ニッポンの「パン」と「シャツ」が世界へ “ジャパンクオリティー”の挑戦:ガイアの夜明け

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11月14日(金)に放送した「ガイアの夜明けSP」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“ニッポン品質”で世界へ〜本場に挑む!パンとシャツ〜」。

円安、燃料費の高騰、人口減少、働き方改革…。日本の課題を逆手にとって、今こそ世界へ打って出ようとする人たちがいる。
「焼成冷凍パン」で急成長するスタイルブレッドは、パンの本場・ヨーロッパを始め、世界へ進出するため、拠点づくりを始めていた。
「鎌倉シャツ」で知られるメーカーズシャツ鎌倉は、店舗や在庫を持たない革新的な方法で、海外市場への攻勢を強めている。コロナ禍で、一度撤退を余儀なくされた本場アメリカに挑む。
大きな成長が期待できない国内市場にとどまらず、”ニッポン品質”で世界を切り拓こうとする挑戦者たちを追った。

【動画】ニッポンの「パン」と「シャツ」が世界へ “ジャパンクオリティー”の挑戦

ニッポンの高品質シャツを本場アメリカで売る!




東京・銀座のすずらん通りに、一際活気にあふれる店がある。客のお目当ては、「メーカーズシャツ鎌倉」(国内に25店舗)が手掛ける通称「鎌倉シャツ」。知る人ぞ知る愛され続けてきた逸品で、「15年くらい着ている。他は着られない」と、一度に5枚購入する人も。
最大の特徴は国内で縫製するメード・イン・ジャパンであること。サイズ展開だけで32パターンあり、価格は7590円から。スーツやジャケットなどにもファンが多く、日本人だけでなくインバウンド客にも大人気だ。


1月7日、メーカーズシャツ鎌倉の会議が開かれた。
社長の貞末奈名子さん(53)は、幹部社員らを前にして「メード・イン・ジャパンを武器にして、グローバル化の推進を図っていく。目標は2030年度に売上高100億円、営業利益率を13%にしたい」と話す。
メーカーズシャツ鎌倉の従業員数は257人で、2024年12月期の売上高は約56億円。それを5年後には、2倍近い100億円にするという計画だ。


そのカギを握るのが海外での販路拡大。貞末さんは「日本のマーケットは値上げをしづらい。『良いものだったら高くても買いたい』という人は、まだまだ世界にはいる」と前を向く。
メーカーズシャツ鎌倉(以下、鎌倉シャツ)は、1993年、貞末さんの両親が鎌倉で創業し、コンビニの2階にある小さなスペースからスタートした。
長女の奈名子さんは金融機関に勤めた後、1998年に入社。2020年、父親の体調不良をきっかけに社長に就任した。


2月、「鎌倉シャツ本店」(神奈川・鎌倉市)。貞末さんは海外展開に向けて着々と準備を進めていた。集められたのは、フィッターと呼ばれる社内に10人ほどしかいない精鋭。
服を客の最適なサイズにフィットさせる専門家で、袖や着丈の長さなどの調整はもちろん、
肩の傾斜やヒップラインに合わせて調節し、体形を見て瞬時に調整カ所を判断する。
鎌倉シャツでは、スーツは36カ所、シャツは13カ所を5?単位でカスタムオーダーすることが可能だ。

海外では、フィッターが重要な役割を担う「トランクショー・プロジェクト」を展開。
フィッターが生地の見本や商品サンプルをトランクに詰め込んで世界中を回り、現地で採寸。日本の工場で生産し、完成した商品を海外へ発送する。


実は鎌倉シャツ、2012年に海外初となる店舗をニューヨークにオープンしたが、新型コロナの影響もあり、2020年に撤退。今回トランクショーという新たなスタイルでリベンジを図ろうとしていた。
トランクショーの年間売り上げ目標は1億5000万円。フィッターわずか10人ほどで、1店舗の1年分の売り上げを目指す。


鎌倉シャツが製造を委託している縫製工場の一つが「ワイケーエス」(香川・観音寺市)だ。15年前からの付き合いで、この工場の丁寧で高度な縫製技術が鎌倉シャツの品質を支えている。
日本製ならではの丁寧な仕事が至る所に隠されており、例えば服の裏は一般的には縫いしろが出るが、鎌倉シャツではひと手間加えて、まるで表のように縫い上げている。
さらには着心地を追求するため、体のラインに合わせてカーブを描きながら立体的に縫うなど、熟練の技が光る。


