日曜劇場『リブート』©TBS

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 鈴木亮平主演の日曜劇場『リブート』(TBS系)が1月18日よりスタートした。「日曜劇場史上類を見ない怒涛のスピードで展開していく“エクストリームファミリーサスペンス”」と謳うにふさわしい展開に加え、サプライズで登場した松山ケンイチの説得力、そんな松山が成り済ましたように見せる鈴木亮平の妙技、鈴木亮平vs伊藤英明という現代の“漢気”俳優の対峙、ダークな役を演じる永瀬廉の冷酷さ、Mrs. GREEN APPLE藤澤涼架が連ドラ初出演でどんな演技を見せるのかなど、俳優陣たちの演技がどれも観る者を釘付けにするものばかりで期待以上の第1話だった。

参考:鈴木亮平、デビュー20年を経ての演じることへの思い 「楽しくて、難しいからこそ悔しい」

 早くもSNS上では主人公以外にも「リブート」している人物がいるのではないかと考察合戦が始まり、今期一番の考察ドラマとなりそうな盛り上がりを見せている。そこで第1話を観て気になった点についていくつか触れてみたい。

 物語は2つの事件を軸に展開されていく。妻殺しの罪を着せられた「ハヤセ洋菓子店」を営むパティシエ・早瀬陸(松山ケンイチ)。3年前に失踪した妻・早瀬夏海(山口紗弥加)を殺した犯人を探す為に、夏海の“後任者”幸後一香(戸田恵梨香)の協力のもと事件の捜査責任者でもある悪徳刑事・儀堂歩(鈴木亮平)に“顔を変え=リブート(再起動)”して闇組織と警察内部に潜入し、夏海殺害事件の真相を追及していく。

 一香の上司にあたる合六亘(北村有起哉)が率いるゴーシックスコーポレーションは、飲食やホテルビジネスを隠れ蓑にマネーロンダリングで巨額の利益を上げる裏社会の金融機関で、そこには儀堂が潜入捜査官の身を隠して合六たちと繋がっており、夏海は資金管理をしていた。そこで発生している10億円を強奪したのは誰なのか。これらの2つの問題が軸となっている。

●儀堂は生きている? 2代目、3代目が存在する可能性も

 まず、早瀬陸が2代目儀堂になるという第1話だったが、物語冒頭のシーンから現在もオリジナル儀堂は生きているという線が濃厚となっている。物語は6カ月前の出来事として始まり、儀堂が鶏小屋で縛られ捨てられているのを一香が助け、儀堂は「決めた、リブートだ」と言う。この言葉は自分の成り代わりを作るという意味でもあるだろうが、儀堂自身も他の人物にリブートする決意と考えられる。これは、合六が奪われた10億円、または夏海が殺された理由と思われる顧客名簿のような大事な書類を儀堂が受け取った裏切り者と疑われ処刑寸前だからリブートに踏み切ったのだろう。

 儀堂が死んでいないことを裏付けるのが、一香が早瀬から儀堂が刺されたことを聞いただけで死んだと決めつけ、儀堂にリブートすることを半ば強引に決断させたこと。このパワープレイとも言える展開は視聴者に儀堂は死んでいないとアピールしているようなもので、まして裏社会の裏切り者として儀堂を消すなら腹を一箇所刺して放置するような中途半端なことはしないはず。早瀬に決断を迫る自作自演の線が濃厚だ。

 儀堂が合六組織への潜入捜査官だということは監察官の真北正親(伊藤英明)との会話で明らかになっており、真北の部下もそのことは知っていた。また、儀堂の部下の寺本恵土(中川大輔)は儀堂を監視している合六の部下・冬橋航(永瀬廉)の存在を知っていたので、儀堂が悪徳警官として合六の組織と繋がっていると周りから思われていそうだ。

 ただ、真北が儀堂を怪しんでいるのを見ると二重スパイを警戒していて、オリジナルと思われた儀堂ですら合六が警察内部に潜入させたリブートした人物の可能性もある。それは、一香がハヤセ洋菓子店のシュークリームを儀堂にリブートしたばかりの早瀬に渡した際に「儀堂は甘い物が苦手だから人前では食べないで」と助言していたが、以前儀堂がハヤセ洋菓子店に聞き込みに来た際に部下の前でシュークリームを食べていたことからも既にリブートした人物とも考えられ、殺された儀堂は実は2代目で、早瀬が3代目という可能性も見えてくる。

