ダム建設で故郷に戻れず絶滅した、恐竜の時代も生き延びた「生きた化石」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 絶滅動物の話】

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ダムの大量建設で産卵地域に戻れず絶滅「ハシナガチョウザメ」

【ハシナガチョウザメ DATA】
分類:硬骨魚類 チョウザメ科  
絶滅時期:2005~2010年ごろ
生息地:長江(中国)

恐竜の時代を耐えた「生きた化石」

ハシナガチョウザメは、中国・長江に棲んでいた世界最大級の淡水魚です。体長は7mにも達し、刀のように長い吻には微弱な電気を感知する細胞があり、泥水の中でも甲殻類や魚を見つけて暮らすことができました。その起源は2億年以上前にさかのぼり、恐竜の時代をも生き延びた「生きた化石」とも呼ばれていました。

しかし、人類の発展がこの古代魚の運命を大きく変えていきます。20世紀後半になると、長江流域ではダム建設や水質汚染、船の航行などが加速。チョウザメは、成魚になると上流の産卵地に戻る習性を持っているので、巨大ダムが川をせき止めたことで、故郷の川へ帰る道を失ってしまったのです。さらに、キャビア目的の乱獲も加わり、数は急激に減少していきます。

2000年代にはすでに生息の確認が難しくなり、2010年ごろを最後に姿を消したと考えられています。そして2019年、中国水産科学研究院の調査チームがハシナガチョウザメの絶滅を発表し、その長い進化の歴史に幕が下ろされました。

2億年もの間、地球を生き抜いてきた生物が、人間のつくった壁によってわずか数十年で姿を消した。その事実は私たちに自然との共存の難しさと、環境を守る責任の重さを静かに訴えかけています。

ハシナガチョウザメが生きられなくなった理由

巨大ダムの建設で産卵地の上流に戻れなくなったことや、下流の環境汚染で幼魚が生き残れなくなり、やがて絶滅しました。

“剣のような鼻”はセンサーだった!

長い吻:微弱な電気を感じ取り、獲物を探すセンサー 広い尾びれ:川の流れに逆らって泳ぐために機能した 厚いウロコ:敵から身を守る鎧

剣のような吻によって濁った川の中でも獲物を探すことができ、大きな尾びれと頑丈な体で長江の流れを力強く泳いでいました。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 絶滅動物の話』監修:今泉忠明