【ファンキー通信 昭和編】漫画『ホットロード』に見る、当時の若者文化
1986〜87年にかけて、『別冊マーガレット』誌上にて連載されていた漫画『ホットロード』。心に暗い影を落とす女子中学生・和希と暴走族の少年・春山を軸に描かれる10代の心情は、大いに読者の共感を呼び、コミックスの公称売り上げは700万部を記録。今もなお、若者たちに支持され続けている。
この作品の魅力は、何と言っても“リアルな10代の目線”だろう。思春期特有の葛藤はもちろんのこと、登場人物たちのセリフや行動から、当時の若者文化を垣間見ることができる。たとえば和希が髪を脱色するシーンで用いているのは、「オキシドール」と呼ばれる水溶液。当時は今のようにブリーチ剤が出回っていなかったため、お金のない中高生はオキシドールで脱色するのが主流だったんだとか。また、春山がつけている「タクティス」(正式名称は「タクティクス」。作中では「タクティス」で統一されている)というコロンも、実際に若い男子の間で人気だったらしい。
そして、若者文化を語る上で欠かせないのが当時の“若者語”。『ホットロード』には「ちょっせー」という言葉が度々登場するのだけれど、これってどんな意味? 作者・紡木たく先生のファンサイトを運営しているshunさんに、お話を伺ってみました。
「『ちょっせー』は“とろくさい”という意味で使われていました。今で言う“だっせー”や“かっこわりー”といったところでしょうか。ただ、私の住んでいた地域では使っている子がいなかったので、『ホットロード』の舞台である湘南地域で主に使われていた言葉なのかもしれません」(shunさん)
仲間内でしか流行ってない言葉を、さも皆が知っているかのように使う・・・。皆さんにも覚えはあるだろう。『ホットロード』は、まさにその辺がリアルなのだ。
さらに『ホットロード』から誕生した流行もあるという。
「『ホットロード』が人気が流行した頃は、茶色くて前髪の長い“和希ヘア”をした女の子が学校中に溢れていました。ほかにも作中で和希がばんそうこうを張っているシーンがあるのですが、それと同じ場所に絆創膏を貼る子もいたりして、不良っぽい女の子たちのファッションリーダー的存在だったと記憶しています。また、作中で和希が恋人(春山)の名前を腕に彫るシーンがあるのですが、これを真似した子も意外と多いようです」(同)
さすがに現代の読者が、ここまで影響されることはないだろう。だが、何かしら胸に訴えてくるものはあるはず。なぜなら、大人なら誰もが歩んだことのある“道”が、この『ホットロード』には描かれているのだから。(安田明洋/verb)
■関連リンク
◆Recollections◆ 紡木たく ファンサイト - 文中でコメントを寄せたshunさんが運営するWebサイト
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「『ちょっせー』は“とろくさい”という意味で使われていました。今で言う“だっせー”や“かっこわりー”といったところでしょうか。ただ、私の住んでいた地域では使っている子がいなかったので、『ホットロード』の舞台である湘南地域で主に使われていた言葉なのかもしれません」(shunさん)
仲間内でしか流行ってない言葉を、さも皆が知っているかのように使う・・・。皆さんにも覚えはあるだろう。『ホットロード』は、まさにその辺がリアルなのだ。
さらに『ホットロード』から誕生した流行もあるという。
「『ホットロード』が人気が流行した頃は、茶色くて前髪の長い“和希ヘア”をした女の子が学校中に溢れていました。ほかにも作中で和希がばんそうこうを張っているシーンがあるのですが、それと同じ場所に絆創膏を貼る子もいたりして、不良っぽい女の子たちのファッションリーダー的存在だったと記憶しています。また、作中で和希が恋人(春山)の名前を腕に彫るシーンがあるのですが、これを真似した子も意外と多いようです」(同)
さすがに現代の読者が、ここまで影響されることはないだろう。だが、何かしら胸に訴えてくるものはあるはず。なぜなら、大人なら誰もが歩んだことのある“道”が、この『ホットロード』には描かれているのだから。(安田明洋/verb)
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