[9.22 J1リーグ第31節 東京V 2-0 鳥栖 味スタ]

 J1リーグで21年ぶりの4連勝を果たした東京ヴェルディで、大卒2年目の長身センターバックが飛躍の時を過ごしている。24歳のDF綱島悠斗は今季、自身初のJ1挑戦でここまで23試合に出場。国士舘大時代はボランチやアンカーのポジションを担い、プロ入り後もボランチ起用が中心だったが、最近は3-4-2-1システムのCBで先発に定着し、CBでの先発時は7戦全勝という驚異的な勝率を誇る。

 188cmという長身に支えられた対人守備と、推進力と配球力を兼ね備える攻撃センスはJ1でも異質な素質。連勝をスタートさせた8月31日の第28節・鹿島戦(◯2-1)では最終ラインから果敢な持ち上がりを見せ、FW山見大登の先制点をアシストするなど、勝敗に直結する働きも出てきているのも印象的だ。

 綱島自身はCB起用での7戦7勝の現状について「運もあると思う」と謙虚に語る。「結果がついているのは自分にとっても嬉しいけど、自分が点を決めて勝つという目標がある。点を取れていないのはすごく悔しいし、反省しなきゃいけない点が多々あると思う」。今はノーゴールという課題にフォーカスしているという。

 とはいえ、4連勝中は攻撃陣が毎試合複数得点を重ねており、彼らを支えるビルドアップでの貢献も大事な役割。「持ち運びからのシュートで振れるシーンもあるし、アントラーズ戦のアシストのような場面をもっともっと増やしていくべき。またセットプレーも自分は高さがあるので得点を奪えたら」という使命は、今後の“プラスアルファ”として求めていくことになりそうだ。

 そんな綱島にとってCBは、東京Vユース時代以来という“元本職”。近年はR・マドリーのフランス代表MFオーレリアン・チュアメニらのプレーを参考にしつつ、日本人には珍しい長身ボランチとしてのスキルアップを追求していたが、その経験はCBでのプレーにも活かされているようだ。

「最近は一番後ろでプレーさせていただく機会が増えて、ボランチより余裕を持ってプレーできている印象がある。ボランチの経験があったからこそ持ち運びとか、相手を見るところをより出せている。ボランチだと360度から来るけど、最終ラインだと180度、自分が見えているところからしか来ないので、その余裕はボランチをやっていたからこそ持てると思います」

 また綱島はこのコンバートを通じて、選手キャリアを前向きに進める足掛かりを掴みたいところだ。綱島は大学時代から海外挑戦の意思を強く持っており、プレミアリーグでプレーするのが大きな目標。3学年上で同じ大卒のMF三笘薫(ブライトン)のキャリアも意識し、将来的なロードマップを描いている。

 そのためには欧州からの注目度を上げる必要が出てくるが、その方法の一つが日本代表。国内からの選出は狭き門だが、今月には国士舘大の1年後輩であるDF望月ヘンリー海輝(町田)がA代表初招集を果たしており、フィジカル的な素質も併せ持つ綱島にとっても現実的な目標となりつつある。

「彼のポテンシャルからすれば代表に入るだろうと思っていたし、自分にも可能性があると思っている。自分自身を信じられているからこそ、そこに到達したいなと思う。刺激はすごくあるし、彼が入ったからこそ自分も大いに可能性があるなと思えた」

 奇しくもA代表でも3バックの採用が進んでいる中、目指すは10月、11月での代表入り。「自分の目標はもう一つ上にあるのでそこを通過点にできればと思う。何歳までに海外に渡って、何歳までにプレミアという現段階での目標があるからこそ、チャンスがあれば今年中に入りたいという気持ちが強い」。そのためにもまずはJリーグで別次元のパフォーマンスを続けていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)