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「ボンボンドロップのせいで店が機能していません」

そんな悲鳴のような匿名投稿が1月中旬、SNSで注目を集めた。

「ボンボンドロップシール」(通称:ボンドロ)は、ぷっくりとした立体感と、つやのある質感が特徴のシール。現在、女児を中心に爆発的な人気となっている。

投稿は店舗関係者のものとみられ、「もういい加減にしてほしい」と切実な思いを吐露。入荷や発売時期を尋ねる電話が鳴りやまず、通常業務に支障が出ているという。

シールを集めたり、購入したりする活動は「シール活」(シル活)と呼ばれるが、ボンドロの人気が過熱する中で、一部の行き過ぎた「シル活」が問題視され始めている。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●過熱する「シルパト」と「開店アタック」

「シルパト」「開店アタック」──。

いまSNSでは、こうした言葉があふれている。いずれもボンドロを入手しようとする人たちの行動を指す言葉だ。「シルパト」は、シールの入荷がないか、店舗やネットを”パトロール”することを意味する。

SNSや地域のオンラインコミュニティでは、連日のように「ボンドロを売っている店」の情報が共有され、実際に店舗を巡って入荷をチェックする人も少なくない。

一方、「開店アタック」は、入荷があるとわかった店舗に開店と同時に入店し、真っ先に売り場を目指す行為を指す。

SNSには「開店アタック」に挑む様子を撮影した動画が多数投稿されている。

Instagramに投稿されたある動画では、開店前から並んだ人たちが、オープンと同時にフロアを走り、エスカレーターを駆け上がって売り場へ向かう様子が映っていた。

しかし、その熱狂の裏で、深刻なトラブルも起きている。

●押し倒されて転倒、「開店アタック」でケガ人も

ショッピングモールに勤務しているという人がSNSで、「開店アタック」に巻き込まれた客がケガをしたと投稿していた。

開店と同時に人に押されてしまい、エスカレーターで高齢の女性客がよろけて転倒。緊急停止ボタンを押してエスカレーターを止めたところ、開店アタックをしていた人からは「遅くなる」と不満の声が上がったという。

「本当に世の中異常です。人が怪我して倒れて血を流しているのにそれも無視してシールを買いに行くほどシールが大事ですか?この事故からシールの販売は事前抽選にすべてかわりました」(投稿より)

ほかにも「シール買いに行ったら、店員さんが『危ないので歩いて』と呼びかけているのにみんな走っていて、足を踏まれました。謝罪もなくてモヤモヤした」とマナーの悪さに困惑する声が相次いでいる。

●渋谷ロフト、立体シールの販売を当面見合わせ

こうした状況を受けて、渋谷ロフト(東京都渋谷区)は1月27日、「立体シール」について当面の販売を見合わせると公式サイトで発表した。

渋谷ロフトは、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、詳細は答えられないとしたが、公式発表では「販売時の安全確保とトラブル防止」を理由に挙げている。

「現在多くのお問合せをいただいている『立体シール』について、開店前ならびに販売時の安全確保とトラブル防止のため、渋谷ロフトでは当面の間販売を差し控えさせていただきます。

(中略)

店頭及びお電話、メールでの入荷・販売状況など、ご質問にはお応えいたしかねます。ご不便をお掛けいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます」(発表より)

●「家庭で独自のルール」「シールを自作」親たちの模索

都内在住で、小学2年生の娘と「シル活」をしているという女性はこう話す。

「週末は親子でシルパトをしていますが、休日に何店舗回っても在庫がなくて。娘ががっくりと肩を落とす姿を見るのが、親としてはつらいです」

シール交換は、昭和から子どもたちの間で親しまれてきた遊びだ。ただ最近は、ボンドロが、いわゆる「高レート」となり、。子ども同士のトラブルも懸念されている。

女性は「大事なシールは交換の場に持っていかない」など、家庭で独自のルールを設けているという。

「そのおかげか、平和に楽しめています」

また、小学4年生の息子と保育園年長の娘を育てる都内の女性は、”自作”という選択をした。

「あまりに売っていないので自作しました。手作りでも子どもは喜んでくれて、コレクションに入れてくれました」

長く女児の間で続く「シル活」。一度原点に立ち返り、ブームに振り回されず、それぞれの家庭なりの楽しみ方を見つけることが、今、求められているのかもしれない。