「え、めっちゃ破けてません?」本田も驚いた田中碧の“穴あきソックス”、中村敬斗の短いソックスは主審が注意…日本代表の足元に隠された意外な理由
北中米W杯の日本代表で、思わぬ注目を集めているのが選手たちの足元だ。スウェーデン戦では中村敬斗が短いソックスをめぐって主審から注意を受け、一時ピッチを離れる場面があった。
【画像】サッカー日本代表の集合写真で見ると一目瞭然の短いソックス
一方、田中碧のふくらはぎ部分が大きく破れたソックスには、NHK中継で解説を務めた本田圭佑氏と林陵平氏も反応。なぜ選手たちはソックスを短くしたり、穴を開けたりするのか。
本田圭佑も驚いた田中碧の“破れたソックス”
サッカー日本代表の足元が、W杯のピッチ上で思わぬ話題になっている。
きっかけのひとつは、グループF第3戦のスウェーデン戦だった。中村敬斗は、ふくらはぎ付近まで下げたように見える短いソックスでプレーしていたが、試合中に主審から注意を受けた。ソックスを上げるよう促された後、最終的には履き替えを命じられ、一時的にピッチ外へ出ることになった。
中村にとって、この履き方は単なるファッションではない。本人はこれまで、足がつりやすい体質に悩んできたことを明かし、その不安を軽減するためにプロ入り後から短いソックスを続けてきたと説明している。本人にとっては、長年かけてたどり着いた“試合用の感覚”だったからこそ、試合中の変更は小さくないストレスだったはずだ。
もうひとつ注目を集めたのが、田中碧のソックスだ。スウェーデン戦の中継では、ふくらはぎ部分が大きく破れたように見える状態に、本田圭佑氏が思わず反応した。
「え、田中さんめっちゃソックス破けてません?」
これに対し、解説の林陵平氏は理由を説明した。
「ふくらはぎの圧を避けるためですね」
本田氏は、意外そうに問い返した。
「まじ? うそやん。わざと?」
林氏は、意図的なものだと認めたうえで、さらにこう補足した。
「ファッションじゃないです」
「つらなくするためというか、ふくらはぎに圧かかるじゃないですか、ソックス。それを軽減してますね」
本田氏は納得しつつも、安全面への不安を口にした。
「でもあそこバーン蹴られたらやばいやん」
このやりとりが象徴しているように、ソックスに穴を開ける行為は、見た目だけなら「破れている」「だらしない」と受け止められやすい。しかし、近年の欧州サッカーでは珍しいものではなくなっている。
目的は「ふくらはぎの圧」を逃がすこと
では、なぜ選手たちはわざわざソックスを切ったり、短くしたりするのか。
大きな理由は、ふくらはぎへの締め付けを減らすためだ。サッカー用のソックスは、すね当てを固定し、激しい動きの中でもずれにくいように作られている。その分、ふくらはぎへの圧迫感が強くなりやすく、試合終盤や暑熱環境では、筋肉の張りや違和感、けいれんへの不安につながることもある。
中村の短いソックスは、まさにこの問題への個人的な対策といえる。ふくらはぎを強く覆わないことで締め付けを避け、足がつる感覚を少しでも減らしたい。田中のようにソックスの後ろ側に穴を開けるケースも、発想は近い。ふくらはぎの筋肉が膨らむ部分に“逃げ道”を作り、圧迫感を軽くする狙いがある。
もちろん、「穴を開ければ必ずけいれんが防げる」と医学的に証明されているわけではない。水分補給、筋疲労、気温、運動量など、足がつる原因は複合的だ。ただ、トップ選手にとっては、わずかな違和感がプレーの判断やスプリントの質に影響する。本人が「これなら動きやすい」と感じるなら、それ自体がパフォーマンスに関わる可能性はある。
一方で、安全面の懸念も残る。ソックスに穴が開いていれば、その部分は皮膚が露出しやすい。相手選手のスパイクが当たれば、擦過傷や裂傷のリスクは当然ある。快適さと保護性能のバランスをどこで取るかは、選手個人だけでなく、審判や大会運営側の判断にも関わってくる。
ルール上、サッカーの競技規則では、選手の基本装備としてシャツ、ショーツ、ソックス、すね当て、シューズが定められている。すね当ては合理的な保護を提供するものでなければならず、さらにソックスで覆われている必要がある。
つまり、「ソックスを着用しているか」「すね当てが覆われているか」「危険な状態ではないか」が重要となる。ソックスに穴を開ける行為そのものを、競技規則が一律に明確禁止しているわけではない。ただし、穴の位置や大きさによって、すね当てが十分に覆われていない、装備として不適切、あるいは危険と判断される可能性はある。
W杯のような国際大会では、競技規則に加えて大会ごとのユニフォーム規定や運用もある。中村が注意を受け、履き替えを命じられたのは、審判団がその日の基準で「そのままでは認められない」と判断したためだろう。装備に問題があると判断された選手は、審判の指示でピッチ外に出て修正し、チェックを受けてから戻ることになる。
一方、田中の穴あきソックスが試合中に問題視されなかったように見えるのは、すね当てが覆われており、審判団が危険または不適切とまでは判断しなかったからだと考えられる。同じ“普通ではないソックス”でも、穴の位置、露出の程度、すね当てとの関係、審判団の解釈によって扱いは変わる。
“見た目の違和感”の裏にあるトップ選手の繊細な感覚
中村の短いソックスも、田中の穴あきソックスも、外から見れば奇妙に映るかもしれない。だが、そこにはトップアスリートならではの切実な事情がある。
90分間、何度もスプリントし、急停止し、方向転換し、相手と接触する。しかもW杯の舞台では、緊張や気候、ピッチ状態、移動疲労も重なる。選手はその中で、自分の体が最も自然に動く状態を探し続けている。ソックスの数センチ、ふくらはぎへのわずかな圧、すね当ての位置。その小さな違和感を消すことが、プレーの安定につながることもある。
ただし、個人の工夫が常に認められるとは限らない。サッカーはチームスポーツであり、同時に厳格な競技規則と大会運営のもとで行われる。本人にとって合理的な装備でも、審判や大会側が不適切と判断すれば修正を求められる。
今回のソックス騒動は、単なる珍プレーやファッション論ではない。選手が自分の体とどう向き合い、パフォーマンスを最大化しようとしているのか。そして、その個人の工夫がルールや安全性とどこで折り合うのか。日本代表の足元に集まった視線は、現代サッカーの細部へのこだわりを映し出している。
文/集英社オンライン編集部

