Microsoftの副顧問で弁護士のリマ・アライリー氏が、Googleによるロビー活動を非難する記事をMicrosoft公式ブログで公開しました。アライリー氏によると、GoogleはMicrosoftの信用を傷つけることを目的とした「アストロターフィング(人工草の根運動)」を行っているとのこと。実際に、Microsoftと和解した団体に対して、和解せずに裁判を続けるために5億ドル(約770億円)を提供すると申し出ていたことも指摘されています。

Google’s Shadow Campaigns - Microsoft On the Issues

https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2024/10/28/googles-shadow-campaigns/



Microsoft says Google is running 'shadow campaigns' in Europe in cloud

https://www.cnbc.com/2024/10/28/microsoft-calls-out-google-for-shadow-campaigns-in-europe-in-cloud.html

Microsoft accuses Google of secretly funding regulatory astroturf campaign

https://www.engadget.com/big-tech/microsoft-accuses-google-of-secretly-funding-regulatory-astroturf-campaign-203804594.html

Microsoft accuses Google of misleading regulators and public - Neowin

https://www.neowin.net/news/microsoft-accuses-google-of-misleading-regulators-and-public/

MicrosoftとGoogleは、Amazonも交えた三つ巴でクラウドコンピューティング市場を舞台に争っており、特にGoogleはMicrosoftを標的として、2024年9月に独占禁止法違反をEUに訴えています。

この話には前段があり、同様の独占禁止法違反の裁判がMicrosoftとクラウドプロバイダー代表団体・CISPEとの間でも行われていて、2024年7月にCISPEは和解したのですが、GoogleはCISPEに加入していなかったため和解に同意せず、和解案に参加していません。

「Microsoftは独占禁止法に違反している」としてGoogleがEUに提訴、クラウドコンピューティング分野で不当なライセンス契約を使用 - GIGAZINE



今回アライリー氏が明らかにした内容によると、GoogleはCISPEに対して、和解せずに裁判を続けるのであれば資金を提供するとして、5億ドル(約770億円)を用意したとのこと。しかし、CISPEはGoogleの申し出を断り、Microsoftと共同作成した和解案を支持して合意に至ったのだそうです。

その後、GoogleはEUとイギリスに「Open Cloud Coalition」という団体を設立。小規模なクラウドプロバイダーを前面に押し出して、Microsoftのクラウドコンピューティングビジネスを攻撃し始めたとのこと。

アライリー氏は「Googleがアストロターフ集団を作った」「このような戦術はアストロターフィングを超えている」と述べています。「アストロターフ」は人工芝の製品名で、転じて、組織が背後に隠れて行う人工的な草の根運動のことを指します。

Googleがこのような施策に出ていることについて、アライリー氏は、ここ20年安泰だったGoogleの検索やデジタル広告、モバイルアプリストアの独占が脅かされる事態になっているからではないかと推測しています。Googleは、世界中で合わせて24件の独占禁止法違反の調査に直面しているとのこと。

たとえば、インドでは「アプリ開発者に30%の手数料を課しているが、高すぎる」として開発者や業界団体から訴えがあり、調査対象となっています。

Googleがインドで独占禁止法違反の調査対象に、理由は「開発者に課す手数料が高すぎる」 - GIGAZINE



アメリカでは「検索および検索広告市場の独占状態を違法に維持している」として司法省に訴えられています。司法省は、事業や会社の分割も視野に入れているとみられ、Googleが懸念を表明しています。

Googleが司法省による「ChromeやAndroidの事業分割」検討に懸念を表明 - GIGAZINE



アライリー氏は、Googleが「Microsoftの信用を失墜させ、Googleが直面する厳しい規制監視の目をそらそうとしている」「自社クラウドサービスに有利になるよう環境を変えようとしている」と非難した上で、自社ビジネスにかけられた疑念への対処に集中するべき時に、Microsoftへ攻撃しようというのは非常に残念なことと述べました。