える あかるい終活』書影
家族に負担を残さないために
終活は何のため?
終活は、遺された人が困らないようにするための準備であり、自分のこれからを見つめ直すための作業でもあります。例えば、葬儀の形式や遺影に使う写真、連絡してほしい人が決まっていないと、葬儀の準備が大変になります。
また、預貯金、不動産、保険、年金などの管理状況や、貴重品など財産や手続きに関わる情報が分からなければ手続きに時間がかかり、相続の場面で思わぬ負担になることがあります。スマートフォンやパソコンのロック解除方法、ネット金融機関、SNS、サブスクリプションサービスなどについても、本人しか把握していないままだと確認や解約が難しくなります。
だからこそ、何を持っているのか、どこにあるのかを元気なうちに整理しておくことが大切です。
また自分の身辺の整理を進めることで、これまでの人生を振り返ることができます。それは、自分が大切にしてきた物や、周囲に支えられて生きてきたことに気づくきっかけになるかもしれません。これまでの人生の棚卸しをすることで、残された人生をどう生きるか、何を大切にして生きていくのかを考えるきっかけができるのも、終活の大切な部分です。
遺される人のために自分の情報を整理して伝える、自分のために、これまでの人生を振り返って、これからの人生に備える。そのふたつの面が終活にはあります。
起こりがちなトラブルを避けられる トラブル1 葬儀の方針が分からない
葬儀の形式や参列してほしい人、遺影に使いたい写真の希望が分からないと、家族は判断に困ります。
トラブル2 遺品を片づけられない
故人の思い出が詰まった物ほど、残すか処分するか迷うもの。量が多いと片づけが進みません。
トラブル3 遺産が分からない
預貯金や保険、不動産、借入金などの情報が整理されていないと、相続の手続きに時間がかかります。
トラブル4 スマホのパスワードが分からない
スマホやパソコンのパスワードが不明だと、写真や連絡先の確認、利用しているネット金融機関やサブスクなどの把握が難しくなります。
財産の整理、物やデータの処分、葬儀やお墓の意向……
終活は 安心してこれからを過ごすための備え
終活とは、人生の終わりに向けた準備であると同時に、これからの時間をより安心して、自分らしく過ごすための整理でもあります。大きく分けると、「遺された人のため」と「自分のため」というふたつの側面があります。遺された人のためには、家や預貯金、貴重品、思い出の品など、自分が何を持っているのかを見える化しておくことが大切です。終活は、後ろ向きな準備ではなく、これからの人生を前向きに考えるためのきっかけです。自分と大切な人が安心して過ごすために、できることから少しずつ始めてみましょう。
◎お金、住まい、持ち物を見える化する
預貯金、不動産、保険、年金、貴重品、思い出の品など、「財産や手続きに関わる情報」をエンディングノート*に記しておきましょう。いざというときに迷わず確認できます。
*エンディングノート……自分の情報や希望、家族に伝えたい思いを書き残しておくノートのこと。
◎葬儀、お墓について決めておく
葬儀の形式、遺影に使いたい写真、納骨の場所や時期、お墓の管理方法などを考えておきましょう。希望を伝えておくことで、スムーズな準備を期待できます。
◎物や思いを整理して今後の人生を考える
大切にしてきた物や思い出の整理を進めることで、これからの人生でやりたいことを考え、自分らしい生き方を見つめ直すきっかけになります。
決めた内容はエンディングノートにまとめる ◎元気なうちに必要な情報を書いておく
もしものときのために、お金にまつわることや、葬儀やお墓について決めたことをノートにまとめておきましょう。スマホのパスワードなど、本人しか知らない情報も書き留めておきましょう。書いたことを周囲の人に伝えることが大切です。
◎自分の思いや生きた証(あかし)を大切な人に伝える
これからの人生でしたいことや、周囲の人への感謝や伝えたいことを書いておきましょう。思いを書き留めることで、気持ちが整理されます。ときどきノートを開いて確認したり、修正したりすることもおすすめです。
安心して人生を楽しむために、どこまで進んでいますか?
あなたの終活チェックシート
□スマホやパソコンのパスワードなどを家族に共有している
□自分の金融資産や不動産などの財産をリストアップしている
□自分のマイナス財産(負債など)をリストアップしている
□万が一のときの、不動産の処分に関する意向を伝えている
□終の住み処(ついのすみか)をどこにするのかを決めている
□自分の大切な物について、リストアップし、希望する処分方法を伝えている
□葬儀の方針について、自分の考えを家族へ伝えている
□お墓の方針について、自分の考えを家族へ伝えている
『NHK明日から使える あかるい終活』
【内容】
PART1 家族でエンディングノート
PART2 デジタルをあなどるな
PART3 お金をすっきり明瞭に
PART4 不動産を“負動産”にしない
PART5 こだわりのモノは正しく伝える
PART6 理想のお葬式とは
PART7 “おひとりさま”は計画的に
PART8 実例! 私たちのしあわせ終活ストーリー
PART9 総集編
<特別企画>
1終活は自分の縁を振り返り、これから歩む道と向き合うこと
2自分にしか価値が分からないものは、どうすればいい?
3故郷との縁をつなぎ直す墓じまい
4今、安心して過ごすための死後事務委任契約
<コラム>
デジタル遺言とは
医療費は人生の後半から必要になる
相続した土地を国に引き取ってもらう制度
遺品整理は事業者に頼むこともできる
ペットの終活で考えること
<とじ込み付録>
自分らしく生きるためのエンディングノート
伊勢田篤史(いせだ・あつし) 弁護士。公認会計士。日本デジタル終活協会代表理事。「相続で苦しめられる人を0にという理念を掲げ、終活弁護士として、相続問題の紛争予防対策やデジタル終活の普及に力を入れている。著書に『社長が突然死んだら? 第2版 緊急事業承継ガイドブック』(税務経理協会)、共著に『第2版 デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた』(日本加除出版)がある。
◆『NHK明日から使える あかるい終活』テキストより
◆イラスト:紱丸ゆう
◆写真:小野正博(fort)
◆編集協力・原稿作成:ペロンパワークス・プロダクション(笠木渉太、吉村しおん、内田 陽、髙木 文)

