『教場 Requiem』キーマンは杉野遥亮? 『教場II』再放送は比嘉太偉智の“伏線”に注目
木村拓哉が主演を務める人気ドラマシリーズ『教場』が、『教場 Reunion』(Netflixで独占配信中)、『教場 Requiem』(2月20日より劇場公開)の2部作で映画化。それにあたって、年明けから2020年と2021年に新春SPドラマとして放送された『教場』『教場II』が順次再放送中だ。
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「警察学校とは適性のない人間をふるい落とす場である」と考える冷徹無比な教官・風間公親(木村拓哉)の指導下で、30人の生徒たちが生き残りをかけた壮絶なサバイバルを繰り広げる本作。順当に1人ないしは2人の生徒にスポットが当てられていき、異様なまでの観察眼と推理力で彼らの嘘や隠し事を見抜いていく。最終的には「君にはここを辞めてもらう。いつにする? 明日か、明後日か。なんなら、今でもいい」というお決まりの台詞とともに、生徒に容赦なく退校届を突きつけ、無慈悲に決断を迫るのが、この物語のセオリーだ。
熱血学園ドラマかと思いきや、トリックや伏線が巧妙に練り込まれた警察ミステリー。その一方で、生徒たちの苦悩や葛藤を描いた人間ドラマと、将来を嘱望される若手俳優たちの熱演も見どころであり、学園ものとしての醍醐味もある。今回は2月11日に再放送される『教場II』の後編で最初にフォーカスされる第200期風間教場訓練生・比嘉太偉智役の杉野遥亮を紹介したい。
杉野は2016年に『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)でドラマ初出演を飾った翌年、『キセキ ーあの日のソビトー』でスクリーンデビュー作ながら、ともにメインキャストを務めた菅田将暉、横浜流星、成田凌らに負けない存在感を放ち、一気に注目される存在となった。その後は、ヒロインを翻弄するプレイボーイを演じた『花にけだもの』(フジテレビ系)や、山粼賢人から役を引き継ぎ、甘くてちょっぴりSっ気のある理想の王子様像を体現した映画『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ』など、少女漫画原作の作品で人気俳優の道をひた走っていく。かと思いきや、2020年には『ハケンの品格』(日本テレビ系)でやる気皆無のイマドキ新入社員を妙演し、キラキラした役以外もこなせることを証明してみせた。つまりすでにブレイクの兆しはあったが、それを決定づけたのはやはり『教場II』ではないだろうか。
■比嘉太偉智(杉野遥亮)が唯一動揺の色を見せた瞬間 杉野演じる比嘉は元剣道国体選手で、警察学校での成績は上位。先述した通り、フォーカスされるのは後編だが、杉野の緻密な役づくりは前編から始まっている。印象的なのは、頭頂部から一本軸が通っているような姿勢。急な起立時にも体幹が安定しており、それが比嘉が剣道経験者であること、さらには彼が実直な性格であることを印象付けている。また、同期の鳥羽(濱田岳)が風間に命じられ、突如教室でナイフを振り回した際のことだ。比嘉は困惑しながらも、鳥羽に言いがかりをつけられて怯える稲辺(眞栄田郷敦)を庇うような仕草を見せていた。椅子に座ったままの杣利(目黒蓮)ほどの冷静さはないものの、どんな状況でも落ち着いて行動しようと心掛けていることが伝わってきた。
そんな比嘉が、唯一動揺の色を見せる瞬間がある。副教官見習いの田澤愛子(松本まりか)を前にしたときの比嘉は、目が泳ぎ、体軸は揺れ、前編の後半になっていくにつれて胸の動きがどんどん早くなっていくのだ。それが何を意味しているのかは後編で明らかとなる。「言われてみれば、あの時」と、そこに説得力が出てくるのは杉野の役づくりの賜物だろう。画面の端に映っている時でさえも役に入り込み、キャラクターの背景や人間性に応じた芝居をしているからこそ、ちょっとした“異変”がある種の伏線となる。加えて、後編で注目したいのは杉野の余白のある演技。結局のところ、比嘉が田澤のことをどう思っていたかはおそらく人によって解釈が異なるところだろう。そこで敢えて明確な答えを示さず、想像の余地を残していることで、より一層物語に深みが出ていると筆者は考える。
かくして演技派としての実力を示した杉野には『直ちゃんは小学三年生』(テレ東系)や『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)、『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(WOWOW)など、次々と主演オファーも舞い込んだ。この作品が杉野の俳優人生において1つのエポックメイキングになったことは疑いようもない事実であり、彼自身も「厳しい環境でしたけど、そこで初めてプロのもの作りとは何かという目線をもてたというか、真剣に作品と向き合う楽しさを知ることができたんですよね。撮り終えた時の充実感や満足感はすごかった。人に喜んでもらうことの楽しさは知っていたけど、自分がここまで演じることに夢中になれることに初めて気がついて。本当に、この作品に出会えたことが、僕の転機になりました」(※)と語っている。
映画「教場 Requiem」| 本予告映像<90秒> |【2月20日(金)公開】 そんな杉野が約4年ぶりに『教場』の世界に帰ってくる。2月20日に劇場公開される映画『教場 Requiem』で、杉野演じる比嘉が風間を“バックアップ”するというのだ。風間の元バディ・遠野(北村匠海)の命と、風間の右目を奪った殺人犯・十崎波琉(森山未來)。その妹である澄田紗羅(趣里)が行方をくらませる中、予告映像では比嘉が「特殊監視アプリです」と突破口を開きそうな一言を放っている。一瞬しか映っていないが、以前よりも雰囲気が頼もしくなった印象を受ける。比嘉の成長ぶりを表現する杉野の演技に要注目だが、そのためにもまずは『教場II』後編の再放送で“before”を頭に入れておきたい。
参照※ https://crea.bunshun.jp/articles/-/30151?page=3(文=苫とり子)
