AmazonのセキュリティチームであるAmazon Threat Intelligenceが2026年7月29日、2025年3月〜2026年3月に相次いだ4件のオープンソースソフトウェアを標的にしたサプライチェーン攻撃について、北朝鮮のハッカーグループ「SAPPHIRE SLEET」によるものだと報告しました。

Amazon identifies North Korean hacker group behind open-source supply chain attacks | AWS Security Blog

https://aws.amazon.com/jp/blogs/security/amazon-identifies-north-korean-hacker-group-behind-open-source-supply-chain-attacks/

Amazon links four poisoned npm packages to one North Korean crew

https://www.theregister.com/cyber-crime/2026/07/30/amazon-links-four-poisoned-npm-packages-to-one-north-korean-crew/5281120

Amazon links Debug, Chalk NPM supply-chain attacks to North Korean hackers

https://www.bleepingcomputer.com/news/security/amazon-links-debug-chalk-npm-supply-chain-attacks-to-north-korean-hackers/

今回、Amazon Threat Intelligenceが北朝鮮のハッカーグループ・SAPPHIRE SLEETによる犯行だと指摘したのは、「typo-crypto」「debug」「chalk」「axios」という4件のオープンソースソフトウェアの侵害です。

最初の侵害は2025年3月、typo-cryptoのnpmパッケージをトロイの木馬化することから始まりました。Amazon Threat Intelligenceはこの比較的小規模な攻撃が、より大規模なサプライチェーン攻撃のテスト段階だったと考えているとのこと。

続いて2025年9月には、より広く利用されているdebugやchalkのnpmパッケージが侵害され、わずか2時間でクラウド環境の約10%に影響が及んだと推定されています。

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そして2026年3月、毎週1億回以上ダウンロードされておりnpmで最も人気のあるパッケージのひとつであるaxiosが標的となりました。なお、Googleはすでにaxiosへの攻撃を北朝鮮のハッカーと結びつけていますが、Amazon Threat Intelligenceはこれを以前のサプライチェーン攻撃と同一グループによるものだと特定したわけです。

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Amazon Threat Intelligenceは一連のサプライチェーン攻撃にみられるトロイの木馬化されたnpmパッケージ、npmパッケージのインストール後に実行されるスクリプト、コードの再利用といった共通の戦術や技術、そして犯行手順などに基づいて、攻撃がSAPPHIRE SLEETによるものだと「中程度の確信度」で断定しています。

SAPPHIRE SLEETはSTARDUST CHOLLIMA・BlueNoroff・CageyChameleon・Alluring Piscesといった名称でも知られるハッカーグループで、一連の攻撃は金銭的な動機によるものだと考えられています。人気のあるnpmパッケージを標的にすることで、一度に多数の潜在的な被害者へ間接的にアクセス可能になるというわけです。

Amazon Threat Intelligenceによると、ハッカーはゼロデイ脆弱(ぜいじゃく)性を悪用したりnpm自体をハッキングしたりするのではなく、ソフトウェアの開発者と親しくなって信頼を獲得し、アクセス権を獲得した後に「十分に信頼されているアカウント」から悪意のあるアップデートを公開したとのこと。

こうした攻撃手法はソーシャルエンジニアリングと呼ばれるもので、ハッカーは悪意のあるコードを導入する前に、正規プロジェクトのメンテナンスを行ったりコードに貢献したりすることで、数カ月かけて信頼を獲得していたそうです。Amazon Threat Intelligenceは「いずれの場合でも、攻撃者は正当性を『アクセスが最大となる瞬間に一度だけ使える資産』として扱っていました」と述べています。

また、Amazon Threat Intelligenceは生成AIによって攻撃者が信頼できる開発者のペルソナを作成したり、個々の担当者に合わせたメッセージを送ったり、説得力のあるソーシャルエンジニアリングキャンペーンを長期間維持したりするのが容易になっていると警告。「攻撃者は今や説得力のあるドキュメント、もっともらしいコミット履歴、偽のメンテナIDを備えた、一貫性があり慣用的で、コメントが適切に付けられた数千行のコードを生成し、バックドアを仕込むことができるようになりました」と指摘しました。