20代前半から後半にかけて、平均年収が「100万円以上」増えると聞きました。これって「大企業」だけの話ですよね?
年代別の平均年収
まずは、各年代を前半と後半に分けた平均年収を比較してみましょう。国税庁「令和5年民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基にした年代別の平均年収と、前の年齢との差額を表したものが表1です。
表1
※国税庁「令和5年民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に筆者作成
表1を見ると、20代前半から後半にかけて127万6000円増加しており、突出して20代の年収がアップしていることが分かります。
20代前半は、会社に入社してまだ数年であり、まだまだ仕事を覚えている段階です。20代後半ともなれば、一人でもかなり仕事ができるようになってくる年齢と考えられます。このスキルの差が、年収100万円以上アップしている1つの理由と考えられます。
会社規模別20代の平均年収
会社の規模別20代の平均年収と増加額を国税庁「令和5年民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に比較してみましょう。表2は20代の平均年収を企業の資本金別に表したものです。
表2
※国税庁「令和5年民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に筆者作成
表2から、基本的にはどの企業規模においても100万円程度年収が上がっていることが分かります。
その中でも、もっとも年収額が上がっているのは、資本金10億円以上の大企業です。しかし、資本金2000万円未満の会社でも、資本金2000万円以上、5000万円以上の企業よりも多く年収が増加していることから、必ずしも企業規模が年収増加に影響しているとはいい切れないようです。
20代前半から後半にかけて平均年収が100万円増えるもう1つの理由
20代前半から後半にかけて、平均年収が100万円以上増える理由として、もう1つ考えられるのは「正社員割合の増加」です。
総務省の発表している「労働力調査」によると、2023年(令和5年)における20代前半の非正規社員の割合はおよそ40.7%、対して20代後半は20.9%とおよそ半数に減っています。20代後半で、非正規社員数よりも正社員数が増えたことによって、平均年収が上がった可能性が考えられるでしょう。
また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、正社員のひと月あたりの平均賃金が33万6300円なのに対し、非正規社員は22万6600円と、およそ11万円の差があります。正社員と比べ収入が少ない非正規社員の割合が多ければ、全体の平均年収は少なくなることが予想できるでしょう。
20代前半から後半にかけて年収が上がるのは企業規模が関係しているわけではない
20代前半から後半にかけて、平均年収は127万6000円アップしています。この理由は、経験を積んで多くの仕事ができるようになることのほかに、20代前半から後半に非正規社員の割合が減少していることが考えられます。
大企業だからこそ平均年収が上がっていると考える方もいるかもしれませんが、資本金2000万円以下の企業でも年収は100万円以上アップしており、企業規模が大きくかかわっているわけではなさそうです。
出典
国税庁 令和5年民間給与実態統計調査-調査結果報告-
e-Stat政府統計の総合窓口 労働力調査 / 詳細集計 全都道府県 結果原表 全国
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー