映画初単独主演を務める松村北斗

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 新海誠監督のアニメ映画「秒速5センチメートル」(07年)が来年秋に実写映画化され、SixTONESの松村北斗(29)が初の映画単独主演を務めることが21日、分かった。新海作品の実写化は初めてで、気鋭の映画監督・奥山由之氏がメガホンをとる。

 「秒速―」は、大ヒットアニメ映画「君の名は。」(16年、興行収入250・3億円)などで知られる新海監督にとって、3本目の商業公開作。ひかれ合う男女の時間と距離を全3話で繊細に描き、その映像美から「新海ワールドの原点」との呼び声高い人気作だ。

 松村は22年、新海監督のアニメ映画「すずめの戸締まり」で主要キャラの声優を好演。そのつながりで今回、主演に抜てきされたことに「何度も見返してきた作品だからこそ、重責を日々感じています」。原作ファンであったことを告白すると同時に「製作陣の原作への憧れと愛。新海さんからいただいた『北斗くんで見たいですね』というお言葉が、このチームで挑戦する理由をくれました」と背中を押されたことを明かした。

 新海監督は、原作の評価を「その未完成さ故に、今でも長く愛し続けてもらえている作品」と受け止める。実写化には「とても興奮しています。最も信頼する俳優である松村北斗くんに主演を務めてもらえることにも、人生の不思議さを感じます。誰よりも完成を心待ちに、応援しています」と大きな期待を寄せている。

 奥山監督は、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された「ぼくのお日さま」の奥山大史監督の兄。大型長編映画の監督は初挑戦で「新海誠さんが当時33歳の時に紡ぎ上げていた物語を、いま33歳の僕が撮らせていただくことに、大切な巡り合わせを感じております。僕の中に残る『センチメンタル』をこの作品に全て置いていきます」と力を込めた。

 ◆「秒速5センチメートル」 主人公・遠野貴樹(松村)は小学生の頃に、転校生・篠原明里とひかれ合っていたが、卒業と同時に離ればなれになってしまう。その後、貴樹は鹿児島の種子島で高校生活を送った後、東京でシステムエンジニアとして働くようになるが、30歳を手前にして、漠然とした閉塞(へいそく)感と焦燥感を抱えて過ごしていた…。原作アニメは小中学校時代、高校時代、社会人時代の3編計63分の作品だったが、実写版では約2時間の長編作品となる予定。