【高橋 克英】総額142億円の超セレブシェア別荘も…ニセコに並ぶ?急成長を遂げるリゾート地「ルスツ」の活況

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このたび上梓した拙著『超富裕層に「おもてなし」はいらない』(講談社+α新書)では、この先も不動産価格の上昇が見込め、インバウンドや富裕層に選ばれブランド化が進むリゾート地として白馬、妙高、宮古島などトップ10をランキング化し紹介している。本稿では、カネ余りと資産効果を背景に、インバウンドや富裕層が増加し、国内リゾート地にとって好ましい環境が続くなか、「リゾートランキング」トップ10では、福岡・糸島と同じく、惜しくも次点だった北海道・ルスツの魅力と可能性について紹介したい。

リフト券が1万6200円

今や日本を代表する世界的なスキーリゾートとして君臨するニセコでは、世界最高のパウダースノーを求め、豪州や米国、香港やシンガポールなど数多くの富裕層であふれている。

そのニセコから車で30分。羊蹄山を挟んでニセコエリアの東側に位置するのがルスツ(留寿都村)だ。ルスツへは、新千歳空港からも札幌からも車で約1時間半。車利用だとニセコより30分早く到達できる位置にある。新千歳・札幌発のニセコ行きバスの多くはルスツリゾートでも停車するので、ご存じの方も多いだろう。

ルスツリゾートの人気の理由の一つが、ニセコと同じく雪質の良さだ。3つの山(ウエスト・イースト・イゾラ)に広がる全37コース、総滑走距離42kmは単一のスキー場として北海道最大級を誇る。4つのゴンドラと14のリフトを誇り、平均年間降雪量は14mと良質なパウダースノーが降り積もる。洞爺湖‧⽺蹄⼭などの雄⼤な景⾊も魅⼒だ。

更に、敷地内には広大な遊園地、4コース・72ホールのゴルフ場、本格的な全天候型屋内プールなどが整備されており、「春夏秋はファミリー・ゴルフ、冬は世界のパウダースノー」というオールシーズン型リゾートだ。

この「ルスツリゾート」全体を所有し運営しているのが、1952年設立の加森観光であり、北海道最大のリゾート・レジャー企業である。同社が1980年代から一貫して一体開発を進めてきた「ルスツリゾート」は、ニセコのように外資系を含め複数の企業が夫々のスキー場などを所有・運営する形とは異なり、「一社による統合型リゾート開発」が行われてきた点が最大の特徴であり強みとなる。

参考までに、ルスツリゾートの2025年シーズンのリフト券(大人1日)は、1万6200円で国内最高額だ。ルスツは、米国ベイル、カナダ・ウィスラー・ブラッコム、日本の白馬バレーなどで利用可能な世界最大級の国際的な共通シーズンリフト券「Epic Pass」に採用されている。

総額142億円の「NOT A HOTEL」

ルスツリゾート内には、世界最大級の室内メリーゴーランドが有名なルスツリゾートホテル&コンベンションのほかに、外資系高級ブランドホテルである「ウェスティン ルスツリゾート」でも宿泊可能だ。全客室が76?以上のメゾネットタイプ(2階層型)であり、スキーイン・スキーアウトが可能だ。

「ザ・ベール・ルスツ」は、2020年に開業したホテルコンドミニアムである。地下1階10階建の全160戸を誇り、客室を資産として購入したオーナーが、自身が利用しない期間を客室として一般客に貸し出すことで運用収益も期待できる。東急リゾートによると、2025年の利回り実績は3%を超えている。オールシーズン型リゾートのルスツでは、スキーシーズンだけでなく、夏のアクティビティ需要も高く、年間を通して安定したホテル稼働が見込めるという。

こうしたなか、ルスツリゾートを更なるブランドに押し上げるであろう動きがあった。それが、超富裕層向け高級シェア別荘サービスを提供する「NOT A HOTEL」の進出だ。2025年8月に、NOT A HOTELの最高峰ブランド「NOT A HOTEL EXCLUSIVE」として世界同時に販売開始されたのが「NOT A HOTEL RUSUTSU」。2029年春に開業予定だ。

「NOT A HOTEL RUSUTSU」は、羊蹄山を真正面に望むルスツリゾートの山頂に誕生する最上級ヴィラで、ノルウェーの世界的な建築事務所「Snøhetta(スノヘッタ)」が設計を担当。敷地内には、ヘリポート、インフィニティバス、プライベートスパ、スキーラウンジなども備える。スキーラウンジで準備を整え、手つかずのパウダースノーのゲレンデへ山頂から直接滑り出せる、究極のスキーアウト環境だ。

