米ロヨラ・メリーマウント大のリチャード・フォックス一般教養学部長(同大ホームページより・時事)

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 【ワシントン時事】11月の米大統領選で顕著な男女の支持の差について、ジェンダーと政治の関係に詳しいロヨラ・メリーマウント大のリチャード・フォックス一般教養学部長に聞いた。

 ―男女間の支持率差は今回の選挙の特徴か。

 米大統領選では1980年代以降、10ポイント程度の男女差がみられ、女性は民主党、男性は共和党を支持する傾向が続いてきた。今年は20ポイント程度に広がる可能性がある。

 ―なぜ。

 連邦最高裁が2022年に人工妊娠中絶の権利を否定した後初めての大統領選であり、多くの女性が権利回復を誓うハリス副大統領への投票に意欲を燃やしている。特に出産年齢にある若い女性だ。

 一方、トランプ前大統領は男性視聴者の多いポッドキャストに出演するなど、男性に直接アピールしている。思ったことを何でも言い、世界の独裁者と渡り合う「タフガイ」のイメージが、農家や銃の所有者、トラック運転手といった「男らしい」米国人を引き付けている。

 ―女性であるハリス氏への差別はあるか。

 上下両院選の投票行動では、女性に対する偏見があるという統計的証拠はない。大統領選は別だ。主要政党の女性候補はハリス氏が2人目で事例が少ない。研究者の間では、各地で戦争が起きる中、「女性には世界の指導者と対峙(たいじ)する強さがない」といった固定観念が影響するという見方が広がっている。

 ―ここ数十年、大統領選の投票率は女性が男性を上回り続けている。

 その通りだ。本当に接戦なら投票率が結果を左右するかもしれない。ただ、クリントン元国務長官は16年大統領選でトランプ氏に勝てなかった。