26年より実施予定『こども誰でも通園制度』に保育士の半数以上が<不安>と回答。その理由は…制度運営に必要な支援は「給与アップなどの処遇改善」が最多に
今年からスタート「こども誰でも通園制度」
「こども未来戦略」に基づき、新たに創設されることとなった「こども誰でも通園制度」。
「制度開始をきっかけに転職や働き方の見直しを考えるか」との問いに「現職を継続したいと思っているが、働き方に不安がある」と答えた割合はなんと…
全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できるという新たな通園給付です。
2025年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業として制度化し、2026年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体において実施される予定になっています。
一方、レバウェル株式会社( https://corp.levwell.jp/ )が運営する、保育士・幼稚園教諭を対象とした求人・転職サービス「レバウェル保育士」( https://levwell.jp/brand/childcare/ )は、全国の保育士・幼稚園教諭359名を対象に、「こども誰でも通園制度 」に関する意識調査を実施。
その結果、
1. 保育士の53.7%が制度に「不安」と回答、業務負担や子どもの安全面への影響を懸念
2. 保育士の4割超が「子どもと関わる時間不足」を実感、そのうち約7割が「事故・ヒヤリハット」発生リスクを認識
3. 2人に1人が制度開始後の働き方に「不安」と回答、人材確保や待遇改善が課題に
といったデータが得られました。
制度が今後の就業状況に影響を及ぼす可能性も
<1. 保育士の53.7%が制度に「不安」と回答、業務負担や子どもの安全面への影響を懸念>
現役の保育士・幼稚園教諭に「こども誰でも通園制度」に対する考えを聞いたところ、「不安である(27.0%)」「やや不安である(26.7%)」が合計53.7%となり、過半数が不安を抱いている実態が明らかになりました。
一方、「期待している(4.2%)」「やや期待している(18.1%)」は合計22.3%にとどまるものの、一定の期待も見られました。
制度に期待している点としては、「保護者の子育て支援や孤立感の軽減につながる(51.8%)」「子どもの成長や発達を支える機会につながる(29.8%)」が上位に挙がりました。一方、不安を感じている点としては、「子どもの特性把握や個別対応に伴う負担増加(61.0%)」「事故や感染症など安全・衛生面でのリスク増加(39.0%)」が多く選ばれています。
こうした結果から、制度には保護者支援や子どもの成長機会といった社会的役割に対して期待が寄せられる一方、一時利用の子どもの増加や多様化に伴う、保育士の業務負担や安全管理への懸念が示される結果となりました。
<2. 保育士の4割超が「子どもと関わる時間不足」を実感、そのうち約7割が「事故・ヒヤリハット」発生リスクを認識>
勤務先で子ども一人ひとりと関わる時間がどの程度確保できているかを聞いたところ、「あまり確保できていない(31.8%)」「ほとんど確保できていない(9.2%)」が合計41.0%となり、4割超えの保育士が子どもと十分な関わりを持てていないと認識していることが明らかになりました。
さらに、十分な時間を確保できていないと回答した保育士に、時間が不足した場合に懸念されるリスクについて聞いたところ、「事故・ヒヤリハットの増加(70.1%)」「子どもの体調や発達面での変化の見逃し(57.1%)」が上位に挙がりました。
こうした結果から、保育現場では制度導入前の段階でも、子ども一人ひとりと十分に関わる時間の確保が難しい状態にあり、その時間不足が保育の質や安全性に影響を及ぼす可能性を、保育士自身が認識していることが明らかになりました。
<3. 2人に1人が制度開始後の働き方に「不安」と回答、人材確保や待遇改善が課題に>
制度開始をきっかけに、働き方や転職意向への影響について聞いたところ、2人に1人が「現職を継続したいと思っているが、働き方に不安がある(51.0%)」と回答しました。
また、「より働きやすい園への転職を検討する(10.3%)」や「保育業界以外への転職を検討する(7.5%)」と回答した人も一定数おり、制度が今後の就業状況に影響を及ぼす可能性が示されました。
包括的な環境整備が不可欠
制度を円滑に実施するために職場で必要な工夫を聞いたところ、「常勤保育士の増員 (69.9%)」が最多で、次いで「短時間・短期間勤務の保育士(パート・派遣・単発など)の増員(56.5%)」「保育補助や事務スタッフの増員(47.6%)」が挙がりました。
雇用形態や資格に関わらず、多様な人材の確保が現場で求められていることがわかります。
制度を円滑かつ安全に運営していくために必要な支援としては、「給与アップなどの処遇改善(81.9%)」が最多となり、次いで「保育士の人員補充・増員(74.7%)」「配置基準の見直しや制度改正(48.5%)」が挙げられました。
こうした結果から、制度によって保育士の働き方や人材確保の方向性に影響を及ぼす可能性があり、現場では多様な人員配置、適切な配置基準、処遇改善など、包括的な環境整備が不可欠であることが示されました。
<レバウェル株式会社 保育士・幼稚園教諭人材紹介事業 青木大輔本部長のコメント>
2026年度に本格施行される「こども誰でも通園制度」は、すべての子育て家庭を社会全体で支える重要な取り組みです。一方で、保育業界では慢性的な人材不足が続いており、厚生労働省の調査 *1 では保育施設の80.3%が人材不足を感じていると報告されています。
待機児童問題の解消が進む中で、保育政策の新たな方向性として“保育の質”の維持・向上がより重要視されるようになり、現場における保育士確保は喫緊の課題となっています。本調査は、保育士・幼稚園教諭が制度に対して抱く認識や懸念を明らかにし、現場での運用や人材確保に役立てていただくことを目的に実施しました。
調査では、保育士は制度を通じた子どもや保護者への社会的支援に期待を寄せる一方で、「業務負担の増加」や「子どもの安全確保」など、現場での負荷に関する不安も示されました。
制度を円滑かつ安全に運用し、保育の質を安定的に維持していくためには、雇用形態を問わない柔軟な人員体制の構築や、給与・待遇の改善など、保育士が安心して働き続けられる環境整備が重要となります。
レバウェル保育士では、業界に精通した専門アドバイザーが、求職者のスキルやライフスタイルに合わせた多様な働き方を提案し、事業所が必要なタイミングで適切な人材を確保できるよう支援しています。今後も、保育業界における人材不足の解消に向け、業界全体が抱える課題解決に貢献してまいります。
*1:厚生労働省「保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究 報告書」(令和6年度 子ども・子育て支援等推進調査研究事業/調査主体:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2025/04/koukai_250428_03_02.pdf
<調査概要>
調査対象:全国の現役保育士・幼稚園教諭
調査時期:2025年11月18日〜11月26日
調査方法:インターネット調査
有効回答者数:359名
調査主体:レバウェル株式会社
調査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
出典:https://hoikushi-oshigoto.jp/document/research/universal_childcare_system_survey.pdf
