️1.ブドウ

ブドウは急性腎不全を引き起こし、重篤な場合には命に関わる可能性もあるため、犬には絶対にNGな果物です。

恐ろしいのは、ブドウの皮、実、タネのどの部位に有毒物質が含まれているのか、また、その有毒物質は具体的に何なのかが明らかになっていないことです。

詳細はわかっていないものの、実際にブドウを食べて腎機能障害を起こした犬が多数いるという症例の報告だけが積み重なっている状況なのです。そのため、一部では「犬にブドウを与えてはいけないのはデマ」という説も囁かれていますが、決して与えてはいけません。

生のブドウを与えないようにするのはもちろんですが、注意したいのはレーズン。

ブドウという感覚が少し薄れるため、油断して与えてしまうことがあるからです。またこれらはパンやお菓子というような加工品に含まれていることも少なくないため、原材料をしっかりチェックすることが大切です。

️2.イチジク

秋に旬を迎える果物で、もうひとつ注意が必要なのが「イチジク」です。

イチジクは犬の命に関わる重篤なアレルギー症状を引き起こす場合があります。この原因となるのがイチジクの皮や葉、果肉に含まれている「フィシン」と「ソラレン」という物質です。イチジクを食べたときに口の中が痒くなった経験がある人はいないでしょうか。

この痒みを引き起こす原因となるのが「フィシン」で、犬が摂取すると口内炎や口腔内のただれにより脱水症状に陥ることがあります。また「ソラレン」は下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるほか、皮膚が火傷のようにただれてしまうリスクが考えられます。

また少数ではありますが、ゴム製のおもちゃで遊んでいると皮膚が赤くなったり痒くなったりしてしまう「ラテックスアレルギー」を持っている犬がいます。

イチジクの成分は天然ゴムの成分に酷似しているため、もしこのラテックスアレルギーの犬がイチジクを口にしてしまうと、重度のアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があります。ラテックスアレルギーの犬にイチジクは絶対に近づけてはいけません。

️3.ぎんなん

踏むと臭いけれど食べると美味しい「ぎんなん」も、犬にはNGな食材です。

ぎんなんの実の部分には「メチルピリドキシン」という成分が含まれており、けいれんや意識障害を引き起こす可能性があるからです。また実を食べないまでも、外種皮の部分に触れると皮膚が炎症を起こすリスクがあります。

飼い主さんが家庭でぎんなんを扱うことがなかったとしても、お散歩コースにイチョウ並木がある場合などは拾い食いにも要注意です。

ぎんなんは独特の匂いがするため、興味を示してしまう子も多いもの。愛犬がぎんなんに興味を示している様子があったら、すぐに引き離すかお散歩コースを変えるようにしましょう。

️まとめ

今回は、犬に与えてはいけない「秋の味覚」について解説しました。

いずれも人間にとっては美味しくて栄養満点な食材ですが、犬にとっては非常に危険なため注意が必要です。

正しい知識を持って、食欲の秋を愛犬と一緒に楽しみたいですね。


(獣医師監修:葛野宗)