すでに前人未到に足を踏み入れている大谷(C)ロイター/USA TODAY Sports

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 ドジャース・大谷翔平(30)が日本時間18日のマーリンズ戦の三回、相手の先発右腕マコーガンの変化球を捉え、右翼席に2ランを放って「48-48」(48本塁打、48盗塁)とした。

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 すでに、8月31日のダイヤモンドバックス戦で「43-43」に達し、メジャー記録を更新したものの、DH専任だけに3度目のMVP受賞に関して懐疑的な声があるのは事実だ。

 MVPは全米野球記者協会の記者投票によって決まる。その際に重要視されるのはチームへの貢献度を示す「WAR」の数値といわれる。米サイト「ファングラフス」によればナ・リーグでWARのトップはメッツの遊撃手リンドア(30)の「7.4」。大谷は守備に就かないことがマイナスに作用して「7.0」。だからリンドアが有利というのだが、本当にそうか。

 野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏は弊紙で、投票権をもつ全米野球記者協会について「歴史の開拓者をひときわ重視する」と指摘しているし、米紙コラムニストのビリー・デービス氏もこう言う。

「米国人は人がやっていないことを好む。パイオニアを愛でる文化が米国にはあります。投打の二刀流にしても日本だから出来たわけで、メジャーでは通用しないぞという認識を覆したからこそ大谷はMVPを獲得したのです。50-50しかりで、米国でまだだれもやったことのない快挙を支持するのは国民的な気質でもあります。とにかく開拓者精神旺盛。そもそも合衆国が誕生した歴史からしてそうですから」

 しかも大谷自身、その米国人気質を持ち合わせている。

 花巻東(岩手)時代には、高校からいきなりメジャー挑戦したいと公言した。ドラフト1位クラスの高校生が、日本のプロ野球を経ずに本気でメジャー挑戦しようとしたのは大谷が初めてだ。

 ドラフトで日本ハム入りしてからは、プロでだれもやったことのない投打の二刀流に当たり前のようにチャレンジ。否定的な声も多い中、だれよりも速い球を投げ、だれよりも打球を遠くに飛ばすためのトレーニングを積み、実際に結果を出した。

 米国でもベーブ・ルース以来の二刀流にチャレンジ。最初にポスティングでメジャー挑戦した際の球団選びで、本人が何より優先したのは投打の二刀流に挑戦させてもらえる環境で、それがエンゼルスだった。

「大谷は『48-48』とすでにメジャー記録を更新して、これまでだれもやれなかった領域に足を踏み入れています。WARの数値で多少、リンドアの後塵を拝しても、MVP投票の有権者に与えるインパクトは比較にならない。パイオニア精神を尊ぶ米国人気質からいっても、3度目のMVPはほぼ確実だと思いますよ」とは前出のデービス氏だ。

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 大谷ファンの審判も少なくない。実は、彼らによって大谷は「助けられている」という。いったいどういうことなのか。

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