気になるのが販売価格だが、12分の1の所有権が保有できるシェア購入は1口で11億8,502万円(毎年30泊利用)であり、管理費が別途で毎月127万8,930円かかる。

ちなみに、一棟丸ごと全12口購入した場合は、総額142億2016万2000円、管理費月額1,534万7,160 円(71年間の定期借地)。目の飛び出るような金額だ。

2年連続で「スキーリゾート」日本一の評価

ルスツリゾートには、パウダースノー、北海道最大級のスキーコース、外資系高級ブランドホテルなど宿泊施設、温泉、高級ダイニングなどが揃っている。

実際、ルスツリゾートは、「旅⾏業界のオスカー」とも評される「World Ski Awards 2025」において「Japan's Best Ski Resort 2025(日本ベスト・スキー・リゾート部門)」の最優秀賞を2年連続で受賞している。同リゾートの受賞は通算6度目だ。更に、「ザ・ベール・ルスツ」による『Japan’s Best Ski Hotel』などを含め、ルスツリゾート全体で合計10の賞を獲得し、ニセコを凌ぎ、国内で最多の受賞歴を誇る。

その他、ルスツリゾート以外のエリアでも、ルスツ初のサウナ付き貸切ヴィラ「エルサルスツ」、デザイナーズ別荘群の「ルスツ・シャレー」など、プライベート感とラグジュアリーを両立した一棟貸しヴィラや高級別荘が誕生してきている。

なお、留寿都村内のホテルやロッジなど宿泊施設は82棟あり、総客室数は1,403室を数える。このうち、ウェスティンやベイルなど加森観光の宿泊施設は8棟ながら総客室数(1087室)では8割近くを占める。

ニセコとの「ハイブリッド利用」も

北海道観光入込客数調査報告書によると、留寿都村の2024年度の訪日外国人宿泊者数(延べ人数)は、13万4,313人と前年の11万2,151人から19.8%増加している。このうち、国別訪日外国人宿泊者数(延べ人数)では、韓国が全体の25.3%を占めており、豪州が15.1%、台湾が13.0%、中国が12.3%と続き、以下、米国、香港、シンガポール、タイなどとなっている。

2026年冬シーズンには、米豪カナダから新千歳空港への直行便が就航する効果もあり、ニセコ同様に、ルスツを訪れる海外スキーヤーは大きく増えそうだ。

ニセコから車で30分とアクセス良好なことから、ルスツリゾートには、ニセコから日帰りで訪れたり、ニセコ・ルスツ双方に宿泊したりする海外スキーヤーも多い。昼はルスツリゾートでパウダーを滑り、夜はニセコひらふでのナイトライフを楽しむ、あるいはその逆といった「2大リゾートのハイブリッド利用」も進みそうだ。

基準地価は5年連続上昇中

首都圏資本や外資によるヴィラや別荘開発がルスツに集中している。中でも国道230号線沿いでルスツリゾートに近かったり、羊蹄山ビューのロケーションなど、別荘・リゾート開発に適した場所は、売り手市場になりつつある。

実際、留寿都村の2025年の住宅地の基準地価(平均)は、5,600円/?( 1万8,512円/坪)で前年比8.09%と5年連続で上昇した。市町村別の上昇率では全国51位であり、北海道に限れば、真狩村、千歳市、倶知安町、ニセコ町、京極町、富良野市に続く7位につけている。

なお、ニセコ(倶知安町)では、住宅地の基準地価(平均)は、9万2,833円/?(30万6,887円/坪)で前年比13.63%の上昇であり、単純計算ながら、ルスツはニセコの16分の1程の値段にとどまる。無論、これら数値は、倶知安町、留寿都村ともに限られた計測地点の平均値であり、スキーリゾート周辺の特定開発用地や別荘エリアに限定すると、実勢価格は基準地価の数倍の坪単価で取引されるケースもある。

投資が投資を呼ぶ好循環に

ルスツにおいても、外資系高級ブランドホテルの存在に加え、NOT A HOTELなど高級シェア別荘やホテルコンドミニアムなど良質な不動産の投資機会が供給され、国内外の投資家や富裕層が集まることで、ブランド力が更に高まり、資産価値の上昇により、更なる開発や投資が行われる、という投資が投資を呼ぶ好循環が生まれようとしている。

環境保全などを図りながら、地元にとっても、投資や消費が増えることで、雇用や税収が増えることで恩恵がある話だ。更なる消費と投資を惹きつけているルスツにはこの先も注目したい。

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