フロントドアまではCX-60と共通(写真)小沢コージ

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 マツダ CX-80

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 待望のシン・マツダSUV、今秋発売予定の新型CX-80のプロトタイプをチェックしてきた。簡単に言えば、2年前に登場したラージ2列シートSUV、CX-60のストレッチ版であり、6〜7人乗りの3列シート車だ。

 見た目はワイルドなSUVだが、乗るとちょっとした3列ミニバン代わりにも使える。カッコ良さと実用性を両立した現代的なファミリーカーと言ってもいい。

 当初、予想価格帯はざっくり500万円前後と目され、さほどお手軽でもないイメージがあったが販売店情報も入手。意外な全体戦略がわかってきた。

 まずスタイリングはCX-60を基本的に25cmストレッチしたモノ。全長もホイールベースも同様に伸びている。だが、それが予想外にリッチで美しい。

 厳密にはフロントドアまではCX-60と共通で、リアハッチゲートは北米向けCX-70や90と同じパネルを使用。だが、伸びやかなルーフラインとリアサイドの巧みな処理により一体感がもの凄い。サイド窓枠にもCX-60にはなかった太めのメッキモールが張り巡らされ、ハッキリ言って欧米プレミアムならば800万円ぐらいしてもおかしくないほどの威風堂々感がある。

確かにデカいが…決してデカすぎることはないサイズ

 特に絶妙なのが、25cm伸ばし、リアエンドに3列目シートを追加しておきながら全長をギリギリ5m弱に収めている点。全長×全幅×全高は4990×1890×1710mmとなかなかで、特にホイールベースは3120mmと余裕がある。

 ただし、横幅はCX-60とまったく同じだし、全長ともども日本のコインパーキングにギリギリ収まる寸法。確かにデカいが、決してデカすぎることはない。

 さらなる注目はパワートレインだ。これまた基本CX-60の踏襲だが、ボディが大きく重くなる分、非力な2.5ℓ直4ガソリンはあえてカット。

 マツダ自慢の新開発多気筒エンジン、3.3ℓ直6ディーゼルターボとそのマイルドハイブリッド仕様、2.5ℓガソリンのプラグインハイブリッドの3種類から選べる。

 中でも注目は、最もベーシックな素の直6ディーゼルだ。パワースペック未発表だが、間違いなく231ps&500Nmかそれ以上。これくらいあれば車重2トン超えロングボディも楽勝で引っ張ることができる。

 確かに、Mハイブリッド付きや電動力の強いプラグイン仕様の方が速いが、ぶっちゃけ素のディーゼルで十分。価格抑えめでもCX-80の真価は十分に楽しめるはずなのだ。

美麗な3列シートSUVはラージミニバンの代わりになりうる

 そして肝心の実売価格だが、販売店取材で驚くべきことが判明。最もベーシックなディーゼルグレードのスタート価格がなんと400万円切りで、装備豊富な本革シート仕様でも400万円後半と抑え気味なこと。

 確かにイタリア車のようなスウェード内装を備えるプレミアムグレードはMハイブリッド付きで600万円台に突入するが、そこまで豪華さを求めなければ、本革仕様で十分。

 繰り返すが、ドイツプレミアムのほぼ同サイズSUVならプラスで300万円はかかるクラスなのだ。

 もちろん日本発、新世代プレミアムのマツダ新商品群でキモは完全新作のFRラージプラットフォーム。当初CX-60はトラブルもあり苦戦した部分もあった。

 だが熟成が進んできた新プラットフォームで、日本においてはラージミニバンの代わりになりうる美麗な3列シートSUV。

 今やアルファードは人気殺到で新規発注はほぼできない状態。ひとつコチラを検討してみるのも悪くないと思った次第である。

(小沢コージ/自動車ジャーナリスト)