石川真佑、関菜々巳、福留慧美...開幕の女子バレー・セリエAは「世界で最も美しいリーグになる」
男子に遅れること1週間、今週末、イタリアで女子バレーのリーグが開幕する。
セリエAはもともと世界でもレベルの高いリーグのひとつだが、今シーズンは、イタリアがパリ五輪で史上初めて金メダルを勝ち獲ったこともあり、かなりの盛り上がりを見せている。特に人気があり、活躍が期待されているのは、やはりイタリア代表の選手たち。ミラノ所属のパオラ・エゴヌ、ミリアム・シッラ、アレッシア・オッロ、ノヴァーラ所属のアンナ・ダネージ、イモコ・コネリアーノ所属のモニカ・デ・ジェンナーロ、サラ・ファール、マリーナ・ルビアンだ。
セリエAにはそのほかにも強豪国のスター選手が多く在籍し、別名「女王たちのリーグ」と呼ばれている。全14チームで争われ、レギュラーシーズンはホーム&アウェー方式の総当たり戦で上位8チームがプレーオフに進み、下位2チームは2部に降格する。イタリアバレーボール協会のジュゼッペ・マンフレディ会長は「今シーズンは世界で最も美しいリーグになる」と自信満々だ。
女王たちの戦いに、日本から参戦するのは3人。ノヴァーラの石川真佑、ミランの福留慧美、そしてコネリアーノの関菜々巳だ。福留と関は今季がイタリア初挑戦でもある。3人はいずれも、日本代表チームの要だった。
リベロの福留とセッターの関は、9月28日、リーグの前哨戦ともいえるスーパーカップ決勝で、すでに対戦している。試合はコネリアーノが3−2でミラノを下し、初のトロフィーを手に入れたのは、関のほうだった。
スーパーカップに優勝して喜ぶイモコ・コネリアーノの関菜々巳(左)photo by Mondadori/AFLO
関の所属するイモコ・コネリアーノは、すべてのチームが「倒すべき指標」と目指すチャンピオンチームだ。率いるのはパリ五輪でトルコを4位に導いたダニエレ・サンタレッリ監督だ。最近の成績を挙げるだけでも、スクデット(リーグ優勝)5回(2019、2021、2022、2023、2024)、コッパ・イタリア優勝5回(2020、2021、2022、2023、2024)、スーパーカップ優勝6回(2019、2020、2021、2022、2023、2024)などと、他を圧倒している。前述のイタリア人金メダリストたちに加え、ポーランドのヨアンナ・ヴォロシュ、中国のシュテイ、ブラジルのガビ、スウェーデンのイザベル・ハークといった名手たちが名を連ねている。
こんなスター軍団の中に入った25歳の関は「日本以外の国で暮らすのも、プレーするのも初めて」と言う。
「すべてが今までとはまるで異なり、チームメイトやスタッフ、チーム自体の助けがなければかなり難しいでしょう。でも、ここまでのところは最高です。コネリアーノのレベルはとても高くて、世界でも上位にあると思います。イタリアで、そしてなによりコネリアーノで経験を積めるのは本当にすばらしいことです。きっと多くのことを学んで、成長することができるはずです」
コネリアーノの最大のライバルは、26歳の福留がプレーするミラノだ。彼女に与えられた使命は、ドミニカ人リベロ、ブレンダ・カスティージョの抜けた穴を埋めることだ。カスティージョの移籍をサポーターが嘆くかどうかは福留の活躍にかかっている。
ミラノもコネリアーノ同様に監督が交代しており、新監督はかつてポーランド代表を率いたこともあるステファノ・ラバリーニ。そのもとでプレーするのは、前述のイタリアの金メダリストたちに加え、オランダのパワフルなアウトサイドヒッター、ニカ・ダールデロップ、フランスのヘレナ・カソーテ、ベルギーのミドルブロッカー、ラウラ・ヘイルマンらだ。
「イタリアでは、毎日が新しい経験の連続で、エキサイティングで楽しい発見に満ちています。私の目標は、チームがすばらしい結果を残すこと。それから私個人の目標は、選手として、また人間として成長することです」(福留)
スーパーカップ決勝では惜しくも敗れてしまったが、福留はローマの1万人の観衆の前で、光ったプレーを見せている。特にディフェンスでの彼女の活躍は、目覚ましかった。
そしてイタリアで2シーズン目となるのは、石川真佑だ。日本男子代表キャプテンの石川祐希の妹で、昨季はフィレンツェでプレーし、レギュラーシーズンを得点ランキング10位(341点)で終えた。
今季はイゴール・ノヴァーラに移籍、国際バレーボール連盟から「20世紀最優秀選手」にも選出されたバレーボール界のレジェンド、ロレンツォ・ベルナルディのもとでプレーする。
石川のチームメイトには、ドイツのアウトサイドヒッター、リナ・アルスマイヤーとハンナ・オルトマン、ロシアのオポジット、ヴィタ・アキモワ、アメリカのオポジット、テイラー・ミムズがいる。
彼女らが挑戦するのは国内のリーグ戦だけではない。関と福留はヨーロッパ最高峰の大会であるチャンピオンズリーグとクラブワールドカップに、石川はCEVカップ(チャンピオンズリーグに次ぐヨーロッパ第2の大会)に出場する予定だ。