大学生の娘がいます。学生なので「国民年金保険料」は猶予されていますが、子どもの分を親が払っても問題ないのでしょうか?

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20歳になると日本国内に住む全ての人が被保険者となる国民年金。しかし仕事をしていない、またはアルバイトをしていても収入に限りのある学生にとっては保険料の支払いが負担になるでしょう。そこで活用できるのは「学生納付特例制度」ですが、中には子どもの保険料を払いたいと思う親もいるでしょう。 今回は、国民年金の学生納付特例制度について、また、子どもの保険料を親が支払うメリットについて調べてみました。その際の注意点もご紹介しますので参考にしてみてください。

国民年金の「学生納付特例制度」とは

20歳になると、学生であっても国民年金への加入と保険料の納付が義務づけられています。しかし本人の所得が基準以下であれば、申請をすることで保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を活用できます。この制度の対象となるのは、日本国内の大学(大学院)、短期大学を始めとする各種学校に通うほとんどの学生です。
アルバイトをしている学生の場合でも、申請者本人が以下の所得基準を満たすことで申請できます。
・学生納付特例を受けようとする本人の前年度の所得が下記の基準以下
 128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
学生納付特例制度の承認を受けると、その期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。しかし年金額には反映されないため、将来老齢基礎年金を満額受け取るために、10年以内であれば保険料を追納可能です。
 

国民年金の保険料を親が払っても問題ない?

国民年金保険料は親が払っても問題ありません。ただし、すでに学生納付特例制度を申請した場合は追納の手続きが必要になるため、確認しておきましょう。
まずは「国民年金保険料追納申込書」に必要事項を記入したら、近くの年金事務所の窓口または郵送で提出しましょう。
なお、申込書だけでなく、マイナンバーカード(個人番号カード)の提出も必要のようです。マイナンバーカード(個人番号カード)を持っていない場合は、個人番号の記載されている書類と身元を確認する書類(運転免許証など)が必要となるため、公式サイトを確認しておきましょう。
 

子どもの国民年金保険料を親が支払うメリット

大学生の娘が学生納付特例制度により国民年金の保険料は猶予されているとはいえ、子どもの保険料を払ってあげたいと考えるかもしれません。そうすることには以下のようなメリットがあるのです。
 

・追納による加算額の上乗せや将来の年金額が減額されるのを防げる

学生納付特例制度を利用して保険料が猶予された場合でも、10年以内であれば追納して、将来の年金額を満額にできます。しかし、が育成納付特例の承認を受けた機関の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合では、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされ、割高になってしまいます。また追納せずにそのまま放置してしまう可能性もあり、その場合は将来受け取る年金額は満額になりません。親が子どもの保険料を支払うならば、これらの問題を防げます。
 

・社会保険料控除の対象になる

子どもの過去の国民年金保険料を一括して支払った場合、過去の年分のものであっても支払った年と同年分の社会保険料控除の対象になるようです。追納した場合だけでなく、前納した保険料についても、支払った年分の社会保険料控除の対象にできます。年末調整や確定申告で申告すると、所得税や住民税を減らせて節税につながるでしょう。
 

親が子どもの保険料を支払う際の注意点

学生である子どもの国民年金保険料を親が支払うことにする場合、追納だけでなく、保険料の割引がある前納をしたいと考えるかもしれません。1年や2年のように保険料の納付ができますが、保険料を支払った後に子どもが学校を卒業して就職するケースでは、国民年金と厚生年金が重複してしまう場合がある点に注意が必要です。
この場合、厚生年金は給料から保険料が差し引かれ、前納した国民年金保険料は還付されます。国民年金保険料還付請求書が届きますので、手続きを忘れないようにしましょう。請求書に気づかなかったり手続きを忘れてしまったりして2年が過ぎると、時効で還付されなくなります。
また年末調整や確定申告をした後に保険料の還付がされた場合は、申告した内容の修正が必要です。会社員か個人事業主かなどによって修正方法は異なるため、会社の担当者や税務署に相談するといいでしょう。
 

子どもの分の国民年金保険料は親が支払える! 節税などのメリットもあり

学生は、学生納付特例制度を申請して国民年金保険料の支払いの猶予が受けられます。保険料を猶予された期間については、10年以内であれば追納して、将来受け取る年金額を満額にできます。国民年金保険料は、親が子どもの代わりに支払っても問題ありません。
親が子どもの保険料を支払うことには、追納による加算額の上乗せや将来の年金額が減額されるのを防げるメリットがあります。また保険料の支払いは社会保険料控除の対象となり、節税にもつながります。追納以外にも、子どもの保険料を前納でまとめて支払う場合は、子どもが就職して厚生年金に加入した際に保険料が重複してしまう場合がある点に注意が必要です。保険料の還付および年末調整や確定申告の修正が必要になる場合があるので適切に対処しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー