Photo: ワタナベダイスケ

これなーんだ? 先端にカメラがついた首掛けスピーカー?

残念ながら不正解。正解は、日常生活で「見えない」「見えにくい」といった視覚の不自由さを感じている人(ロービジョン者)や、失明者の歩行を補助するツール。その名も白杖歩行 安全支援機器「スマートウォーク」です。

白杖歩行中、点字ブロック等が途切れていたり、自転車などの障害物にぶつかったりして方向を見失ってしまうといった困りごとに対して、内蔵スピーカーからの音声で支援してくれます。

自転車や電柱などの障害物を音声でお知らせ

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歩行中、点字ブロックに合わせたサイン音を鳴らし、前方に障害物を見つけると音声で教えてくれるのが、スマートウォークの基本機能。先端部にあるカメラからの映像を本体内の小型コンピューターで解析し、うなじ付近にあるスピーカーから音を発する仕組みです。

音声で知らせてくれる対象物は「人」「自転車」「バイク」「車」「トラック」「電柱」「工事コーン」といった7つの障害物と、「誘導ブロック」「警告ブロック」の点字ブロック2種類。

「ジャパンモビリティショー2024」に展示されていたスマートウォークを実際に着用させてもらったところ、自分の行き先方向にいる通行人はもちろん、展示してある自転車まで正確に認識して、音声で教えてくれました。

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人混みなど、通知する対象物がたくさんある場所では「人、人、人、人…」と連続して音声通知されるので、最初はびっくりしますが、それだけ注意して歩こうという気持ちにもさせられます。

また、白杖使用者の困りごとのひとつとされるのが、白杖を自転車などの障害物に強く当ててしまうことで折れてしまうトラブル。こうしたデバイスが実用化されて、事前に障害物の存在に気付くことができれば、より安全な歩行の助けとなるでしょう。

完全スタンドアロン。これまでの白杖の支援として使える

スマートウォークを試してみて、興味深いと感じたポイントは大きく2つ。

1つめは、ネットワーク接続やクラウドでの処理などが不要で、すべての機能がスマートウォーク単体で完結していること。本体に組み込まれたRaspberry Pi系の小型コンピューターが完全ローカルで画像認識AIを動かすことで、通信環境などに左右されず、どんな場所を歩いているときでも安心して使えます。

2つめのポイントは、白杖には一切手を加える必要がないこと。これまでの習慣や使い慣れた白杖はそのままに、ただ首に掛けるだけでシンプルに歩行支援をしてくれるツールです。これなら、使用に抵抗感を感じる人も少ないのでは。

軽自動車のダイハツが開発

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ちなみにこのスマートウォーク、開発を進めているのは自動車メーカーのダイハツ工業株式会社。開発には、ダイハツの自動車製造工場内で完成車の運搬に用いられる「自動誘導搬送車(AGV)」の技術が活かされているそう。

日本国内の失明者・ロービジョン者人口は、高齢化にともなって、2030年には約200万人まで増加すると見込まれているとされ、白杖歩行者が安心安全に出歩ける環境へのニーズは今後さらに高まることでしょう。

スマートウォークは、現在のところ試作・評価の段階ですが、製造・販売開始に向けた開発ステップが進行中。実際に使う人の意見を取り入れながら開発を進めるとのことで、今後さらなるブラッシュアップが期待できそうです。

Source: ダイハツ工業株式会社

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