『世界で活躍する書道家』に ファジアーノ岡山のスローガンの揮毫を手がけた新進気鋭の書道家・梨乃さん 「自分の字で誰かに感動を届けたい」【岡山】
(竹内大樹アナウンサー)
「こちら【画像①】、当時、J2だったファジアーノ岡山がJ1へのプレーオフに臨む際に使用していたスローガンです。岡田さん、この文字に見覚えはありますか?」
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(岡田美奈子アナウンサー)
「もちろんあります!ポスターや応援グッズなど、街のいたるところで目にしました」
「この文字を書いたのは、岡山市在住の24歳、書道家の梨乃(りの)さんです。自分の字で多くの人に感動を届けたい。精力的に活動する、若き書道家の姿を追いました」
(梨乃さん)
「古典の作品を中心に自分が書きたいなと思ったページを開いて、書きたい字を書くっていう練習ですね」
岡山市在住、24歳の書道家、梨乃さん【画像③】です。
(梨乃さん)
「こんな感じで4文字を練習しています。一枚書いたらもう一枚書きたくなるので、結局集中して何時間も書いちゃうんですけど」
きっかけはJ1に昇格したチームのスローガン
「全員で勝つ!」【画像④】
梨乃さんに光があたるようになったきっかけは、ファジアーノ岡山の、スローガンです。J1昇格前の2023年から2期にわたって揮毫を手がけました。
(梨乃さん)
「これ【画像⑤】が2023年のポスターなんですよ。この字を筆文字で書いて(SNSにあげて)みた」
(平松咲季記者)
「そしたらこれが、公式の目に留まった?」
(梨乃さん)
「そうです。書いてほしいっていう風に言われて。それが初めての仕事です」「『字が筆文字になるだけでこんなにパワーをもらえるんだ』と、サポーターから結構お声がけはいただきました。夢みたいな…、びっくりですね(笑)」【画像⑥】
「勝利の女神」と注目 書道家以外の顔も
チームのJ1昇格を機にサポーターから「勝利の女神」と注目された、梨乃さん。日々の制作風景を映した動画はSNSで話題を呼び、インスタグラムのフォロワーは7万6千人を突破しました。
さらに、動画を目にした企業から制作依頼が相次ぎ、現在は、岡山県内の飲食店を中心に、看板や店舗の装飾などを手がけています。
梨乃さんは普段、岡山市の新聞社で派遣社員として働いています。ここでは、書道ではなくSNSの運用スキルをいかし、情報サイトの管理などを担当していて、出勤は週5日、朝から夕方まで。
(平松咲季記者)
「同僚を前に野暮な質問ですけど、実際、両立は大変じゃないですか…?」
(梨乃さん)
「まあ、でも自分としては会社に来ることが息抜きみたいな感じなので、楽しいですね」
(同僚)
「本当に私には考えられない。すごいです…」
「書道の先生」の道を諦めることを悩んだことも
仕事が終わるのは、午後4時半ごろ。帰宅後は、どんなに疲れていても毎日必ず机に向かうようにしているといいます。
(梨乃さん)
「(毎日)座ることを大事にしています。この席に【画像⑩】。この席に座ってしまえば、集中できるので」
誰にも負けないと語る「書道への情熱」その背景にあるのは、筆を持つことを諦めかけた過去の挫折でした。
梨乃さんが習字教室に通い始めたのは、5歳のとき。小学生のころから、書の腕前を競う大会では賞の常連でした。
高校は、部活動で書道パフォーマンスができる地元の学校に進学【画像⑪】。その面白さに魅了され、「学校の書道の先生になりたい」と、専門に学べる国立大学を目指します。
しかし、受験に失敗。第二志望だった、書道学科のある広島の私立大学に入学したものの、環境が合わずこちらも半年で中退しました。
(梨乃さん)
「何だろうな…自分が大学を途中でやめるとは思っていなかったし、『人生終わったな』と思った。就職先もないだろうし。習字自体をやめた気分。気分的にはそんな感じになっちゃって…。どうしよう、みたいな…」
「書道の先生」の道を諦めるべきか。悩んでいた梨乃さんを励ましたのは、両親でした。
(梨乃さん)
「(両親に)『いや、終わったわけじゃなくて、別に今から始めたらいいんじゃない?』『書道だけじゃなくていろんなことに挑戦してみたら?』って言われて。それまでずっと私は『書道しかない』って思っていたので」
自分の生きる道を、見つめ直しました。両親に背中を押され、地元・岡山の大学に改めて入学。映像編集のアルバイトやリリックビデオの制作など、興味がわいたものに次々に挑戦したといいます【画像⑬】。
そうして視野を広げて気付いたのは、自分の中に眠っていた「書道」への情熱と、新たな夢。習字教室を開ける資格「師範」を取得し、書道家になる決意を固めたのです。
(梨乃さん)
「自分の字で誰かに感動を届けたいなと思い出して。『自分の書を仕事にしたい』っていう感じ」
『世界で活躍する書道家』を目指して
(梨乃さん)
「よろしくお願いします!」
梨乃さんは今、活動の幅を広げようと、全国に出張して作品制作をしています。
(梨乃さん)
「多分今まで受けた(仕事の)中で一番文字の量は多いかなと思います。失敗はできないので、緊張します」
この日は、東京にある居酒屋で壁と窓に一発勝負で文字を書くという、大仕事。SNSを通じて、オファーがあったといいます。
(おすすめ屋 宮澤達也さん)
「書いていただくのに、(字の)バランスがどのくらいがいいかなというのを、ご相談したくて…」
(梨乃さん)
「確かに…。ここって、人が座られるんですよね、通常は」
(おすすめ屋 宮澤達也さん)
「通常はそうですね」
(梨乃さん)
「じゃあ、もうちょっと(字は)上の方がいいですよね…」
(書くのを見せて)迷いなく、丁寧に、筆を走らせていきます。
(梨乃さん)
「大丈夫ですかね?」
「全然大丈夫です!」
「思った以上に一発でパッといかれたので結構びっくりしました」
(おすすめ屋 野本修取締役)
「いいよね、やっぱり。立体感があるよね、字に。プリントアウトと違って」
(梨乃さん)
「この壁に映えるような字を、この言葉がいきるような字体で。かっこよく書きたいなと思いながら、書かせていただきました」
梨乃さんの活躍に、両親の反応は…?
(梨乃さん)
「母は、『まだまだ』っていう感じで。お父さんは、いろんなところで私の字が見られるのが『すごく嬉しい』と言ってくれています」
(梨乃さん)
「『世界で活躍する書道家』っていうのが、自分の中のテーマというか、目標なので。そこを目指していきたいなと思っています」
自分の字で、世界中の人に感動を。新進気鋭の書道家・梨乃さんは、誰にも負けない熱い思いを胸に、きょうも筆を握ります。
