[東京 27日 ロイター] - 第50回衆議院選挙は27日夜に締め切られ、国内報道機関の議席予測によると、自民・公明合わせた与党で過半数を割り込む一方、最大野党の立憲民主党が大きく議席を伸ばす見通しとなった。数を求めて政党間の合従連衡で政治が不安定化し、物価対策など重要な政策が滞る恐れがある。

自民党派閥の政治資金問題が最大の争点になる中、石破首相が設定していた与党で過半数維持という勝敗ラインを達成できない見込み。自公の過半数割れは2009年以来、15年ぶりとなる。

自民党総裁でもある石破首相は報道各社の取材に「大変厳しい状況ということはよく認識している」とし、「北海道から九州まで全国をまわったが、政治とカネの問題についてご理解をいただけていないということが一番大きかった」と語った。

自身の進退については、開票が終わっていない段階で「そういうことは口にすべきとはまったく思わない」とした。今後も職責を全うするかとの質問には「それはそういうこと」と述べた。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストは「政権の不確実性が高まり、あす以降、海外投資家を中心に売られ、まずは株安で反応するとみられる」と語る。「今後は連立の枠組みをどう維持していくかにマーケットの焦点が移る」とし、「国民民主党は経済政策ではアベノミクス継承・大規模金融緩和の維持路線で与党と近く、手を組む可能性が意識されている」と話す。

日本テレビによる予測獲得議席数は自民党が174(公示前247)、公明が24(同32)で、合わせて198(同279)。立憲民主党は157(同98)議席を獲得すると予測している。

朝日新聞の予測は自民が185議席程度、公明が26前後で、合わせて210程度。立憲民主は152議席前後になる可能性があるとしている。

NHKは与党の過半数確保が微妙な情勢と報じており、自民は153─219議席、公明は21─35、立憲民主は128─191を獲得する見通しとしている。

自民党は派閥の政治資金問題に関与した候補者のうち、12人を公認しておらず、今回の選挙で勝利した議員については追加公認する可能性がある。政策が近い無所属議員を取り込んだり、他党と新たに組んだりする可能性もある。森山裕幹事長は「今は判断するときではない。いろいろなことを考えていきたい」と話した。

議席を大きく伸ばしそうな国民民主の玉木雄一郎代表は日本テレビの取材に対し、自公と連立を組む可能性を否定した。立憲民主とはエネルギー政策など基本政策で合意しないと組めないとする従来の考えも「変わらない」と述べた。

一方、立憲民主の野田佳彦代表は「与党の過半数割れが実現できたならば、当然のことながら他の野党と誠意ある対応をしながら政権交代を目指していきたいと思う」と語った。

山梨大学大学院総合研究部の藤原真史・准教授は「政界が流動的となり、防衛増税など増税を伴う経済政策は難しくなる。円安けん制のための日銀による利上げなども強い政権でないと難しいのではないか」と語る。

党名  公示前勢力 予想獲得議席(NHK) (日本テレビ)

自民 247

153-219 174

立民 98 128-191 157

維新 28-45 37

44

公明 32 21-35 24

共産 10 7-10 10

国民 7 20-33 28

れいわ 3 6-14 15

社民 1 1 1

参政 1 0-4 3

日本保守 0 1-4 3

無所属 22 9-17

*公示前勢力は政治情報サイトの選挙ドットコムから引用。