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 ◇パ・リーグ ソフトバンク11―5楽天(2024年9月22日 みずほペイペイ)

 マジックを2としていたソフトバンクは22日、デーゲームで楽天に11―5で快勝。ナイターで2位の日本ハムも勝利したため、4年ぶりのリーグ優勝は持ち越しとなった。歓喜の瞬間はお預けとなったが、川村友斗外野手(25)のプロ1号など選手が躍動し、いよいよマジックは「1」に。就任1年目の小久保裕紀監督(52)がきょう23日のオリックス戦(京セラドーム)に勝って、自力で4年ぶり22度目(1リーグ時代を含む)のリーグ優勝を決める。

 大事な試合で、小久保監督が目をかけてきた育成の星が輝いた。3点リードした2回1死一塁、川村は楽天・高田の真ん中139キロ直球を右中間席中段まで運んだ。開幕前に仲田、緒方とともに支配下登録され、120打席目に出たプロ1号は試合の流れを決定づける2ランになった。

 「ちょっとうれしいです」とお立ち台で第一声を発した後、すぐに「まじでうれしいです」と加えた。言葉通りの満面の笑みだ。

 “予告”ホームランだった。試合前に村上打撃コーチが「もしかしたら初ホームランが見られるかも」と予言。「9番・右翼」で8月30日のロッテ戦以来となるスタメン起用され“一発回答”した。小久保監督も「打撃コーチから良くなってるとの推薦があった。あの打席はみんなでホームランを狙えと言ってたので。甘いボールを一発で仕留めましたね」と2軍監督時代から期待した若き大砲候補の第一歩を祝った。

 今月7日に出場選手登録を抹消され、同17日に再登録されるなど、状態は不安定。つかんだのはつい先日だ。「3日前くらいに試合後、打っている時に栗原さんからアドバイスもらった。打ってみたら次の日からえぐかった」と川村。手先だけではなく、全身で振る重要性を伝えられると、一気に上昇気流に乗った。試合後の屋内打撃練習場は、栗原が離脱中の近藤に毎日のように指導を仰いだ場所だ。「僕が(近藤に)伝えてもらったことを伝えられればと思いました」と栗原。伝統が受け継がれることが、常勝軍団の礎になる。

 マジックは1。ナイターで日本ハムが勝利し、この日の胴上げはなかったが、きょう23日の敵地オリックス戦で自力で決められる数字まで持ってきた。柳田、近藤と主力に故障が相次ぐ苦しいシーズンだったが、ファームで2年間育てた若手が融合し、白星をつないでくれた。「(川村は)あれくらい長打を打てるバッターだと思っています」と小久保監督。手塩にかけて育成してきた男の才能が、就任1年目でのリーグ優勝を目前にして、花開こうとしている。

 ≪王会長「自力で決めろ」≫

 ナイターでの日本ハムの勝利を受け、大阪市内のホテルに到着した首脳陣、選手らは、きょう23日のオリックス戦に勝利して優勝を決めると気持ちを切り替えた。今宮は「自分たちの力でグラウンドで、ということができるので。何とか勝ちたいと思います」とコメント。王貞治球団会長も「自力で決めろ、そうしろということですよ」と力強く語った。