「新しいスターが生まれました。イーロンです」とドナルド・トランプが米大統領選の勝利宣言演説でイーロン・マスクを大絶賛
2024年11月5日に行われた2024年アメリカ大統領選挙の結果、共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利して4年ぶりにアメリカ大統領の座に返り咲くことが確実となりました。トランプ氏は勝利宣言演説の中で、自身への支持を掲げて選挙戦を支えてきたイーロン・マスク氏を「スター」と呼んで称賛しました。
Elon Musk’s gamble on Donald Trump pays off
https://www.ft.com/content/f1d49ca7-393f-43d6-92aa-3288a31c3e44
What Trump’s win might mean for Elon Musk | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/11/06/what-trumps-win-might-mean-for-elon-musk/
How Trump’s ‘new star’ Elon Musk stands to benefit from his presidency | Elon Musk | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2024/nov/06/how-elon-musk-stands-to-benefit-from-trump-presidency
11月6日の大統領選挙の結果、トランプ氏が270人以上の選挙人を獲得してアメリカ次期大統領に指名されることが確実となりました。そんなトランプ氏の選挙戦を支えてきたのが、テスラやSpaceXの創業者であり、X(旧Twitter)のオーナーも務めるマスク氏です。
マスク氏は7月にトランプ氏が狙撃された事件を受けて、トランプ氏を全面的に支持することを表明。共和党候補者に資金を提供する政治資金団体の「America PAC」に献金していることもわかっており、最終的にマスク氏はAmerica PACに総額1億1855万ドル(約180億円)もの献金を行ったと報じられています。
イーロン・マスク氏が「トランプ氏の支援団体に月4500万ドルの献金をする予定」という報道を否定するも献金自体は認める - GIGAZINE
また、マスク氏は2021年の連邦議会議事堂襲撃事件を受けて凍結されていたトランプ氏のX(凍結時点ではTwitter)アカウントを復活させ、2024年8月にはマスク氏とX上で対談を行いました。
経済紙のフィナンシャル・タイムズによると、マスク氏は大統領選挙までの1カ月間に1日平均100回もXへ投稿しており、11月5日の24時間には200回近くも投稿したとのこと。フィナンシャル・タイムズは、「投票までの数カ月間にわたり、マスク氏は自身のメガホンである『X』をオーナーとして、また2億人以上のフォロワーを持つ最も人気のあるアカウントとして使いました。マスク氏は親トランプのメッセージ、選挙の不正に関する疑惑、カマラ・ハリス氏が大統領になればアメリカが破壊されるという警告を、プラットフォーム上にあふれさせました」と述べています。
トランプ氏の選挙戦を支え続けたマスク氏に対し、トランプ氏は勝利宣言をした演説の中で称賛しています。トランプ氏がマスク氏へ言及するシーンは、以下の動画の11分47分頃から見ることができます。
【同時通訳/ノーカット】トランプ氏が“勝利宣言” 開票続く中で支持者の前で演説 激戦州ペンシルベニアで「勝利確実」【アメリカ大統領選挙】 - YouTube
トランプ氏は、「新しいスターが生まれました。イーロンです。彼は素晴らしい男です。今日も一緒にいました」「素晴らしい天才です。天才を守らなければなりません」と語っています。
全面的にトランプ氏を支持するというマスク氏の行動は一種の賭けでもありましたが、トランプ氏が当選したことによって賭けに勝利しました。マスク氏は大統領選挙の開票作業中、トランプ氏と共に過ごしていたことをXへの投稿で明かしています。
🇺🇸🇺🇸The future is gonna be so 🔥 🇺🇸🇺🇸 pic.twitter.com/x56cqb6oT5— Elon Musk (@elonmusk) November 6, 2024
トランプ氏の当選確実報道の後には、「It is morning in America again(アメリカにまた朝が来た)」とウキウキで投稿しています。
It is morning in America again pic.twitter.com/GNTE0cUWoc— Elon Musk (@elonmusk) November 6, 2024
トランプ氏の当選はマスク氏のビジネスに利益を及ぼすとみられます。トランプ氏は電気自動車(EV)への補助金廃止や地球温暖化対策の国際協定である「パリ協定」からの離脱などを掲げており、一見するとEVを展開するテスラにとって不利益になりそうに思えます。しかし、すでにテスラはEV業界で大きなシェアを握っているため、これらの政策はテスラよりむしろ競合他社に打撃を及ぼす可能性があるとのこと。
金融サービス企業・Wedbushのアナリストであるダニエル・アイブス氏は、「テスラはEV業界で比類のない規模と範囲を持っており、このダイナミクスは補助金なしの環境において、マスク氏とテスラに明確な競争上の優位性をもたらす可能性があります」と分析しました。
また、トランプ氏は連邦政府全体の財務および業績監査を行う「Government Efficiency Commission(政府効率化委員会)」の設立を公約としており、この責任者にマスク氏が就任するとみられています。
ドナルド・トランプが政府効率化委員会の設立を約束、主導するイーロン・マスクは自社を規制する連邦機関に影響力を与えることができるように - GIGAZINE
マスク氏もXに「大統領執務室にシンクを持って入るコラージュ画像」を投稿し、政府効率化委員会の責任者に就任することを示唆しました。「Let that sink in」は「その意味をよく考えよう」といった意味の言葉ですが、ネットミームとしてシンクがドアの外にたたずむ画像があるとのこと。マスク氏は2022年のTwitter買収時にも、このミームになぞらえてシンクを持って本社に入っています。
Let that sink in pic.twitter.com/XvYFtDrhRm— Elon Musk (@elonmusk) November 6, 2024
マスク氏は大統領選挙の開票作業を見守るライブ配信の中で、政府効率化委員会で「アメリカを大きく抑制している巨大な連邦官僚主義」を削減したいと主張。「私たちは、すべての政府機関の包括的なレビューを行うつもりです」「複数の機関が実際に重複するポートフォリオを持っている場合、多くの重複した責任があります。政府のために働く多くの人々がいますが、私たちは彼らを民間部門のより生産的な役割に移行させる必要があります」と述べ、政府職員の削減を検討しているようです。
マスク氏は、「私たちはまだ規制を望んでいますが、それは必要な時だけです。私は規制をフィールド上の審判にたとえています。審判がいないのは困りますが、選手より審判が多いのは困りますよね」とコメントしました。