脳科学者 茂木健一郎氏が語る「フロントランナーとモタモタの両面が人生」

脳科学者の茂木健一郎氏が、旅ラン中に偶然遭遇した「金沢マラソン」のランナーたちの様子を通じて独自の視点で人生観を語った動画が注目を集めている。「集団の先頭を走るのも、まんなかから後ろをモタモタ走るのも、どちらも『人生』だよね」と題された動画で、茂木氏は自身のランナー経験から得た洞察を交えながら、人生の捉え方について語った。

茂木氏は、トップランナーたちの姿を見つつ、「僕はいつも東京マラソンを走るときに、後ろの方でちんたらしてるわけですよね」と述べ、スピードという一つの物差しでは測れない価値観があることを示唆。レースを外から見ていて、「ああ俺、いつもあそこにいるんだなー」と思うこともしばしばだと語り、「努力、知識とか科学とか探求の努力ということにおいては、ぼくもフロントランナーとして頑張らなくては」としつつも、「他のことではポンコツだし、びりっけつなんだよなあ」と自身の位置を冷静に見つめる姿勢を示した。

また、茂木氏は「モタモタしている者同士の友情もあるし、意地もある」とモタモタ走る側にも大切な要素があると述べ、さまざまな立場にいることの意味を考えたという。「我々はあの、オスカー・ワイルドの名言のように、みんな下水溝の中にいるけど、何人かは星を見上げてるってことなのかな」と感じたことを振り返り、それが人生においても通じる考え方であると結論づけた。

最後に茂木氏は、偶然に見たマラソンのレースの様子を通じて、「フロントランナーとして頑張ろうという俺もいるし、集団の後ろでモタモタしている俺もいる。それでいい」と人生の二面性を受け入れることの重要性を示した。「金沢マラソンを、野良ランナーとして外から見て、そういうことを思えたのが良かった」と締めくくった。