ありそうでなかったハイルーフトラックの「二段ベッド」! 2024年問題対策に今後の需要が高まる可能性アリ
この記事をまとめると
■キャビンのルーフ部分にベッドを組み込んだトラックが存在する
■ハイルーフ二段ベッド仕様のトラックは極めて少ない
■ハイルーフ二段ベッド仕様が少ない理由を「ジャパントラックショー2024」の会場で確認
ハイルーフ&二段ベッド仕様が少ない理由とは?
ボルボのグローブトロッターなどハイルーフのトラクターや大型トラックは、ルーフ部分にベッドが組み込まれている仕様がある。もともとハイルーフ車は長身のドライバーでも車内で立って移動できることが快適なため評判なのだが、そこまで高さが必要ないドライバーや企業にとっては、頭上の広々とした空間がもったいないからベッドが設定されている。
ドライバーと助手のふたりで長距離移動する場合、ふたりともしっかり身体を休めようと思ったら、二段ベッドが必要なのだろう。それにハイルーフではないトラックの場合は、ルーフの上にウインドデフレクターを装着してボディとの段差を滑らかにして空気抵抗を減らして燃費を向上させている。
いい換えると、ハイルーフ車では空間が無駄になりがちだが、ロールーフでもそのままでは燃費が悪いので、ハイルーフと同じ形状にしなければならないのだ。それならハイルーフ&二段ベッドでもよくないだろうか。
しかし日本では、ハイルーフ車にベッドを組み込んだトラックは極めて少ない。例外は三菱ふそうのスーパーグレートや日野プロフィア、いすゞギガでショートキャブ(座席後部にベッドがない仕様)のハイルーフモデルにルーフベッドが備わる設定があるくらいで、二段ベッドではない。
なぜ二段ベッドがないのか。ジャパントラックショー2024の会場内で各トラックメーカーの担当者に訊いてみた。
今後は二段ベッドの需要が高まる可能性もある
まずはある国産トラックメーカーに「どうしてハイルーフ車に二段ベッド仕様がないのか」を尋ねてみた。
「キャンピングカーメーカーが二段ベッドのキットを用意しているところもあるみたいですけど……。メーカーとしては用意していないですね」という回答。そもそも需要がないため設定していないという状況のようだ。これまで長距離トラックのドライバーはひとりで運転して荷物を運んできたから、ベッドはひとつで足りたのだ。
その証拠(?)にボルボとスカニアにも二段ベッドの設定は基本的にはない。ただし、スカニアは「オーダーしてもらえば対応できるかもしれません」という返答。つまり、これまではそういったオーダーはなかった、ということか。
ルーフ部分にベッドを設置しても「冬は寒くて夏は暑い」という状況になって利用しにくい、という意見もある。しかし、断熱材を貼り込んで電動コンプレッサーのエアコンを導入すれば、ルーフベッドも快適性を高めることはできそうだ。
今年4月から、トラックドライバーの残業時間も労働基準法に準拠することが義務付けられ、ドライバーひとりの走行時間は限られることになった。荷待ち時間の短縮など、拘束時間を見直すことでもある程度改善はできるだろう。さらに、東京と大阪を往復する長距離便などは、途中の静岡に中継地点を作り、荷物を交換したりトラックを交換することで、お互い日帰りできるような運行方法も始められている。
それはそれとして、ドライバーふたりが乗車して、4時間毎に運転を交代すれば、16時間から20時間くらい走行を続けることもできる。そうなるとふたり同時に休憩する時間も必要だから、二段ベッドの必要性が生じてくる。
走行中に休むとなると、ルーフベッドより座席後部のほうが快適だろうが、これからは二段ベッドの需要も高まりそうだ。