 さらに妄想を膨らませると、警察署の廊下で監察官の真北が儀堂に声をかけると「あからさまに接触されると困りますよ」と迷惑そうな顔をするやり取りは同じ警察官同士なのにどこか不自然。真北も合六と繋がっていて合六側の人物として儀堂に指令を出していたり、組織の裏切り者としてマークしているとか。  伊藤英明が演じるとなると実は裏組織のボスでもおかしくなく、『海猿』シリーズでの正義感溢れる人物か、それとも『悪の教典』のような純粋な悪魔なのか。

 ただ一連の行動を見る限り儀堂もまだ警察内部では誰が敵なのか分かっておらず、夏海から受け取るはずだった大事な書類は警察の誰かに奪われている可能性もある。いずれにせよ、6カ月前の儀堂は生きていて、儀堂にリブートした人物は複数人いるのではないか。もしオリジナル儀堂が顔を変えていないのなら早瀬の猫舌と息子の耳を引っ張る仕草は終盤になって早瀬と見分けるのに重要な鍵となってくるだろうし、最後真犯人を見つけて息子の元に帰った時に父親だと知らせる仕草となるはずだ。

●夏海(山口紗弥加)=一香(戸田恵梨香)=麻友(黒木メイサ)?

 次に、一香の正体が早瀬の妻・夏海説。一香が夏海の葬儀に訪れた際、冬橋に「なぜここに?」と聞かれ、「私の前任だった人なんでしょ? 顔くらい見ておこうかと思って」と答えていたが、一香は遺影を一瞥すると焼香もせずに息子の拓海(矢崎滉)に近寄り、「下を向いている人のことは誰も助けてくれない。辛いだろうけど自分で前を向くしかないよ。頑張って」と励ます。これはもう愛する息子に一目会う為に葬儀に来たと思える行動で、これからお父さんが大変なことになり両親のいない生活で強く生きろと激励をしにやって来た母親心に見える。  拓海の顔を見ると一瞬止まり複雑な表情を見せたが、あの年齢の子で3年ぶりの再会となれば別人と思えるほどの成長ぶりだろう。そうした戸惑いがあっての複雑な表情だったのかもしれない。

 ただ、「スイーツを食べている時だけが嫌なことを忘れられるからね」と言うスイーツ好きの言葉も早瀬の妻らしい一言であるが、ここまで第1話から匂わすのは逆にないとも思えてくる。

 もし一香が夏海がリブートした姿だとするなら、白骨化した遺体を夏海だとDNA鑑定を偽装した協力者が警察内部にいることになる。また気になったのが、早瀬が儀堂にリブートする際に様々な儀堂周りの情報を教えていたが、一番肝心な真北の情報を何も教えなかった理由を考えると、真北と一香は繋がっていて、リブートしているのを知っているからこそ早瀬儀堂のアドリブを試してみたということなのだろうか。ただそうなると一香も真北の潜入捜査官という可能性も出てくる。

 第1話のラストで早瀬儀堂が合六から10億円強奪の犯人とされ処刑の審判が下された時に一香は無視していたが、オリジナル儀堂が生きているなら早瀬儀堂は捨て駒でも構わないが、そこから早瀬に手柄を取らせ合六の懐に入れさせようとする芝居と考える方が無難だろう。ただ、あそこから早瀬儀堂が生きる展開となるなら、その前に処刑されたダイアン津田演じる安藤も生きている希望が少し出てくる。

 そしてもう1つ、疎遠になっていた儀堂の妻・麻友(黒木メイサ)が現れ、本来なら劇的な再会なのに一香は遠ざけようと軽くあしらい、麻友も必死に追いかけることもなかった。そして印象的な顔の傷。実は彼女が本当の一香なのか? ただ一香には儀堂に脅され強制的に協力させられるほどの妹が存在し、彼女の為に闇組織で働いていると考える。これが実の妹なのか、リブート元に託されたものなのか、ここも重要な鍵となってくるだろう。

 儀堂と一香の狙いは、おそらくゴーシックスコーポレーションの壊滅。その為に必要な夏海が持ち出した資料を探しているという状況ではないだろうか。

 この物語の面白さは、裏切り者の主人公がどう生き抜くかというドラマ『潜入兄妹』(日本テレビ系)のような展開になっていくと予想されるが、これだけ完璧にリブートできる世界で、尚且つ曲者役者揃いなだけに、全てを疑いの目で見ていくドキドキ感が今作の最大の魅力ではないかと第1話で感じた。結局全てを知るのは整形外科医の桑原瞳(野呂佳代)だと思われるが、果たしてこれからどんな物語となっていくのか。

(文=本 手)