山田孝之

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 俳優の山田孝之が1日、丸の内TOEIで行われた映画『十一人の賊軍』初日舞台あいさつにダブル主演を務めた仲野太賀、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、ゆりやんレトリィバァ、野村周平、玉木宏、阿部サダヲ、白石和彌監督と共に登壇。山田は白石監督と映画『凶悪』以来、11年ぶりのタッグとなったが「やはり白石組は過酷」と感想を述べていた。

 本作は、『日本侠客伝』シリーズや『仁義なき戦い』シリーズなどを手掛け、東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットを、映画『孤狼の血』シリーズなどの白石和彌監督が映画化。戊辰戦争の最中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件をもとに、捕らえられていた罪人たちが「決死隊」として砦を守る任に就く姿を活写する。

 耳が不自由な妻を襲った新発田藩士を殺害し、罪人となった駕籠屋の男・政を演じた山田。“決死隊”の撮影を「とにかく暑くて痛くて大変」と振り返り「こうして作品を皆さんに観てもらえる日が来て良かったです」と公開を喜んだ。

 直心影流の使い手である鷲尾兵士郎を演じた仲野は、本作が初の本格的な殺陣だった。仲野は「初心者だったので、クランクイン前からアクション部の皆さんとびっしりと練習をしました」といい、「実はやる前は『何とかなるんじゃないか』と思っていたのですが、全然違った。いかに殺陣というのは、積み上げていくことが大切なのかを思い知りました」と学びが多かった様子。

 山田は白石監督と2013年公開の映画『凶悪』でタッグを組んでいるが、改めて白石組の感想を聞かれた山田は「やはり過酷ですね」とつぶやき「(白石監督は)追い込むのが好きなので……。監督の作品に出てくる人物は精神的にも追い込まれている人たちが多いからなおさら……」と説明。対して白石監督は「できるだけホンワカな現場がいいんですよ」とやんわりと否定すると、山田は「いや追い込むんですよ」と反論しつつも楽しそうな表情を浮かべていた。

 スタッフ、キャストたちが魂を込めて作り上げた本作。山田は「登場人物はそれぞれの正義に則って行動を起こします。観る方向によっては、悪にも裏切りにも見える行為が、実は正義だったりする。それって現代においても良くあること。いろいろ大変な世の中ですが、相手の立場に立って物事を見たら、優しく穏やかに生きられるのかもしれません」と作品を通した気づきについて述べていた。(磯部正和)