商業用不動産のリスク増大、銀行の融資条件調整で=NY連銀報告書

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Michael S. Derby

[ニューヨーク 23日 ロイター] - ニューヨーク連銀は23日公表した報告書で、銀行は損失を隠すために商業用不動産ローンの条件を調整しており、決算日を遅らせることで金融システム全体へのリスクを増大させていると指摘した。

商業用不動産(CRE)セクターは、コロナ禍とその余波により大きな圧力にさらされている。リモートワークの増加でオフィスビルなどの不動産需要が減少し、これまでのところ、同セクターは回復の兆しが見られない。それに加えて、2022年春から23年7月にかけての米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金利引き上げが銀行にさらなる圧力をかけた。

ニューヨーク連銀は「銀行は資本の償却を避けるため、パンデミック後の時期にCREの不良債権を『延長して見せかけ』、信用の誤った配分と金融の脆弱性の蓄積を招いた」と指摘。この融資に関連する問題が発生する可能性があると付け加えた。

連銀当局者は、商業用不動産ローンを扱う銀行の間である程度の管理可能な問題が発生することを認識しているが、金融機関が困難な状況を切り抜けていく中で、どのような問題が発生するとしても、その影響は小さく、小規模銀行に集中し、ゆっくりと進むだろうと予想している。