監視カメラの居室収容、一部違法 死刑囚訴え、国に賠償命令
殺人や傷害致死などの罪に問われ、死刑が確定した伊藤玲雄死刑囚(50)が、東京拘置所で監視カメラのある居室に収容され続け、プライバシーを侵害されたとして国に約1890万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、約14年半のうち約4年間の収容を「裁量権を逸脱し違法」と判断し、国に55万円の支払いを命じた。
西村康一郎裁判長はまず、一審の死刑判決後にカメラ室に収容した対応について「判決による死への恐怖は想像を絶するものがある」と指摘し、自殺や自傷を憂慮して一定期間収容したことは妥当だったとした。
一方、最高裁判決後に確定死刑囚としての処遇が始まった2013年3月以降も精神的に安定し、拘置所が縫い針を貸与していたことから「自殺する可能性をさほど評価していなかった」と認定。遅くとも5年が経過した18年4月には収容継続の必要性が失われたとし、カメラのない部屋に移されるまでの約4年間は違法だったと結論付けた。
判決などによると、伊藤死刑囚は詐欺グループのリンチ死亡事件で、13年に死刑が確定した。