料理研究家・近藤幸子さん「小6の誕生日プレゼントに電気オーブンをリクエストしました」

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料理研究家・近藤幸子さん


こんどう・さちこ/宮城県生まれ。仙台の料理教室でアシスタント、講師を務めた後、料理研究家として独立。東京で料理教室「おいしい週末」を主宰。「キユーピー3分クッキング」(日本テレビ系)に出演中。近著に『やめレシピ がんばらなくてもおいしいごはん』(主婦と生活社)がある。

「キユーピー3分クッキング」などの料理番組や雑誌に登場し、レシピ本も多く出版している料理研究家の近藤幸子さん。その原点は、多感な青春時代を過ごした地元・宮城県にありました。


料理と音楽が好きな少女時代


数々のメディアで活躍し、『オレンジページ』でも簡単でおいしく、おしゃれなレシピが評判。そんな近藤さんが生まれ育ったのは、宮城県仙台市から電車で約30分の亘理町。

「両親と弟、祖父母、曽祖母と暮らす、7人の大家族でした。基本的に祖母がごはんを作っていましたが、祖父や父を含め、みんな料理をする家族。家の前に畑があったので、とれたての野菜もたくさん! 母は仙台の百貨店で働いていて、デパ地下でケーキを買ってきたり、休日はロールキャベツを作ったりと、おしゃれなものを食べさせてくれた記憶がありますね」

そのような環境で育った近藤さんも料理好きに。小学6年のときには、誕生日プレゼントに電気オーブンをリクエストします。

「ちょうどそのころ、母が『オレンジページ』のお菓子特集号を買ってきてくれました。それを見ながら、お菓子をたくさん作って。雑誌で気になった料理の記事をスクラップして、オリジナルのレシピブックも作っていましたね」

中学に入ってからは音楽にも夢中になり、高校時代は放送部に。「勉強もせずに、放課後、毎日のように仙台のレコードショップに通い、ライブに行ったりしていました」。

その後、研究者にあこがれて農学部をめざしますが、最終的には管理栄養士の資格が取得できる学部のある大学に進学。

「勉強はすごく楽しかったです。でも当時の管理栄養士といえば、病院食や学校給食のメニューを決めるのが主な仕事。私は、それとは違ったアプローチで料理の仕事をしてみたいと考えていました」

そして大学3年のとき、思い立って、地元のテレビに出演していた料理研究家の河合伸子さんに「アシスタントになりたい」と連絡します。空きがなく、まずは生徒として通い、ほどなくして、アシスタントとして働きはじめることに。

「もともと父や親戚など公務員が多い家系だったので、両親も大学卒業後は堅実で安定した進路を希望していたと思いますが、私は『ワクワクするような好きなことをやっていきたい。それでなんとかなるんじゃないか』と思っていました。母も『専門学校に通うつもりで、2〜3年は頑張ってみたら』と背中を押してくれて」


〈(左)小学6年のころ。当時お菓子作りにハマって、『オレンジページ』(右の写真)を片手にたくさんのレシピにチャレンジしたそう。(右)「穴があくほど読んだ」という1989年発売の『オレンジページ』。近藤さんは、今も大切に手もとに置いています。〉


結婚を機に東京へ


本来は「心配性で慎重な性格」だという近藤さんが、このような選択をした背景には、大学時代に出会った仲間たちの影響もあったそう。

「当時、よく通っていた仙台のおしゃれな家具屋さんのオーナーが、おもしろい人で。地元のCMやフリーペーパーなんかを作っていて、そこに集まる仲間とその仕事を手伝ったりしていました。みんな『やりたいことや好きなことがあればやってみよう』という人たちばかりで、私も『好きなことがあれば行動を起こしてみたらいい』ということをここで教わった気がします」

アシスタントを経て講師となって4年。28歳で、結婚を機に東京に引っ越すことに。縁もゆかりもない場所で、近藤さんは料理教室を始めます。

「どんどん生徒さんが増えていって、そこに編集者やライターさんがいらして、雑誌の仕事も入ってきました」

娘2人を育てながら、仕事をすることは大変でしたが、「来た球はしっかり打とう!」という思いで、一つ一つ、目の前のことに一生懸命取り組んできました。

「でも自分の顔がメディアに出るのには正直抵抗があって。それが40歳を過ぎて、気持ち
に変化が生まれたんです。せっかく与えられたチャンス、どこまでいけるか、やれるだけやってみようと。そこからテレビの仕事も増えていきました」

ワクワクするようなことを続けてきたことで、今がある。

「一歩踏み出すことを恐れず、乗り越えていくうちに、まわりの人が私を見いだしてくれ、ここまでたどり着いたと感じています。私は娘たちに対しても、『やりたい』という気持ちを応援してあげたい。その子の好きなことは、親が知らないところまで連れていってくれると思っています」

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(『こどもオレンジページNo.6』より)