30代会社員・妻と子ども2人、ついにマイホームを新築します! もちろん住宅ローンを組むのですが、子育て世帯への支援もあると聞きました。どんな内容ですか?

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住宅価格が急激に上昇している状況で、⼦育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得を支援するために、⼦育て世帯等について住宅ローン控除における借⼊限度額の上乗せが行われました(2024年度改正)。改正内容を解説します。

住宅ローン控除の拡充(2024年度改正)

住宅ローンを利用しマイホームの新築・取得をしたときは、合計所得金額2000万円以下、床面積50平方メートルなど一定の要件に当てはまれば、所得税・住民税の税額控除を受けることができます。所得税から控除しきれなかった控除額は、翌年の住民税(上限9万7500円)から控除できます。
なお、⼦育て世帯にとっての利便性の向上や、さまざまな世代やライフスタイルに応じた住宅取得ニーズに対応する観点から、床⾯積要件について合計所得⾦額1000万円以下の者に限り40㎡に緩和されました(2024年12⽉31⽇以前に建築確認を受けたものが対象)。これにより、ひとり暮らしの人が購入しやすいコンパクトマンションにも利用できるようになりました。
控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額に控除率を乗じて算出します。2024年・2025年に新築住宅に入居する場合、控除率は0.7%、控除期間は13年間です。借入限度額は住宅の性能によって異なります。
2024年に入居する場合、次のとおりです。
 

・長期優良住宅・低炭素住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯は5000万円、その他の世帯:4500万円
・ZEH水準省エネ住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯は5000万円、その他の世帯:3500万円
・省エネ基準適合住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯は4000万円、その他の世帯:3000万円
・その他の住宅:0円

2025年入居する場合、次のとおりです。
 

・長期優良住宅・低炭素住宅:4500万円
・ZEH水準省エネ住宅:3500万円
・省エネ基準適合住宅:3000万円
・その他の住宅:0円

なお、「子育て世帯等」とは、(1) 年齢40歳未満であって配偶者を有する者、(2) 年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者、または(3)年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいいます。
 

住宅ローン控除を受けるには

住宅ローン減税の適用を受けるためには、1年目は入居した翌年(2月16日~3月15日)に確定申告を行う必要があります。その際、計算明細書・住宅ローンの年末残高等証明書・登記事項証明書、請負契約書・売買契約書の写し、住宅省エネルギー性能証明書などの書類の添付が必要になります(新築の場合)。
給与所得者の場合には、2年目以降、確定申告によらず年末調整で控除を受けることが可能です。住民税の減税については別途手続きの必要はありません。
 

まとめ

2024年に新築や買取再販住宅に入居する場合、子育て世帯・若者夫婦世帯には住宅ローン控除を受けられる借入限度額の上乗せがあります。また、2024年より新築住宅や買取再販住宅の場合、省エネ基準を満たさないと住宅ローン減税を受けられませんので注意しましょう。
 

出典

国税庁 No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
国土交通省 住宅ローン減税
財務省 住宅ローン控除の拡充(令和6年度改正)
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー