「櫻井翔のゲスト起用は無駄」…日曜劇場『GIFT』に関係者は辛辣意見
60年以上の長い歴史を持つ、TBSで日曜午後9時から放送する連続ドラマ枠『日曜劇場』。これまで同枠からは数多くの話題作やヒット作が送り出され、近年は“ドラマ界の頂点”に君臨する枠と言っても過言ではないだろう。
特に2000年代中盤からラブコメディ路線から重厚なテイストに変容を遂げていき、2013年に放送された堺雅人主演の『半沢直樹』は最終回の視聴率が42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)という驚異的な数字を叩き出したほか、2023年の『VIVANT』は謎が謎を呼ぶ複雑な展開と壮大なスケール感で社会現象を巻き起こし、最終回視聴率が19.6%に達した。さらに、直近の『リブート』も全話平均で2ケタ超えの視聴率を記録するなど、常に高い数字をマークしてきた。
そんな“ドラマ界の頂点”に異変が起きている――。現在放送している堤真一主演の『GIFT』が、稀に見る苦戦を強いられているのだ。
『GIFT』の初回世帯視聴率は9.4%と、日曜劇場としては4年ぶりとなる1ケタ台のスタート。その後も数字は伸び悩みを続け、ついに第8話では6.0%という危険水域に到達。個人視聴率に至っては3%台に落ち込んだ。第9話こそ7.2%と盛り返したものの、『日曜劇場』としては完全に“大コケ”してしまっているのだ。
前編「待望の新シリーズ『VIVANT』の前座にすらならず…日曜劇場『GIFT』が大失敗してしまったワケ」に続き、『GIFT』がコケた要因を業界人に聞いた。
豪華すぎるキャストが悪影響に
「キャストの起用法が問題だったのでは?」
そう漏らしたのは、キー局のドラマ班でキャスティング担当を務める女性社員・C氏だ。
「『GIFT』の魅力は、なんといってもその豪華なキャストにあったと思います。主演の堤真一さんをはじめとして、山田裕貴さん、有村架純さん、本田響矢さん、細田佳央太さん、Kis-My-Ft2の玉森裕太さんといった、他局であればそれぞれが主役を張れるレベルの俳優がズラリと並んでいた。さらに吉瀬美智子さん、安田顕さん、山口智子さんといった中堅・ベテラン勢も充実。キャスティングを任される私からすれば、こんな羨ましいことはないですが……。
皮肉なことに、この豪華キャストが逆にドラマの焦点をぼやけさせていた印象を受けましたね。
特に山口智子さん演じる主人公・伍鉄の元妻、玉森裕太さん演じる息子が登場するシーンです。伍鉄が抱える家族関係の修復といったホームドラマ的な展開が多くなっていき、中盤以降は『何のドラマを見ているんだっけ?』と戸惑ってしまった。個人的には、伍鉄と車いすラグビーチームのメンバーとの交流やバチバチをもっと描き切ってほしかったです。
局としては大物である2人のシーンを増やさざるを得なかったのでしょうが、バイプレーヤー的な俳優の起用であればそうはならなかったはず」
また、終盤に起きた衝撃の展開についてもC氏は苦言を呈した。
「9話で山田裕貴さん演じるエース選手・宮下涼が、試合中に倒れてその後亡くなってしまうシーン。衝撃とともに、不満がこみ上げました。
山田さんの鬼気迫る演技に感動こそしましたが、話を盛り上げるためだけに死なせたのでは……と一気に冷めてしまったんです。確かに7話ぐらいから病気に関する匂わせ描写はありましたが、唯一といっていいほど深く人物背景が描かれていたキャラクターが死んだことで、誰に感情移入をよいか分からなくなってしまいました……」
C氏のコメントにある不満はレビューサイトにも多数書き込まれており、最終回を盛り上げるための展開が逆効果を生んでしまったようだ。
櫻井翔のゲスト起用も“テコ入れ”には疑問符
さらにC氏は、視聴率の低迷を受けて最終話で櫻井翔を車いすラグビー協会の理事長役としてゲスト起用される点にも触れた。
「櫻井さんの起用は嵐ファンを引き寄せるという意図でしょう。その影響もあってか、情報発表のあった第9話の視聴率は7.2%にアップしましたが、そもそも視聴者が離れた理由はキャストではなく、ストーリーの散漫さにある。この贅沢なテコ入れも無駄になると思いますね」
「全話を担当するのが金沢知樹さんということで期待していたのですが……」
脚本の物足りなさを指摘したのは、ラブストーリーを得意とするベテラン脚本家・D氏だ。
「脚本を担当している金沢さんの持ち味は、『サンクチュアリ -聖域-』で見せたような人間の生々しい感情をリアルなセリフに落とし込む力。しかし、日曜劇場はファミリー層から高齢者まで幅広い層が視聴する枠でスポンサーの目も厳しい。結果として、無難なセリフばかりになってしまったのが残念です。
ストーリー展開もパラスポーツを扱うというプレッシャーからか、全体的に丁寧な作りになりすぎていた。もっとパラスポーツに取り組む選手たちのドロドロとした人間くさい部分もしっかり描いてほしかった……」
『VIVANT』は悪い流れを引きずってしまうのか
では『GIFT』の低迷によって、同枠の次クールに控える『VIVANT』の続編に影響はあるのだろうか。雑誌やウェブに寄稿するドラマライター・B氏は語る。
「結論から言えば『VIVANT』への影響は全くないでしょう。制作費やスケール感、事前のプロモーションの規模がケタ違いでしたから。『GIFT』が失敗したところで視聴率が下がることはないはず。
とはいえ、TBSは『GIFT』の失敗を生かさないと、いつまでも同じようなジャンルのドラマを作ることになる。しっかりと反省してほしいです」
この夏『VIVANT』の続編シリーズが熱狂する裏で、TBSは大きな試練を与えられたようだ。
【あわせて読む】地上波は眼中になし…「TBSドラマ」が一強になった背景
