孫が綴る佐藤愛子さん102歳の姿「施設での誕生会。丁寧に扱ってくれるスタッフと友人のおかげで、祖母はまだ作家としての自分を忘れないでいられている」【漫画】
102歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館)をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん102歳」。第13回目は「誕生日・2日目」。
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誕生日・2日目
祖母の誕生日を再び祝うため、11月25日に母と私は施設を訪れた。
施設のほうでも誕生日会を開いていただけるとのことだったのだが、戸籍上の誕生日と実際の誕生日が20日もズレているとはスタッフさんもつゆ知らず、11月25日のお祝いと相成ったわけである。

施設内のダイニングで、スタッフさんがテーブルを繋げてパーティーの用意をしてくださった。大きなフラワーアレンジメントが飾られ、祖母と仲のいい入居者数名に囲まれて、真ん中に祖母が座った。
102歳、入居前は家に帰りたいだの自分は監禁されているだの言っていた祖母に、1年足らずでこんなに新しい友人ができていた。
微笑ましい半面、なんだかシュールだと思った。
最後まで残された《帰る場所》
前回、家族と元お手伝いのCさんだけでお祝いした時とは打って変わってしっかりした様子だった。お花を見れば綺麗と言い、プレゼントをいただけばお礼と感想を述べる。私は驚いた。祖母の認知症がひどくなる前の、仕事相手への対応を思い出した。
祖母は身内に対しては自由奔放というか唯我独尊というべきか、人のことはとやかく言うが自分は何をしても許されるのだと言わんばかりの態度だが、他人に対しては案外丁寧で、そんな祖母を見ると「他者に敬意を払う社会性がこの人にあったのか」とびっくりしたものだ。

この日の祖母は「社会性のある祖母」だった。祖母を丁寧に扱ってくれるスタッフさんと、佐藤愛子を知ってくれている友人方のおかげで、祖母はまだ作家としての自分を忘れないでいられている。
「家」を忘れた祖母にとって、「作家・佐藤愛子」は、祖母に最後まで残された《帰る場所》なのかもしれない。
