米国を「恐怖の底」へ突き落とした中国!米国が日本を「犠牲」にしても守りたいものとは一体…

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知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化していた日本

日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?

政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?

国際情勢が混迷を極める「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。

※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。

トゥキディデスの罠

人類の歴史を振り返ってみると、大国間のパワーバランスが大きく変動した時に大きな戦争が起きてきました。

米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授(政治学)を中心とする研究グループは、過去500年の歴史の中で台頭する新興国が覇権国の地位を脅かしたケースを調べ、そのうちどれくらいの割合で戦争に至ったのかを明らかにしました。

結果は、75%のケース(16件のうち12件)で戦争に至っていました。

同教授は、この現象を「トゥキディデスの罠」と名付けました(グレアム・アリソン著、藤原朝子訳『米中戦争前夜』ダイヤモンド社、2017年)。

トゥキディデスは古代ギリシャの歴史家で、二大ポリス(都市国家)であったアテナイとスパルタ、その両陣営の間で勃発したペロポネソス戦争(紀元前431〜紀元前404)の戦史を書き残した人物です。

トゥキディデスは、新興国アテナイの台頭が覇権国スパルタに与えた恐怖が戦争勃発の原因になったと分析しました。

アリソン教授は、これを引き合いに出して、覇権国の地位を脅かす新興国の台頭が戦争を引き起こすことを「トゥキディデスの罠」と名付けたのです。そして、中国の台頭が覇権国・米国に恐怖を与えている現在も、この罠にはまって大きな戦争に至る危険があると警鐘を鳴らしました。

米国の望むようにはならなかった中国

米国は1979年に中国と国交を正常化して以降、中国を敵視して封じ込める政策を転換し、積極的に関与して経済成長を後押しすることで米国が主導する「自由主義国際秩序」に取り込もうとする「関与政策」をとってきました。

中国は改革・開放政策の下、著しい経済成長を遂げましたが、米国が望むような「自由主義」の体制にはなりませんでした。その中国を、やがて米国は自らが主導する国際秩序を脅かす脅威と捉えるようになります。

オバマ政権(2009〜2017)は、中国への関与を続けつつ、脅威になった場合に備えて「軍事的ヘッジ(抑止)」も同時に進める政策をとりました。トランプ政権(2017〜2021)は、中国に対する長年の関与政策は失敗であったと結論付け、敵視・封じ込め政策に回帰します。

2021年に発足したバイデン政権も、国際秩序をめぐる中国との地政学的競争(覇権争い)を国家安全保障政策の最優先の課題に位置付けました。

米国がどうしても守りたい「覇権」

2022年10月にバイデン政権が発表した「国家安全保障戦略」は、中国が「インド太平洋地域に強大な影響圏を築き、世界を主導する大国になる野望を抱いている」と分析。その上で、中国を「国際秩序を再形成する意図と、それを実現する経済力、外交力、軍事力、技術力を併せ持つ唯一の競争相手」と位置付け、あらゆる分野で中国に対する優位性を維持して覇権争いに勝利する決意を示しました。

国家安全保障戦略の序文は、同戦略が「米国の死活的な利益を増進し、地政学的競争相手に打ち勝つ」ためのものだと断言しています。

これに示されているように、米国が最も守ろうとしているのは、米国自身のグローバルな国益とその基盤となってきた覇権です。その覇権を台頭する中国に取って代わられることを米国は最も恐れているのです。

米国がインド太平洋地域で台湾防衛のための軍備強化を日本などの同盟国と共に進めているのも、米国が主導する「自由主義国際秩序」を維持する上で台湾防衛が象徴的な意味を持っているからです。

中国の侵攻から台湾を防衛できなかった場合、米国は国際秩序を主導してきた覇権的地位を失うと考えているのです。

>>つづく「習近平の巨大な欲望!「中華民族の恥」回復急ぐ中国に焦る米国…」では、世界のトップを目指す習近平の「構想」と、焦りを感じる米国の姿を描き出します。

まるで米軍の「手足」…!戦後日本「対米従属」の「異常すぎる」歴史に呆然