【密着】県内に誕生した女性ドライバーのレーシングチームでチャレンジする“異色”女性レーサーにフォーカス(静岡)
静岡・小山町の「富士スピードウェイ」で開催される、世界的にも珍しい、女性限定のカーレースがあります。その名も「KYOJOカップ」。
そこに、静岡県内から参加するのが、2025年、誕生したばかりの「富士山静岡レーシング」。そのドライバーの一人が、いとう りな選手。実は彼女には意外すぎる経歴があります。それは…。
「レースクイーンの仕事をしていたんです。レースクイーンって微笑んで、笑ってるだけなんですけど…」
何と、レースクイーンがレース自体に魅了され、ドライバーに転身してしまったのです。今回、いとう選手が運転するのは最高速度230キロを超える運転席むき出しのフォーミュラカー。実は、運転するのはこの日が初めて。
(監督)
「一番最上位のレベルのマシンになると思いますね」
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「ちょっとドキドキ」
「every.life」は…静岡に誕生した女性ドライバーだけのレーシングチームに密着。未体験の世界に飛び込んだ異色の経歴を持つ女性レーサーの挑戦を追います。
小山町にある「富士スピードウェイ」で開催される、世界的にも珍しい女性限定のカーレース「KYOJOカップ」。2026年で10回目となりますが、そこに静岡から参戦するのが、2025年誕生したばかりの「富士山静岡レーシング」。なぜ、静岡にレーシングチームを作ったのか?オーナーに聞いてみると…。
(富士山静岡レーシング 小島 孝仁 オーナー)
「静岡県が世界に誇る『富士スピードウェイ』をうまく活用して、世界から人を呼びたいというところです。『KYOJOカップ』のコンテンツが非常に魅力的で、これだったら世界から人が呼べるなと思って…」
実はオーナーの小島さんも元レーサー。今は観光事業も手掛けているため、このレースをきっかけに静岡に人を呼びこみたいと、2025年、静岡市や県と連携協定を結び、行政と一緒になって地域活性化を目指しています。
現在、チームに所属する女性ドライバーは2人。その一人、いとうりなさんは、かなり異色の経歴を持っています。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「仕事でレースクイーンのお仕事をしていたんです。その時はレースクイーンで微笑んで笑っているだけなんですけど、生で初めてレースを見た時にかっこいいなと思って、目指すようになりました」
レースに魅了されたいとうさん。当時は、ペーパードライバーでしたが、努力を重ね、20代前半でレーサーのライセンスを取得。すると、山を走るラリーや一般のスポーツカーで走るレースなどで何度も優勝するなど輝かしい成績を収めてきました。憧れから飛び込んだレースの世界ですが、今では新たな思いも芽生えたそうで…。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「レースを盛り上げていきたい、車好きを増やしていきたい、というのがベースにあって、私とか大人になって始めたので、やってみたいなって思っている人の、入り口を作ってあげられたらいいなっていうのはあって…」
そんな、いとう選手が挑む「KYOJOカップ」。使用される車体は、F1のようなドライバーむき出しのフォーミュラカーで、最高速度は何と230キロを超えます。様々なレースを経験してきたいとう選手でも初めてというフォーミュラカーですが、その特徴を監督に聞いてみると。
(富士山静岡レーシング 窪田 善文 監督)
「一番最上位のレベルのマシンになると思います。よりシビアな操作が必要になるので、ちょっと雑で何とかなってたというところも、もっとより繊細にコントロールするようなより高いレベルが求められる」
この日、レーシングカーの整備を行う施設で行われたのは、いとう選手の体にシートやペダルの位置などを合わせる作業。繊細な操縦をするために絶対に欠かせません。
(メカニック)
「ブレ―キは今の位置よりも?」
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「ちょっとだけ手前がいい」
(メカニック)
「どれくらい?感覚として…5ミリぐらい?」
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「5ミリぐらい」
アクセルやブレーキペダルの位置はミリ単位で調整します。僅かなずれが勝敗に直結するのです。
続いてはシートづくり。発泡ウレタンを使い、いとう選手の体の型を取ります。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「今ちょうど膨らんできている感じなので、動いちゃうと型が崩れちゃうのでキープです」
待つこと20分、いとう選手しか座ることができない、完全フィットの座席が出来上がりました
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「まだ本当にどんな感じか未知な感じなので、少しでもこの車と仲良くなれるように乗りこなしていきたいなと言うふうに思っています」
いとう選手に完全にフィットさせた車体で、数日後に行われる初めてのテスト走行に挑みます。
いとう選手はレースの傍らモデルやイベントなどの仕事もこなし、インスタのフォロワーは1万6000人。その普段の生活をのぞかせてもらうため、一人暮らしをしているという都内の自宅にお邪魔させてもらいました。一緒に出迎えてくれたのは、愛犬・ラブちゃん。女子力あふれる室内…かと思いきや、目に飛び込んで来たのは…。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「これですか。クワガタ。メチャかわいくないですか?UFOキャッチャーでゲットしたクワガタです。発見した時にこれは絶対取らなきゃと思い取りました」
2人の弟とわんぱくに育ったという…いとう選手は、かなり男勝りな性格のようで、休日だというこの日、向かったのは、新橋にある「タミヤ」のプラモデルファクトリー。実は、いとうさんの趣味はプラモデル作りなんだとか。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「プラモデルは好きなので近くに来た際には来るんですけど、車とバイクが好きなので興奮しちゃいますね」
さらにそのプラモデル作りにも並々ならぬこだわりが。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「その繊細さというんですかね、雑に組み立てればできるはできるんですけど、かっこよくない、レースもそう、雑にやれば走れるけどかっこよくないから繊細にコントロールしてあげると車も早く走れるし…」
なんとプラモデル作りはレースにもつながるトレーニングでもあったのです。
そして迎えた富士スピードウェイでのテスト走行の日。大会に参加する女性ドライバーが集まりました。
富士山静岡レーシングからは、いとう りな選手ともう一人、何とオーストラリアからペイジラダッツ選手が出場。
しかし、この日は朝からあいにくの雨で、初めてフォーミュラカーを運転するいとう選手にはかなり悪条件です。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「いきなり初めてで、ちょっと濡れてるのは結構ハードル高いなって感じはします。ちょっとドキドキ」
路面が濡れると、少しの操作ミスでもスリップし、大きな事故につながる可能性があります。大きな緊張に包まれながらも初めてのテスト走行が始まります。
すると、それまでの不安をよそに、華麗な運転テクニックを披露。とても初めてとは思えない走りで最高速度もなんと219キロ。しかし、テスト走行を終えたいとう選手は…。
(富士山静岡レーシング いとう りな 選手)
「まだまだですね。まだまだ足りない。本番までにちょっとでもタイム揚げられるように頑張りたいなと思います」
「2026 KYOJO CUP」の本番は、第1戦が5月9日から始まります。実際のレースでどのような走りを見せるのか、富士山静岡レーシング、いとうりな選手の挑戦に注目です。
