「オルカン万能論」を信じる個人投資家にまさかの悲劇。〈インデックス投資〉上昇相場の終了で「冬の時代が来る」と語るワケ【投資のプロが警告】

写真拡大 (全2枚)

これまでインデックス運用が万能とされてきたのは、約40年間続いた株価上昇トレンドのおかげに過ぎません。「超カネ余りバブル」が破裂すれば、業績低迷企業の株価下落に足を引っ張られ、市場全体を買うインデックス運用は成績低迷に直結すると著者は警告します。本記事では、澤上篤人氏による書籍『大逆回転前夜 資産防衛の最終警告』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集し、超カネ余りバブル崩壊によってインデックス投資が迎える厳しい現実を解説します。(カネ余りバブル:半世紀続く過剰な資金供給やゼロ金利政策などで行き場を失った巨額マネーが金融市場に流れ込み、実体経済と乖離して価格が高騰した状態)

「インデックス万能論」の終焉と冬の時代の到来

超のつくカネ余り株高バブルの破裂は、インデックス運用が万能とされてきた時代の終焉を告げることになる。そう、1980年前半から40年余り続いた株価上昇トレンドが、インデックスつまりパッシブ運用を下支えしてきただけのこと。

その40年越しの株式市場の上昇相場では、ほとんどすべての株価が上昇トレンドを追った。それが故に、インデックス運用すなわち株式投資とさえ、みなされてきたわけだ。

株式投資は本来、個別株の選別投資が基本である。たとえば、利益成長が期待される企業の株式は買われるが、減益とか欠損企業の株式は売られる。それが普通である。ところが、ものすごい全面高の株価上昇が続くと、大半の企業の株式は買われて上昇する。すなわち、株式市場全体を買えばいい、つまりインデックスを買っておけば良しとなる。

そういった長期上昇相場が終われば、状況は一変する。やはり利益見通しの良い企業の株式は買われるが、減益とかの企業は売られる。つまり、株式市場全体を買っておけば良しというわけにはいかなくなる。それはそのまま、インデックス運用万能論の終焉となっていく。

それどころか、インデックス運用が冬の時代に入っていくことになる。この40年余りで、はじめての現象である。どういうことか?

最低10年は低迷…オルカン投資家は耐えられるか

業績見通しの良い企業は買われ、減益あるいは利益低迷企業の株式は見向きもされなくなる。それが株式市場本来の姿であるが、市場全体を買うインデックス運用にとっては成績低迷に直結する。

そう、超カネ余りバブルが崩壊すると、業績低迷企業や赤字企業などの株価低迷や下落に足を引っ張られて、インデックス運用の成績も長期の低迷を余儀なくされることになる。したがって、企業を選別投資するアクティブ運用とは大きな成績差がついていく。それが、インデックス運用が冬の時代を迎えるということだ。

超のつくカネ余りバブルが破裂した後だ。最低でも10年は冬の時代が続こう。もっとも、株価全般は長期でみると右肩上がりトレンドを描くもの。インデックス運用も同様で、10年あまりの冬の時代を越すと、再び上昇トレンドに入っていくことになる。

いまオルカンなどインデックスファンドに凝り固まっている個人投資家は、果たして最低でも10年は続くインデックス運用の冬の時代に耐えられるかどうか。もちろん、その間ずっと積立て投資を続けられたら、大きな投資成果を手にすることができる。さあ、皆さん頑張り切れるかどうか。

もうひとつ興味あるのは、アクティブ運用はインデックス運用に勝てないと宣(のたも)うておられる学者先生方だ。果たして、どのような見解を出すのだろうか。

「アクティブは勝てない」という学者定説への反論

投資運用を語るにおいて、いまや定説のようになっているのが、アクティブ運用はパッシブ運用に勝てないという考え方である。学者先生方も、皆そう主張している。

アクティブ運用では、将来性のある企業を選別して投資するから、市場全体の株式を玉石混交で買うパッシブ運用よりも成績は高くなるはずである。成長性の高い企業を主体に選別しているから当然のことである。

ところが、よく言われるのは成長性の高い企業を選別するといっても、そう上手く企業選別はできない。企業リサーチをしたり、運用するコストを勘案すると、株式全般を単純に購入するパッシブ運用の方が成績は上になるといわれる。

また、学者先生たちは過去の運用成績のデータを分析して、アクティブ運用はパッシブ運用に勝てないと結論づける。データ分析した上での結論だから、たしかに説得力はある。

どちらも、長期の投資運用の現場というものを知らない人たちによる、パッシブ運用有利論である。

アクティブ運用のファンドでは、それこそピンキリの世界である。優秀な運用能力を誇るピンのファンドもあれば、ド下手な運用ファンドもある。一概にアクティブ運用ファンドの成績といっても、数多くのアクティブ運用ファンドの平均値に過ぎない。ド下手な運用のファンドが消滅していく寸前までは、それらをも含んだ平均成績が、アクティブ運用の成績ということになる。

一方、パッシブ運用は平均株価などインデックスそのものであって、運用の上手い下手はない。ド下手なファンドたちに足を引っ張られることになりかねない、アクティブ運用ファンド全体の成績だ。

そのためパッシブ運用ファンドの下にくるなんて、いくらでもあり得る話。まして、学者先生方のいうデータも、この43年間の世界の株価右肩上がりをベースにしてのこと。超カネ余りバブルが弾けると、そのデータとやらもズタズタになるだけのこと。われわれ筋金入りのアクティブ運用者からすると、平均株価などに負けるなんてあり得ないこと。

手前ミソながら、さわかみファンドの成績はこの26年間、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)をずっと上回っている(図表1)。

[図表1]これが本物の長期投資運用だ

この26年間の成績差だ。ということは、日本経済が国を挙げてデフレ克服に躍起となったものの、日本経済は長期低迷を続けた。その中でも、これだけの差がついているのだ。

将来、日本経済に活気が戻ってくれば、個々の企業を選別買いするアクティブ運用の方が、インデックスよりもずっと上にくるだろう。まして、バブル崩壊でインデックス運用が冬の時代に入っていくのだ。大きな成績差となろう。

澤上 篤人

さわかみホールディングス代表取締役