ザ・パッセージを訪れチェスをするウィリアム王子(1993年6月)

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 ウィリアム皇太子が公にヘンリー王子との幼少期の感動的な思い出を振り返った。弟について語るのは数年ぶりとなる。米誌ピープルが26日、報じた。

 ウィリアム皇太子の近々公開される2部構成のドキュメンタリー「プリンス・ウィリアム:ウィ・キャン・エンド・ホームレスネス(ウィリアム皇太子:私たちはホームレスをなくせる)」(10月30日、31日、英ITV放送)では、英国全土のホームレスを根絶できることを示すことを目的とした5年間の「ホームワーズ・プログラム」を、ウィリアム皇太子が独自の視点で詳しく紹介している。

 26日に公開されたドキュメンタリーのクリップで、ウィリアム皇太子は、亡き母ダイアナ元妃がホームレス状態にある人々を支援する慈善団体「ザ・パッセージ」に兄弟を連れて行き、ホームレス問題を初めて知った時のことを振り返っている。

「母が私をザ・パッセージに連れて行ってくれました。ハリー(ヘンリー王子)と私を連れて行ったんです。当時私は11歳、もしかしたら10歳だったかもしれません。それまでにそのような場所に行ったことがなかったので、どんなことが起こるのか少し不安でした」とウィリアム皇太子は語っており、数年ぶりにヘンリー王子について公に言及したとみられている。

 続けてウィリアム皇太子は「母はいつも通り、みんなをリラックスさせ、みんなと笑い、冗談を言い合っていました。その時、私は『もしみんなが家を持たなかったら、みんな本当に悲しむだろう』と思っていたのを覚えています。でも、その環境がどれほど幸せだったかは信じられませんでした」と話した。

 ウィリアム皇太子はこの体験を振り返り、「楽しい会話をしたり、チェスをしたり、おしゃべりをしたりしたのを覚えています。その時、自分と同じ人生を歩んでいない人たちが世の中にはいるのだと気づいたんです。幼い頃は、人生とは目の前にあるものだけと考え、他に目を向けるという概念があまりないものです。私がその時そうだったように、自分の頭の中に違う視点を植え付けてくれる人たちに出会った時、『そういえば、私は昨晩路上生活を送っていたんだ』と言われて、『わあ』と思うんです。そういう経験があったのを覚えています」と述べた。

 ウィリアム皇太子は、2019年からザ・パッセージのパトロンを務めている。弟のヘンリー王子とともに初めてこの慈善団体を訪れて以来、何度か再訪している。

 2017年の米誌ニューズウィークのインタビューで、ヘンリー王子もこの経験について「母は私と兄をホームレスの人たちに会いに連れて行くなど、私に普通の生活を見せるのに大いに貢献してくれました。ありがたいことに、私は現実から完全に切り離されているわけではありません。ウィリアムと私が送る普通の生活に人々は驚くでしょう」と語っている。

 兄弟が最後にそろって登場したのは、8月に行われた叔父ロバート・フェロウズ卿の追悼式だった。しかし、そこでは兄弟は交流していなかったと伝えられている。