平田憲聖(C)Getty Images

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12日から、北海道の札幌ゴルフ倶楽部・輪厚コースでANAオープンが開催される。1973年に第1回大会が開催され、今回が50回目。節目の大会を制するのは誰になるのだろうか。
調子の良さと、コースとの相性を分けて優勝候補を考えてみる。調子の良さでは2連勝中の平田憲聖と蟬川泰果を、コースとの相性では石川遼、そして池田勇太をあげたい。

■平田憲聖は絶好調

昨年2勝をあげた平田は今季すでに3勝。7月11日からのセガサミーカップで今季初優勝をあげ、先月29日からのフジサンケイクラシック、今月5日から韓国で開催されたShinhan Donghae Openと2週連続優勝を飾った。
最近5戦で3勝、トップ10率が100%という絶好調ぶりで、賞金ランキングトップに踊り出た。
平田の強みとして精度が高いドライバーショットがあげられる。
昨季からトータルドライビングが20位と、ドライバーショットの精度が高かったが、今季現時点(9月8日時点)は同スタッツが5位。より飛んで曲がらないドライバーショットを見せている。
スイングを見ると、トップの位置での右ひじの内角が鈍角。コンパクトなトップで、手と胸の間の空間が広い。多くの一般ゴルファーが参考にするべきポイントだ。

平田憲聖 最近5戦の成績(9月8日時点)

■蟬川泰果、ようやく上昇か

ドライビングディスタンスは今季現時点で300ヤードを超え、5位。蟬川らしいドライバーショットは見せているものの、パーオン率や、パーオンしたホールの平均パット数の順位が低下。賞金ランキング2位となった昨季のようにバーディを量産できていない。
ただ、調子が上がらなかった蟬川だが、ここへきて上昇ムードを漂わせている。
フジサンケイが4位。これで、2位に入った7月の日本プロゴルフ選手権からの5戦で、トップ5が3回となった。その3戦すべてで、バーディ以上の数がトップ10。ドライバーの飛距離がバーディ奪取につながる本来の姿が戻ってきていることを感じさせている。
ANAオープン初出場となった昨年大会は6位タイ。コースとの相性も良いようで、今季初優勝に期待が高まる。

蟬川泰果 最近5戦のスタッツ順位(9月8日時点)

■石川遼、輪厚は好相性コースの一つ

石川は、輪厚との相性がとても良い。2015年大会で優勝しているだけでなく、必ずといって良いほど、上位に顔を出してくる。
22年大会はプレーオフに進んだ。大槻智春にチップインイーグルを決められ、ANAオープン2勝目とはならなかった。だが、これまで12回出場し、予選を通過した10回は、すべてトップ20に入っている。トップ10は5回だ。
優勝した大会からの6回は、その内5回トップ10入り。優勝1回、2位1回、3位1回、6位2回。
輪厚での経験を積むほど、そこでの戦い方に磨きがかかっているといえる成績を収めている石川。
10月24日から、日本開催の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップが開催される。出場するためには、10月10日からの日本オープンまでの賞金ランキングで8位以内に入る必要がある。
石川は現時点で賞金ランキング9位。すでに出場権を獲得している選手は除くため、出場圏内にいるが、その争いは混戦模様で、どうなるか分からない状況だ。
ZOZO出場権争いを優位に進めるため、‟好相性”の自負があるであろう輪厚に、意気高く乗り込んでいるだろう。

石川遼 過去のANAオープン成績

■池田勇太、得意の輪厚で復活か

ANAオープンに2年ぶりに出場する38歳の池田は、2019年のミズノオープンで通算21勝目を飾ってから優勝していない。顎偏位症など健康面の問題により不調に陥り、調子を戻しきれないでいるのだ。
20-21年、22年は未勝利ながら、賞金ランキング15位と17位に入った。だが、23年は賞金ランキング69位でシード落ち。
永久シード獲得となる25勝は確実視されていたが、それは厳しくなったと言わざるを得ない状況となっている。
しかし、ここへきて光が差してきている。限られた数の出場試合で、少しずつ結果が出てきているのだ。
今季レギュラーツアー初出場となったミズノオープンでは、第2ラウンドを終えて5位タイ、2戦目の日本プロゴルフ選手権では、第2ラウンドを終えて4位タイ、横浜ミナトChampionshipでは、第2ラウンドを終えて11位タイと、そこから順位を落として大会を終えることになったが、今季出場した5試合中3つの大会で見せ場を作っている。
近いうちの復活優勝に期待して良いのではないのだろうか。
ANAオープンは10年大会と17年大会で優勝。そして、22年シーズンは出場した大会の最上位が単独3位で、それが2試合あるが、その内の一つがANAオープンだ。
22年大会は、すでに体調に問題を抱えていた中、第3ラウンドを終えて、2位と3打差の首位に立って優勝を争い、石川と大槻の戦いとなったプレーオフに1打及ばずの3位だった。
このように池田は、輪厚と好相性。第1回大会の優勝者は池田が尊敬する尾崎将司。節目の第50回大会で、ANAオープンの歴史に名を刻みに行く。

■今年もドラマが起こるか

2022年大会プレーオフの、大槻のスーパーショットでの決着や、19年大会の5人でのプレーオフなど、記憶に残る戦いが繰り広げられてきた輪厚。
昨年大会は1978年生まれの谷原秀人と、00年生まれの前田光史郎のデッドヒートとなった。結果は、最終日17番ホールでカラーからバーディパットを沈めた谷原が、1打差で前田らを振り切り優勝。
今年もドラマチックな展開が待っているのではないだろうか。

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。