しかし、この品質をいつまで続けられるのか…。社長の楠井秀伸さんは危機感を募らせていた。「メード・イン・ジャパンのクオリティーが欲しくなって、日本でものづくりをしようとした時、もう日本のものづくりの場はなくなっている。それに気付いてほしい」。
縫製を含む日本の繊維関連の工場は、1990年と比べて10分の1にまで減少。いまや衣料品の輸入率は98.6%(2024年 出所:日本繊維輸入組合)で、メード・イン・ジャパンはわずか1.4%しかない。
「継続的に工場が動いていくのが一番大事なことで、その一助を担っていると思っている。こういった技術は守っていかないといけない」。世界への販路拡大には、貞末さんのものづくりに対する思いがあふれていた。


5月下旬、貞末さんたちはアメリカ・ニューヨークへ。
訪れたのはマンハッタンの玄関口で、1日75万人もの人たちが通勤や観光で行き交うグランドセントラル駅。鎌倉シャツは、駅に直結した建物の中にトランクショーのためのスペースを借りていた。
海外での価格は日本よりも高め。税抜き価格で比べると、7900円のシャツが120ドル(約1万8000円)で2倍以上。オーダースーツは30万円ほどで日本の3倍近い価格設定だが、ニューヨーカーにとっては決して高くない値段だという。
ニューヨークでのトランクショーの売り上げ目標は1000万円。わずか3日間で、1店舗の1カ月分の売り上げを目指す。
ニッポン品質の商品をしっかり提案できれば必ず売れる…果たしてニューヨーカーたちの反応は?

そして貞末さん、ニューヨークの地で新たなブランドを仕掛けていた。

ニッポンの冷凍パンで本場ヨーロッパを開拓する!




東京・銀座の高級ホテル。朝食ビュッフェでは、ベーグルやマフィンなど、焼きたてのパンがずらりと並ぶ。「柔らかくておいしい」と日本人だけではなく、パンが主食のインバウンド客にも好評だが、実はこれ、一度焼き上げた状態で急速冷凍した冷凍パン。自然解凍後に3分ほど焼くと、作り立てのようなパンが手軽にできる。
足りなくなったら必要に応じて補充するだけ。人手不足のホテルやレストランからの引き合いが強く、全国4000社以上が採用している。


この冷凍パンを生産しているのが「スタイルブレッド」(群馬・桐生市)。生みの親は、社長の田中 知さん(57)だ。
おいしさの秘密は作り方にある。原料の小麦は、群馬県産を主とした国産とフランス産をパンの種類によって使い分けている。
塩も国産の平釜塩とフランス産のゲランド塩を、小麦粉に合わせて使い分けるこだわりようだ。
小麦本来の甘みを引き出し、パンをもっちりと焼き上げる秘訣が「桐生酵母」で、地元の小麦や水で独自に培養したもの。
「自家製の天然酵母はいろいろな味わいと香りを出す。焼き上げた時に香りが非常によくなる」(田中さん)。


もう一つのおいしさの秘訣が冷凍方法。オーブンで焼き上げた後に特殊な冷凍庫に入れ、一気にマイナス45℃まで凍らせる。
冷凍パンといえば生地の段階で凍らせたものが主流だが、焼き上がるまでに時間がかかる上、品質にばらつきが出やすいという。
一方、スタイルブレッドの焼成冷凍パンは焼きたての味わいを閉じ込め、少しの加熱でまるで焼きたてのようなパンが簡単に楽しめる。


2016年、番組は国内市場の開拓を進める田中さんを取材していた。
田中さんは大正時代から続くパン店の4代目。しかしある時から、毎日パンを作ることに疑問を感じるように。
「焼きたてじゃないパンは売れなくなる。もったいない。まだまだ食べられるパンを捨てなければならない。このビジネスに私なりに限界を感じた」。

田中さんは31歳の時、視察に訪れたアメリカで運命の焼成冷凍パンと出合う。長期保存が可能で、いつでも好きな量だけ手軽に食べられるパンに魅了された。
「まだまだ広がりや可能性がある。当たり前のように冷凍パンを買える世の中をつくりたい」。

スタイルブレッドの売上高は約36億円(2024年8月期)と9年前の3倍に。従業員約450人の会社へと成長した。
躍進を続ける中、田中さんは焼成冷凍パンで世界へ打って出ることに。その第一歩に選んだのが、パンの本場・ヨーロッパだ。

9月下旬、スタイルブレッドの東京オフィス(東京・港区)では、海外展開を担当する社員を集めた会議が開かれていた。UAE、韓国、タイなど、それぞれ市場の開拓を進めている中で、スタイルブレッドがヨーロッパ進出の足がかりとして最初の場所に選んだのは、イギリス・ロンドン。世界各国の料理が集まり“隠れた美食の町”として注目されているロンドンだが、果たして田中さん、どんな焼成冷凍パンで勝負に挑むのか。


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