SteelSeries GameBudsレビュー:「ゲーム機のためのイヤホン」はダテじゃない
ヘッドセットやマウスなどさまざまなゲーム機周辺機器を販売するSteelSeriesが、新たにワイヤレスイヤホン「Arctis GameBuds」を発表しました。
ゲーム機のアクセサリーを専門とするメーカーから登場した“ゲーム機のためのワイヤレスイヤホン”とはどんなものなのでしょうか。ゲーミングガジェットとしてはヘッドホンなどのほうがイメージとして強かったりしますが...。
さて、米Gizmodo編集部がこのSteel SeriesのArctis GameBudsを触ってレビューしています。ゲーマーのためのワイヤレスイヤホンの性能はどうなのか、以下レビューをどうぞ。
SteelSeries Arctis GameBuds
これは何?:音質も上々でバッテリー性能が高いワイヤレスイヤホン。出先でも最高のゲーム体験が楽しめます。
販売価格:170ドル(約2万6000円)。
好きなところ:ドングルがケースに収まる設計でプレイ中も邪魔にならない、豊富なEQオプションと安定したサウンド、快適なフィット感。
好きじゃないところ:動くとイヤホンの電源が切れることがある、EQがすべてマッチするわけではない。
SteelSeries Arctis GameBudsについて、最初に語るべきはほかのデバイスに接続するためのUSB-Cドングルがイヤホンケースに収められているということです。
これは、出先でポータブルゲーム機をプレイしながら高品質なゲームサウンドを楽しむための効果的なデザインだと思います。むしろ、ほかのメーカーが同様にドングルをケースに収めるようにしないのか不思議に思うほどです。
GameBudsは、Steam DeckやNintendo Switchなどのポータブルゲーム機で良質なワイヤレスオーディオを実現する最良の選択肢のひとつといえるはすです。
Bluetoothワイヤレスイヤホンというものは、もはや一般的なガジェットといえますが、一方でゲーマーの間ではあまりフォーカスされていません。もっと言うなら、ゲーム機の周辺機器のブランドはヘッドホンほどワイヤレスイヤホンに注力していないといえます。
その点でいえば、昨年ソニーがPlayStation5アクセサリーとして「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」を発売したのは注目すべき試みではありました。こちらは長いスライド式のケースを含め、ポータブル向けといった感じではありませんでしたが。
Arctis GameBudsの概要
Arctis GameBudsの特徴のひとつとして、2.4GHzのワイヤレス接続ができることが挙げられます。同じようなワイヤレスイヤホンに2.4GHz接続が対応していないこともありますが、ゲーミングイヤホンとしてはやはりポータブルで2.4GHzとBluetoothがいずれも欲しいところですよね。
そして、先述のようにドングルがイヤホンケースに収納できるようになっているので、持ち運びに便利というわけです。同様のデザインのワイヤレスイヤホンは数少ないことを考えるとポータブルとしての性能は非常に高いといえます。
さて、このGameBudsはSteelSeriesのヘッドセットであるArctis Nova 5の後継機といった立ち位置といえるでしょう。
Nova 5はヘッドホンタイプで価格の割には性能も悪くはないのですが、こちらはドングルが薄い長方形のような形でゲーム機やPCのUSB-Cスロットに取り付けたときに覆いかぶさるようになってしまうという難点があります。
その点、GameBudsのドングルはポートに差し込んでも邪魔にならないのです。たとえばPlayStation 5 Slimの前面ポートに差し込んでももうひとつのポートの邪魔にはなりません。また、Steam Deckに取り付けても側面から突き出たりしないのです。
設計のよさと快適さ
イヤホンについて問題となることのひとつに、着け心地があります。
耳にフィットするまでに何種類ものイヤーピースを試さなければならないといったこともよくあります。その点GameBudsのデザインは、個人的にはぴったりとフィットしました。
歩いたり多少動くときに少し調整も必要だったりもしますが、基本的にはフィット感は良好です。耳に入れていることを忘れるといったことはありませんが、締め付け感もありません。
また、耳から外すと自動でイヤホンが電源オフになるという機能があります。これについては便利ではありますが、動いているときに勝手に電源がオフになってしまうということが起きました。とはいえこれはほんの一瞬ではありましたが。
