国民会議は食品消費税減税をしない言い訳作りのためか…高市内閣が抱える深刻な「問題の先延ばしグセ」
「議事録に残したくない何かがあるのか」
2月26日、高市早苗総理(64)は首相官邸で消費税減税や給付付き税額控除の制度設計を議論する「社会保障国民会議」の初会合を開催。高市総理は「税・社会保険料、物価高に苦しむ中低所得者の負担を緩和したい。できるだけ早期に必要な法案の国会提出を目指したい」と述べた。
しかし、野党第1党、第2党の中道改革連合(以下、中道)と国民民主党は参加を見送ると表明。
参政党や共産党、れいわ新選組には、消費税に対する考えが異なるとして参加を呼びかけなかったため、「国民」を冠する会議ながら、参加したのは自民党、日本維新の会、チームみらいの3党のみとなってしまった。
24日、高市総理の施政方針演説に対し、各党の代表質問が行われ、中道の小川淳也新代表(54)は「国民会議」の設置の是非についてこう問うた。
「与党自らが諸課題を整理し、国会に堂々と提案し、完全公開の場で議論するのが常道ではありませんか。今、なぜ消費減税等に関して、なぜ国民会議なのか、その意図を説明してください。仮にやったふり、責任転嫁の国民会議であれば賛同しかねます」
政策協議体なので「ゼロからの議論」ではなく、「給付付き税額控除の実現に賛同する野党に声をかけている」という政府・与党側の主張にうなずけなくはない。ただ、「国民」と銘打っているにもかかわらず、会議に参加できない政党が出るのはおかしな話だ。
「財政金融委員会で特別委員会を設置して、国会の場で話し合えばどの党も参加できる。国民が投票した公党を議論から排除するのもおかしな話で、国会の議事録に残したくない何かがあるのか」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)
アリバイ作りのため?
今回の国民会議は、高市氏が昨年10月の所信表明演説で社会保障の改革を議論する超党派と有識者の国民会議を創設すると打ち出したもの。1月5日の年頭記者会見で「1月中に設置する」と設置時期も述べていた。
ところが突然の解散・総選挙で設置が遅れ、本来は社会保障の改革を議論すべき会議が「食料品消費税ゼロにするかどうかは国民会議で検討する」と時期も内容も二転三転している。
高市政権は「夏前までに中間報告をまとめる」と目論むも、中道も国民民主も国民会議の初会合は不参加。途中参加も認めるようだが、“見切り発車”は否めまい。
「国民会議の初会合は実施されるも、参加できる野党と参加できない野党と色分けをし、野党から参加するのはチームみらいだけ。そのみらいは先の総選挙で消費税率は維持し、社会保障費の削減を提唱し、11議席を獲得。消費税減税を行わないのは自民党内の大半の声で『消費税率は下げない』という結論がすでにあるのではないか。
高市氏として『私は国民のために国民会議を設置した』というポーズがとれればいい。議論の末、税率維持だとしても、『物価高だが、消費税減税が最善策ではなかった』と国民会議を通じてお墨付きが欲しいだけなのではないか」(前述の角谷氏)
今国会では新年度予算案を3月末までに成立できるか否かについても紛糾している。高市氏は野党に迅速な審議について協力を要請し、「令和8年度予算と今年度末までに成立が必要な法案の今年度内の成立を目指していく」と年度内成立に意欲を示している。
しかし、予算審議が約1ヵ月も遅れているのは高市氏が真冬に断行した解散・総選挙が原因だ。
「過去最大規模となる122兆円もの予算案にもかかわらず、その審議の時間も削って日程を短縮し、新年度予算の成立を図ろうとしている。
防衛費は過去最大の初の9兆円台に乗せた。防衛力のあり方については、安保関連三文書の改定や防衛装備移転三原則の運用指針を見直し、5類型を撤廃する法案を提出する予定だ。
増大していく防衛費に対し安定した恒久財源をどう工面するのか。また殺傷能力のある防衛装備品を海外輸出するとなれば国会で相応の審議が必要だし、国民に向けた丁寧な説明も必要。だが、『早期に法案化』の大号令がかかっている。選挙結果は自民党の歴史的大勝となったが、国民は白紙委任状を渡したわけではない」(全国紙政治部記者)
2月18日、第2次高市内閣が発足すると「『高市内閣2.0』の始動です」と笑みを浮かべた。『2.0』の意味するところが、「審議時間の短縮」や「異論の排除」、「アリバイ作りのための国民会議」でないことを切に願う。
取材・文:岩崎 大輔
