年収450万円・35歳の会社員、10年前に最低単元で「トヨタ株」を買ったが…今いくらになっている?【FPが試算】
「株式投資に興味はあるけれど、どの銘柄を買えばいいのかわからない……」と悩んでいる人は多いはずです。そのような場合、「業界トップの企業」に投資する方法も有力な選択肢の一つです。本記事では、年収450万円・35歳の会社員が、10年前の2016年に購入したトヨタ自動車の株式が現在いくらになっているのかを、FPが試算します。
投資額は74万円。新卒3年目の会社員が「トヨタ株」を選んだ日
東京都在住の伊藤さん(仮名)は35歳の会社員で、現在の年収は450万円。株式投資歴は約10年で、新卒3年目の25歳で初めて購入した銘柄が、日本を代表する企業である「トヨタ自動車(銘柄コード:7203)」でした。
伊藤さんが株式投資を始めた2016年を振り返ると、6月には英国のEU離脱(ブレグジット)が決定し、11月の米大統領選ではトランプ氏が初めて勝利するなど、世界経済が大きく動いた1年でした。
また、ドル円相場は、6月のブレグジット時に1ドル=99円台まで円が急騰。しかし、トランプ政権による大規模な減税とインフラ投資への期待から米金利が急上昇し、12月には1ドル=118円台まで円安が進行するなど、変動幅の大きい年でした。
車に興味があった伊藤さんは、業界トップのトヨタ自動車(銘柄コード:7203)の株式を、2016年1月4日の始値7,400円で、最低単元(国内株式を売買できる最小単位)である100株購入しました。必要な投資資金は74万円でした(手数料を除く)。
新卒3年目で当時25歳の伊藤さんにとって、74万円は決して安い金額ではありませんでした。しかし、「将来のお金の不安を減らすために、実際に投資をして学んでみよう」と決意し、購入に踏み切りました。
それから10年。伊藤さんが購入したトヨタ自動車の株式は、現在いくらになっているでしょうか?
【試算】10年前に74万円で買ったトヨタ株、現在は189万円に
トヨタ自動車の過去10年間の株価チャート(月足)をYahoo!ファイナンスで確認すると、株価は上昇と下落を繰り返しながらも、全体として上昇トレンドを描いていることが確認できます。
■トヨタ自動車の10年間の株価チャート(月足) (出典:Yahoo!ファイナンス)
ここで重要なのが、2021年9月にトヨタ自動車が実施した「株式分割」です。1株を5株に分割したため、伊藤さんが当時保有していた100株は、現在は500株になっています。
ただし、分割時点での企業の資産価値は変わらないため、理論上の株価は5分の1に調整されます。つまり、2016年1月4日の当時の株価7,400円は、分割後の基準では1,480円(=7,400円÷5)に相当します。
チャートで10年前の株価水準を確認すると、1,400円前後で推移していることがわかります。
この株式分割を踏まえ、2026年2月6日終値時点のトヨタ株の評価額を算出すると、次のようになります。
【試算結果】
・株価:3,780円(2026年2月6日終値)
・伊藤さんの保有株数:500株
・現在の評価額:189万円
まとめると、伊藤さんが10年前に74万円で購入したトヨタ株の現在の評価額は189万円となっており、含み益は115万円にのぼります。株式分割を考慮すると、株価は10年前の1,480円から3,780円へ上昇しており、約2.5倍になりました(2026年2月6日終値時点)。
さらに、トヨタ自動車は安定的に配当金を出しているため、過去10年間に受け取った配当金を含めると、トータルリターンはさらに大きくなっています。
なぜ2.5倍に?円安だけではない「トヨタ株の上昇」を支えた要因
(※写真はイメージです/PIXTA)
この10年間でトヨタ株が約2.5倍に成長した背景には、次のような要因が挙げられます。
・ハイブリッド車(HEV)の好調:北米・中国を中心に販売台数が増加
・バリューチェーン収益の拡大:新車販売後の金融・メンテナンスなどで営業利益2兆円規模に成長
・高い商品力:「もっといいクルマづくり」による商品力強化で世界的需要を獲得
・株主還元の強化:配当金を1株あたり42円(2016年3月期)→95円(2026年3月期予想)へ増配
・円安の追い風:ドル円=110円前後→150円台へ円安が進行。海外売上比率84%で円換算ベースの利益を押し上げ
このように、トヨタ自動車の株価は、円安による外部要因だけではなく、「商品力の強化」と「収益源の多様化」、さらには積極的な株主還元策によって、中長期的に成長してきたと考えられます。
また、静岡県裾野市で進められているトヨタの実験都市「ウーブン・シティ(Woven City)」の取り組みは、生活空間そのものを変える可能性を秘めた大規模プロジェクトとして注目されています。
このような「未来への投資」も、将来の収益拡大への期待を通じて、株価の評価を下支えする材料となっている可能性があります。
トヨタ株への投資から学ぶ「株式投資の本質」
国内の上場企業は約3,900社にのぼるため、株式投資を始める際、どの銘柄を選べばよいのか迷うのも当然です。
そのような場合は、「業界トップの企業」に投資する方法も有力な選択肢の一つです。
圧倒的な商品力と販売力、技術力、ブランド力など、競合他社が簡単には真似できない優位性を備えていることが多いため、不況で市場全体が下落する局面でも、年金基金などの機関投資家からの買いが入りやすく、底堅い値動きが期待できます。
投資の世界で「たられば」は禁物ですが、伊藤さんのように、身近にある業界トップの企業を見つけて投資しておけば、5年や10年といった中長期では、株価上昇の恩恵を受けられる可能性があります。
株価が短期間で10倍以上に急騰する「テンバガー」のような値動きは期待しにくいかもしれませんが、資産を着実に増やしたいと考えている方は、今後の株式投資の参考にしていただけたら幸いです。
ファイナンシャルプランナー
近藤 章仁
〈出典〉
トヨタ自動車:2026年3月期 第2四半期決算説明会動画(2025年11月5日)