この機能はアプリの設定からオフにもできますが、AirPodsやほかのイヤホンにも同様の機能があったりするので慣れているとちょっと面倒になります。この問題は動き回っているときに起きることなので、座ってゲームをしているときは大丈夫なはずです。
GameBudsには、Pixel Buds Pro 2のような静電容量式ボタン(実際にボタンを押すわけではなく指を近づけることで感知するボタン)ではなく、物理ボタンが搭載されています。
操作は、右側で曲やゲームをコントロールし、左側でアクティブノイズキャンセリング(ANC)モードや周囲の音を取り込むトランスペアレンシーモードの選択ができます。また、イヤホンを3回タップすることで2.4GHzとBluetoothを切り替えることもできます。
イヤホンをさらに細かく設定するには、専用のArctisアプリが必要となります。アプリでは、ノイズキャンセリングのレベルやマイクのサイドトーンの調整などさまざまな設定が可能です。
バッテリー性能については、SteelSeriesはイヤホン本体とケースの充電を合わせて40時間持つとしています。また、イヤホン本体のみでも10時間の使用が可能とのことです。今回のレビューでは、ゲームと音楽に1週間使用しても十分持ちました。その間充電をしませんでしたが、バッテリーは十分残っていました。
GameBudsのもうひとつの大きな特徴として豊富なイコライザー(EQ)があります。さらにこのEQは100以上の特定のゲームタイトルに合わせたプロファイルが用意されているのです。最近のメジャータイトルはほぼすべてプロファイルが見つかりましたし、通常プリセットのEQを選んでも基本的には快適に聞こえました。ゲームタイトルによっては違いがわかりづらいものもありましたが、いくつかのタイトルではEQプロファイルが効果的に機能しているものもありましたね。
音質について
GameBudsは、ゲーム機とPCのどちらで使用しても臨場感あふれるオーディオを提供してくれます。
今回、PCとSteam Deckと交互に使ってみましたが、ヘッドホンほどパワフルではないですが、基本的にどんな状況でもGameBudsは快適に機能しました。
特にGameBudsの低音には満足しています。この価格の製品ということを考えれば非常にいい性能です。高音もいいのですが、こちらはゲームタイトル次第といったところもあると思います。
たとえば『Cyberpunk 2077』のようなタイトルのサウンドでは非常に満足しましたが、『Mortal Kombat 1』では専用のEQプロファイルを使用してもまずまずといった感じでした。
その後、PS5で3Dオーディオを設定して『STAR WARS ジェダイ:サバイバー』をプレイしました。こちらは全体の感覚はまずまずでしたが、ライトセーバーを振るときの音が耳のすぐ横に鳴っていて、優れた指向性サウンドを感じられましたね。
Steam Deckでは『メタファー:リファンタジオ』をプレイしました。現時点でこのゲームの専用EQプロファイルはありません。このタイトルは特に『ペルソナ』シリーズのようにサウンドトラックを聴くのがメインとなりますが、楽しむことができました。
ANCは高音から低音まで広くノイズを制御してくれます。レビュー中にGameBudsを日常使いとして持ち出しましたが、基本的に出先でもほぼすべての音を遮断してくれました。さすがに通過する地下鉄の音は無理でしたが、大道芸人の演奏するボンゴの音は消したのです。これは十分な性能といえるはずです。
Arctis GameBudsのレビューまとめ
総括として言うならば、このSteelSeriesのArctis GameBudsは、Steam Deckなどのポータブルゲーム機に最適なパートナーだと思います。
Steam Deckで使うにはもっとこうだったらと感じたりすることもありますが、それはほかのASUS ROG AllyやLenovo Legion GoなどのWindows系ポータブルゲーム機でも同様です。
もっというならPC、PS5、あるいはNintendo Switchとさまざまなゲーミングデバイスがあり、場合によってはより互換性のあるイヤホンもあります。ちなみにGameBudsにもXbox用のモデルがあります。
基本的にこれらのゲーミングデバイスで優れたオーディオ体験をできましたし、持ち運びがしやすいこのイヤホンはやはりいいものだと思います。
高品質なワイヤレスイヤホンはほかにもたくさんありますし、GameBudsよりも安いものもあります。とはいえポータブル性を含め、GameBudsはやはり最適な選択肢と感じました。