桜井日奈子

写真拡大

「このコが壊れたらどうしよう。本当に大切なんです」

 女優の桜井日奈子(29)が愛おしそうに抱きしめるのは、高校時代から履いているバスケットボールシューズだ。

 父がミニバスケットボールのコーチをしていた縁で、桜井は5歳のときからバスケットを始め、13年間続けた。

「私は兄と弟の3人きょうだいで、だいたいのものがお下がりなんです。このバッシュもどちらかから譲り受けたもの。高校時代からずっと履いていて、私の足に馴染みきっています。長いこと使っているからソールもすり減っているし、真っ白だったのに醤油を煮詰めたような色になってしまって(笑)。それでも私の汗と涙が染み込んだ大切なバッシュなので、買い替えるつもりはない大切な “相棒” です」

 今でも月に1、2回はプレーしているというバスケットボールは、気分転換であり仕事とも似ているという。

「バスケはチームスポーツなので、自分ばかりが前に出ても勝てないですし、かといって、まわりに頼りすぎるとうまくいかなかったりもする。チームがひとつになって同じ方向に向かって走るのは、バスケも映画・ドラマ・舞台の仕事も同じだと思うし、やっていてすごく楽しいです。

 バスケで大きな声で “声出し” をするのに慣れているから、舞台のときに『意外と声が通るね』と褒められることもあります。いろんな意味で、バスケをやってきて本当によかったと思います」

 17歳のときに「おかやま美少女美人コンテスト」で美少女グランプリを獲得。 “岡山の奇跡” と呼ばれて芸能界入りし、今年は女優デビューから10年となる。

 この間、転機になった出会いがあったという。

「『ハロルドとモード』(2023年上演)という朗読劇で黒柳徹子さんと戸田恵子さん、渡辺いっけいさんら、大好きなベテランの方たちとご一緒したんです。

 徹子さんは90歳になられていて、そのご年齢まで求められ続けることはすごいなと思って。きっと人間を超越した魅力みたいなものが徹子さんにはあると思うんです。徹子さんとご一緒してから、私も生涯求められ続ける人でありたいと思うようになりました」

 桜井は「高い熱量で作品に挑めているから、今はとても充実している」と生き生きした表情を浮かべた。

 公開中の福田雄一監督の映画『SAKAMOTO DAYS』では、殺し屋の帯黒を演じ、バキバキに割れた腹筋で激しいアクションを披露している。

「あれだけ布面積が少ない服を着て演じる役は、初めてでした(笑)。でも、やるからには魅力的に見えるようにしたいし、(私に)お願いしてよかったと思われたかったので、準備期間のアクションの𥡴古では、肉体的に自分を追い込みました。運動神経には自信があるので、アクションはこれから自分の武器になるように生かしていきたいですね」

 そんな桜井がダンス&ボーカルグループ「STARGLOW」の日穏(かのん)と主演を務めたのが、映画『死神バーバー』(公開中)だ。桜井は死までの数日間を死神が営む美容室で過ごすことになったヒロイン、佐伯美帆を演じる。

「不器用でカッコつけちゃうところは私もあると思うので、美帆の80%くらいは共感できます。私も心のなかでイライラを溜め込んでしまって爆発しちゃうタイプなんですよ。

 たまに爆発したときは、マネージャーさんに受け止めてもらっています(笑)」

 本作は死までの数日間がテーマでもある。最後の一日でやりたいことは?

「やっぱり家族に会って感謝の気持ちを伝えたいですね。それと私はこのお仕事が好きなので、最後の一日で撮れる作品をやりたい。

 これが遺作になると思ったら、今までとは違う気持ちで挑めて、見たことがない景色で演じられるかもしれません。

 最後の晩餐ですか? 大好きな穴子が食べたいです(笑)」

さくらいひなこ
1997年4月2日生まれ 岡山県出身 2014年、デビュー。映画『ママレード・ボーイ』、ドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』など、映画、ドラマに多数出演している。7月9日夜10時スタートのドラマ『ラストノート』(フジテレビ系)にも出演

写真・木村哲夫 
スタイリスト・有咲
ヘアメイク・hitomi