松田龍平さんが『徹子の部屋』に登場。父・優作さんの思い出を語る「父の年齢と並んだ40歳。ここから先、どうしようかな。〈楽しむ〉ことと〈楽しむために何が必要か〉を考えて」
2026年1月8日の『徹子の部屋』に松田龍平さんが登場。父・優作さんとの思い出やサッカー少年だった子ども時代について語ります。今回は松田さんが家族との関係や40代となる思いを語った『婦人公論』2023年6月号の記事を再配信します。*****「またもやダメ男の役なんです」と笑いながら語るのは、その独特な佇まいで映画にドラマにCMにと引っ張りだこの俳優、松田龍平さん。今度の役は10年間引きこもりの男性だという(撮影=宅間國博 構成=上田恵子)
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今の時代の多様性のあり方を描いている
――ダメなおじさんの役を演じることは多いですね。映画『モヒカン故郷に帰る』『ぼくのおじさん』……。
今回、『モヒカン〜』の監督を務めた沖田修一さんから7年ぶりのオファーをいただいて嬉しかったんですけど、今作も「モヒカン」で演じた役と近いものがあって、すごく自由に生きてる役で(笑)。少し複雑な気持ちはありました。
監督と再び一緒にできるということで、嬉しいなかにも緊張感みたいなものもありましたね。
沖田監督との久しぶりのタッグとなったのは、5月よりWOWOWで放送・配信が始まる『連続ドラマW 0.5の男』(https://www.wowow.co.jp/drama/original/the-0.5/)。松田さんは30歳の時から10年間、両親と暮らす実家に引きこもっている、立花雅治を演じる。
雅治は、母親が作ってくれるご飯を食べ、一日中オンラインゲームをしている40歳の男性。そこに妹一家が引っ越してきて、日常が大きく変わっていく。実家は《2.5》世帯住宅にリフォームされるが、2世帯住宅ではなく《2.5》なのは、彼だけが単身者だからだ。
――「引きこもりを描くドラマ」ということで、なんとなく暗いキャラクターをイメージしていたんですけど。脚本を読んで、声に出して笑いました(笑)。
彼が母親とテレビを観ているシーンがあって。朝から40歳の引きこもりが弁当食べながら爆笑してるって、けっこうカオスな状況なんだけど、なんか楽しそうなんですよね。それでも、10年もの間、家から出ていないことの重苦しさとのバランスが面白かったです。
雅治は妹から引きこもっていることを非難され、中学生の姪には「キモい」と言われ、5歳の甥にはちょうどいい遊び相手と見なされ……。妹家族に振り回されながらも彼の世界が少しずつ外に開いていくさまは、とてもリアルで、時にコミカルだ。
――母親は息子のことを受け入れて、見守っているんですけど。本人も家族も口にしないだけで、心の奥底では、「いつまでもこの生活を続けられるわけではないよね」と、わかっていて。でも母親は、「自分が自分じゃなくなるくらいなら、リタイアする勇気を認めてあげましょうよ」というスタンス。
人それぞれいろんな生き方があって、「こうじゃないとダメ」だけではない、今の時代の多様性のあり方を描いているのかなと思いました。
寂しさを感じて新しい風が吹く
――2.5世帯になるというキッカケがなかったら、雅治はこのままいつまでも変わらなかったかもしれないですね。
新しい家に雅治が初めて足を踏み入れるシーンでは、どこか居心地が悪そうなんですけど、実際、僕も演じていて、改築前の家のほうが、居心地が良かったんです(笑)。居間でテレビを観ているとなんとなく家族が集まってきて、「これはこれで幸せだな」という感じで。
2.5世帯住宅では、自室は廊下の突き当たりに追いやられていて。長い廊下に、扉は閉まっていて。雅治には、結構、こたえるだろうなって思いました。
でも、そうやって寂しさを感じることで彼の中に新しい風が吹いて、「このままじゃダメかも」という気持ちが生まれたのかもしれないです。
雅治の姪はわけあって学校へ行きたくない、甥は保育園に行きたくないという状況だ。
――ある意味、雅治の存在が彼らの逃げ場所になってたりするのかもしれないですね。人によっては「学校に行かないなんてありえない。行きなさい!」と頭ごなしに怒られかねないけど、この家では、うしろを振り返ると一日中ゲームをやって自由に生きてるおじさんがいるわけで(笑)。前向きに言えばですけど、反面教師にもなっていて(笑)。
「今は多様性の時代だよ?世の中にはいろんな人がいるからね」とかふてぶてしく言う雅治に、「おまえが言うな」とツッコミたくなるんですけど、なんだか憎めないキャラで。そんなセリフがちりばめられているところにも、沖田さんの優しい世界観が表れていると思いました。
また甥っ子の蓮を演じている子役の加藤矢紘くんが、本当に自由で面白かったですね。たまにちょっと飽きてくると、自由にしゃべりすぎて沖田さんをあたふたさせて、沖田さんが喜んでましたね(笑)。
蓮に家庭の中心にいてもらって、みんなが慌てたり、追いかけたり、抱き上げたり。この家族のあり方を想像できたというのは大きかったですね。
雅治は、家族との間に新たな関係性が生まれたことを機に視界が開けていくが、松田さん自身にもそういう経験はあるのだろうか。
――それは、もちろんあると思います。まあ、家族といっても、子供がいなかったり、きょうだいとか、それぞれの家族の形があるから。僕の場合は家族がわりと近い仕事をしてたりするから、そこはまた、〈ならでは〉の形があるのかもしれないですし。
でも、家族に限らず、何でもそうだと思うんですけど、自分一人では気づけないことが山ほどあるから。良いことばかりではないけど、機会を与えてもらえるのはありがたいことですよ。――たまに、心ではわかっていても、その流れみたいなものに抗いたくなって、素直になれない自分もいるんですけど(笑)。
それでも、最後に決めるのは自分だから、どうするにせよ、人のせいにしないことは大切なのかもしれないです。
まあ、自分が選んでると思っていても、いろんな考え方だったり、世の中に情報は溢れていて、受け取りやすい時代なわけだから、その都度、ちゃんと取捨選択していかないといけないかもしれないですね。
情報といえば、このドラマで僕の母親役を演じている風吹ジュンさん。日頃からたくさんの海外ドラマを観ているそうで、撮影の待ち時間にオススメを教えていただいたんですが、観てみたらどれも本当に面白くて。人に勧めてもらうのはいいなと思いました。
親父に背中を押してもらって
この5月で松田さんは、今回演じた雅治と同じ40歳になる。30代から40代に入り、気持ちの変化は。
――僕の場合、親父の影響でこの仕事を始めたというのがあるから、同い年になるという意味でも、この年齢を節目として捉えていたところがありましたね。親父のおかげでこの仕事をやってこられたと思っているし。
これまで、背中を押してもらってやってきた分、「ここから先、どうしようかな」という気持ちで(笑)。今は「楽しむぞ」ということと、「楽しむために何が必要か」ってことだけでいいかなって思ってます。
ただそれをはっきりさせて、良い報告ができるように、ひたむきに頑張りたいですね。こんな当たり前のことしか言えないですけど(笑)。でも、楽しむために必要なものって、大体は大変なことの先にあったりするからなー。(笑)
まずはドラマ『0.5の男』でも観てみてください。
